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私☆魔法少女ほのか!こっちのゲスはニッキュ!

みんなおはよう!こんにちは!!こんばんは!!!

私の名前は宮内 ほのか!元気が取り柄の中学2年生。

中学1年生の春、謎のモンスターに襲われて、魔法少女に助けられたの。そしたら、変な語尾のぬいぐるみみたいな妖精から声をかけられて、魔法少女になっちゃった。

それから中学生と魔法少女の二重生活!仲間との出会いと別れ、厳しい修行に、強敵との死闘・・・。世界制服を企む悪の組織や超危険な魔法を使う古代魔法少女を退けて、世界を救ってなんとか中学二年生に。

憧れの先輩の天照 天馬 さんは今年で卒業。私の恋はどうなっちゃうの〜?


「素晴らしいまとめッキュね。ほのか」

この煎餅かじりながらスマホをいじってる緑色のぬいぐるみが、ニッキュ。私を魔法少女にした張本人。ぬいぐるみの姿は仮の姿。本当は森の主で、厳格で高潔、魔法の番人たるスーパーイケメンらしいんだけど、人間界では魔力が足りず、省エネモードでこの姿らしい。そんな説明を聞いていたんだけど、私は本当かどうか怪しんでいる。今やバーチャルアイドル ニッキュとして、動画投稿サイトを運営している売れっ子である。今も編集作業に勤しんでいる。

「ほのかも魔女っ子ほのちゃんとして、動画投稿したらどうッキュか?ほら、『灼熱魔法でマシュマロ焼いてみた』とか『凍結魔法で、かき氷作ってみた』とかいいッキュね。再生回数伸びるっキュよ」

厳格な森の主はどこへやら、世俗にまみれすぎである。はじめの頃は

『魔法少女は、一に鍛錬、二に鍛錬、三四は筋トレ、五は、スパーリング!色恋に浮かれてる暇はないっキュよ!!魔法少女は質素たれ!高潔たれ!っキュ!!』

なんて、言ってたのに・・・。世界の危機が去ったと思ったらこのありさま。

「あっ、このやろ、チャンネル登録数抜かしやがった。脱げっ!ほのか変身シーンを撮るっキュよ!ちょっと色気が足りないけど、これで登録数と広告収入いただきッキュ」

もはやゲスである。どこいったのよ高潔とか質素とか。ん?ちょっと気になるワードが聞こえてきたんですけど。

「ていうか、そもそも正体知られたらダメなんでしょ?魔法少女って。さんざんトイレやら、物陰やらで変身させられたんだけど!!」

「あ、そのことなら心配ないッキュ」

ごほんと咳払いして私に耳打ちをする。

「バレなきゃいいんキュよ」

だめだこいつ


あっやばい!今日から新学期、この欲望まみれの妖精との無駄な会話をしてる場合じゃない。急がないと!

ええと、今日いるものはカバンに入れたし、あぁそうだ。朝ご飯食べてかないと!食パンをトースターに投げ込んで、髪をセットしに洗面台へ。よし!今日も元気に笑顔だ!わたし!がんばれ!そう言い聞かせて、笑顔を作る。戦いは終わったけど、心を引っ張るもやもやがあった。でも、笑顔でいると決めたんだ。

「朝っぱらから、そんなにイライラして、ほのか太ったキュか?」

あくびをしながら、洗面台に入ってきた妖精に鉄拳を食らわして、洗面台を後にする。

私は前に進むんだ。


「最近、ほのかのストレートは世界を狙えると思うようになったっキュ」

うるさい妖精をカバンに詰めると、朝ご飯をくわえて、学校へ急ぐ。ポケットからお気に入りのピンク色の手帳を取り出すと、走りながら今日のページを開く。

「今日は天馬先輩は、7時23分のバスに乗るはず」

だったら、この道を行くと間に合わない。乱暴にカバンの中に手を突っ込むと妖精を引っ張り出す。

「ニッキュ!転送魔法の準備!7丁目のバス停」

「魔法少女は世界を守るために魔法を使うっキュ。私利私欲のために使うんじゃないっキュ。っていうかそのピンクの手帳何っキュ!怖いっキュ」

実はこの手帳には秘密がある。私の想い人の天馬さんの1日の行動が、映し出される魔法のアイテムなのだ。ある協力者に手伝ってもらって作ったのだ。私ってやっぱり魔法の才能があるのかも。もちろん、天馬さんを守るために必要な道具で、今日も安全に彼に過ごしてもらうための必須アイテムでやましい気持ちや下心は全く全然少しもない。真剣な目でぬいぐるみを見つめる。

「ニッキュ。魔法少女は愛の化身。愛は恋から生まれるの。この行動は回り回って世界を救うことになるのよ」

「プライバシーの侵害ッキュ。敵が去ったからって、魔法の無駄遣いはするべきじゃないっきゅ」

まぁたしかにこの魔法道具も完ぺきではない。魔力の少ない私では大まかな行動の予知が精いっぱい。それに未来のことを知ってしまうとそれだけで、予知がずれることもままある。まぁ占いぐらいの気持ちだ。

「これは天馬さんを守るために必要なことなんですー。」

「そんなことを言って、遅刻しそうな時も転送魔法を使うじゃないかっキュ」

それはそれ、これはこれ。ちっ。こうなったら奥の手だ。

「チップスポテト!1袋」

妖精の目が変わったのを見逃さなかった。こいつは出会う前は森で樹液をすするような生活をしていただけあって、人間界の食べ物に弱い。私のお菓子をたまに分けてもらうのを心まちにしている。

「味は何っキュか?」

「うすしお味!」

「わさび醤油味がいいっキュ」

くそっ、背に腹は変えられない。

「っそれでいいわ」

「変身を許可するっキュ」


ペンダントを握りしめて、叫ぶ。

「変身!」

まばゆい光がペンダントから溢れ出す。それと同時に制服がほどけていく。ペンダントを通して、ニッキュの魔力が変換され、ほどけた糸に注がれる。糸は空中で魔法服に紡ぎ直される。

「よしっ!はじけるハートは恋の味っ!魔法少女ほのか!」

我ながら、ハートがはじけたらまずい気がする。血の味しかしないだろう。

今日は制服をベースにしてるから、まだマシね。夏服なんかで変身すると布が足りなくて、すごい際どい姿になってたから、今年の夏はどうしようかな。このくそ暑い日本で長袖、長スカートは死ねる。

「っていけない!早く転送転送っと」

待ってて私の王子様っ!


転送魔法の準備をする間にみんなに紹介しないといけない人がいる。私の想い人の天照天馬(あまてらす てんま)さんだ。

この町の人間で、天馬さんを知らない女学生はいない。顔良し、金よし、カッコいい!天馬さんをしめす3Kと言われてる。真偽のほどは不明だけど、隣町どころか他県までファンクラブがあるとか、どこかの王家の血筋だとか、天馬さん所縁のものは闇取引されているとか、10種目近いプロスポーツの選手団からスカウトされてるなど、いろんな噂が立っている美青年だ。


 でも、私にとってはいまのキラキラとした天馬さんは少し笑ってしまう。私にとっては幼馴染のてんちゃんだ。もともとてんちゃんの家は貧乏だった。両親もいず、育ての親である叔父さん叔母さんに育てられていた。たまたま公園で出会って、私はてんちゃんとよく遊ぶ仲になった。幼稚園くらいだったかな。


ある時は、山に入って一日中走り回って、山菜や果実をおやつにして、泥だらけになって遊んでた。ある時は、海に行って、魚釣りをしたり、ひたすら泳いだりしていた。たくさん笑って泣いて、私が困ったらいつでも助けてくれた優しいてんちゃん。


小学校高学年になるとだんだんと私たちの関係は変わっていった。山や海での遊びで鍛えられたてんちゃんは、引き締まった体に加え整った顔立ちだったので近所で評判のイケメンボーイに、私はゴリラ女と呼ばれるようになった。

劇的に変わったのは私が小学校6年生のとき、てんちゃんが中学校に行ってしまい、疎遠になってしまっていた。その時には、スーパーのチラシにモデルとして載っていたり、地方テレビに映ったりしていて、少し暮らし向きも良くなっていったみたいだった。

でも、ある冬の日、

「天馬先輩付き合ってください」

私の親友だった子がてんちゃんに告白していた場面に出くわした。頭ん中がぐちゃぐちゃになって、訳が分からなくなって。あとから聞いたらフられたらしいけど。親友だと思っていた子はてんちゃんに近づくために、仲のいいフリをしていたと暴露した。このとき、私の中のてんちゃんはいなくなってしまった。

そして、モヤモヤを抱えこんだまま中学に進学。見事に心の闇を悪者に利用されちゃって、魔法少女のお世話になってしまったのだ。

魔法少女になってますます話す機会が減ってしまった。

でも、そんな中でひとついいことがあった。本人は知らないけど天馬さんが魔法国の王家の血を引くことが発覚。影ながら守ることになって、いろんなところで天馬さんの優しさに触れた。彼は変わらないのだ。


だから、いまは、彼のことが小さいころと違う意味で好きなのだ。



転送魔法の準備をする間にみんなに紹介しないといけない人がいる。私の想い人の天照天馬(あまてらす てんま)さんだ。

この町の人間で、天馬さんを知らない女学生はいない。顔良し、金よし、カッコいい!天馬さんをしめす3Kと言われてる。真偽のほどは不明だけど、隣町どころか他県までファンクラブがあるとか、どこかの王家の血筋だとか、天馬さん所縁のものは闇取引されているとか、10種目近いプロスポーツの選手団からスカウトされてるなど、いろんな噂が立っている美青年だ。


 でも、私にとってはいまのキラキラとした天馬さんは少し笑ってしまう。私にとっては幼馴染のてんちゃんだ。もともとてんちゃんの家は貧乏だった。両親もいず、育ての親である叔父さん叔母さんに育てられていた。たまたま公園で出会って、私はてんちゃんとよく遊ぶ仲になった。幼稚園くらいだったかな。


ある時は、山に入って一日中走り回って、山菜や果実をおやつにして、泥だらけになって遊んでた。ある時は、海に行って、魚釣りをしたり、ひたすら泳いだりしていた。たくさん笑って泣いて、私が困ったらいつでも助けてくれた優しいてんちゃん。


小学校高学年になるとだんだんと私たちの関係は変わっていった。山や海での遊びで鍛えられたてんちゃんは、引き締まった体に加え整った顔立ちだったので近所で評判のイケメンボーイに、私はゴリラ女と呼ばれるようになった。

劇的に変わったのは私が小学校6年生のとき、てんちゃんが中学校に行ってしまい、疎遠になってしまっていた。その時には、スーパーのチラシにモデルとして載っていたり、地方テレビに映ったりしていて、少し暮らし向きも良くなっていったみたいだった。

でも、ある冬の日、

「天馬先輩付き合ってください」

私の親友だった子がてんちゃんに告白していた場面に出くわした。頭ん中がぐちゃぐちゃになって、訳が分からなくなって。あとから聞いたらフられたらしいけど。親友だと思っていた子はてんちゃんに近づくために、仲のいいフリをしていたと暴露した。このとき、私の中のてんちゃんはいなくなってしまった。

そして、モヤモヤを抱えこんだまま中学に進学。見事に心の闇を悪者に利用されちゃって、魔法少女のお世話になってしまったのだ。

魔法少女になってますます話す機会が減ってしまった。

でも、そんな中でひとついいことがあった。本人は知らないけど天馬さんが魔法国の王家の血を引くことが発覚。影ながら守ることになって、いろんなところで天馬さんの優しさに触れた。彼は変わらないのだ。


だから、いまは、彼のことが小さいころと違う意味で好きなのだ。


ま、こんな感じで私の想い人の紹介は終わり。話は戻って、


「バレなきゃっていうけど大丈夫なの?」

転送魔法の魔法陣を描きながら妖精に聞く。

「バレた時は大変ッキュけど」

妖精は男の子の声で返す。魔法少女に変身したあとのミッキュは人型になり、緑髪青目の少年のような姿になる。背中には羽が生えている。たしかにこのまま成長していけばイケメンになりそうだ。ただその語尾はやめていただきたい。

「バレた時っていうとあれ?」

「そうッキュ」


魔法少女五カ条

1.魔法少女は世界に害なす存在を倒す、封じるなどして無力化するために存在する。

2.人間は魔法生物と契約することで、魔法を使うことができる。魔法の効力は本人の資質と魔法生物の魔力によって力がきまる。魔法の行使は双方の合意のもとで、世界に影響が出過ぎない程度なら、私的使用も可能である。

3.魔法に関することは魔法に携わる者以外に露見することは禁じられる。また露見した場合はペナルティーを受けるものとする。

4.魔法の使用におけるさまざまな損失は魔法国が保障するが、私的使用の場合はその限りではない。

 この場合の損失とは、物体のことであり、生命に関わることは含まれない。

5.魔法少女の引退は魔法国もしくは魔法生物の全権委任者によって決定される。


「3と5が引っかかっるのよね」

「3と5っきゅか?」

「ペナルティーと引退」

なんかこう裏に隠れた陰謀を感じる。

「ペナルティーは度合いによるッキュよ。魔法をちょっと見るくらいなら、見た人の記憶を消したりすればいいっきゅ。まあ正体がバレなきゃいいっきゅよ。」

「バレたら?」

「まぁ、魔法少女の資格のはく奪だったりかなっきゅ」

この妖精は厳格なのかいい加減なのかいまいちつかめない。


「そういえば、魔法少女の先輩たちは大丈夫なの?」

「かおりも、さくらも、ほのかみたいに魔法の私的利用はしてないっきゅ」

「引退したのならメールくらいくれたらいいのに」

「記憶を消したんだから無理っきゅ。ほのかが魔法をかけたじゃないっきゅか。まぁ安心するッキュ。いまのところは2人とも大丈夫っきゅよ」

胸を張りながらミッキュはいう。

「僕たち魔法生物はアフターケアもきっちりするっきゅ。二人の魔法生物とはテレパシーでつながってるっきゅ。僕がこのチームの全権委任者になったっきゅから、ばっちりっきゅ」

「ふーん」

 頼りになるのかならないのか。いま私が知っている活動中の魔法少女は4人だ。この町を脅かしていた悪の組織は倒したから、どうするかこの間話し合った。結論から言うと2人の先輩は卒業。私を含めて残りの4人は、引き続き魔法少女として活動することになった。

 私を救ってくれた2人の卒業ははじめはさみしかったけど、今は気持ちを切り替えることにしている。この間も4人で町のパトロールと称して、みんなでケーキを食べに行った。

 かおりちゃんは最終決戦が終わったすぐ後、さくらちゃんは1週間前に正式に卒業したらしい。らしいというのは、2人の魔法に関する記憶が消されてるから。まぁ消されてるといっても、魔法に関してだけなので、魔法少女の姿だとか、魔法の種類とかだけで、2人が友達だってことは忘れていない。だって彼女たちの魔法や魔力は一番弱い私が引き継いだ。たとえすべての記憶がなくたって、二人は大事な友達だ。

「で、卒業に許可がいるってのは?」

「世界を守る魔法少女の数は決まってるっキュ。最大数は決まってないっキュけど、最低数は決まってるっキュ」

「ふーん」

よし描けた。最近は雑談まじりでも魔法陣を描けるようになった。魔法の杖にプログラムしてあるから、行きたい場所をイメージして、適量の魔力を込めるだけで、自動で描いてくれる。

「少子化の時は困ったキュ。魔法新妻よしこたんや魔法老婆さなえさんまでいたッキュよ」

「ぶっ!わたしはそこまでやる気はないよ」

杖を落としそうになる。危ない危ない。転送魔法は繊細な魔法なのである。失敗するわけにはいかない。

「よし、ミッキュ!天馬さんの元へGO!」


「ほのかが失敗なんて珍しいッキュね」

「黙って、ミッキュ!!それより人はいない?」

転送先はバス停近くの公園の公衆トイレ。個室に転送する予定だったけど、屋上に転移してしまったのだ。大慌てでトイレに駆け込む。平和なときに魔法少女姿はヤバい。

「いないっキュ」

変身を解除する。煌々と光るトイレ。もとの制服に戻り、外に出る。バス停まであと少し。魔法のノートも確認したら、変更なし!

「最近調子がよくないな。天馬さんは?」

「最近?いつもじゃなくて?まだっキュよ〜」

もとのぬいぐるみに戻ったミッキュはふわふわと宙を浮きながらあくびをする。

「って、天馬さんに見られたらどうすんのよっ!」

「ぐぼっ」

ブローが腹に深く突き刺さる。天馬さんの記憶を失うわけには行かない。マスコットがしてはいけない音を立てて、地面にぽとりと落ちる。人の気配を感じて、振り返るとロードバイクを操る女の子が突っ込んできた。

「おいっす!ほのか〜っ。天照先輩には会えたか?」

「咲ちゃん!おはよ!」

このショートの黒髪の元気な女の子は咲ちゃん。わたしと同じ学校に通う同級生の魔法少女だ。おうちが神社で、古代魔法少女の依り代(まぁ戦う巫女さんみたいな感じ)として、戦ったこともあるけど、なんやかんやあって、仲間の魔法少女になったのだった。

「魔のストーカーノートも、ついに外れる時が来たか?」

「運命のラブノートだよっ!咲ちゃん」

ストーカーとは失礼なっ。

「、、、絶対、将来黒歴史として後悔するネーミングだな」

「さき、ほのかに言ってやれッキュ」

「出てくるなって言ったでしょ」

私の手をよけて咲ちゃんとハイタッチをする。

「おぉーミッキュ!元気だったか?てか太った?」

「ほのかじゃあるまいし、って、ほのか!靴は食べ物じゃないッギェッ」

よけいなことを言う口はこれかな?

「相変わらずだな森の主よ。威厳のかけらもないッリュ」

咲ちゃんの腕のミサンガから声がする。

「うっさいッキュ。龍神!みすぼらしいほっそい貴様に言われたくないっキュ」

「なんだと」

「ヤルッキュか?」

「はいはーいストッープ。リュウッチもミッキュもやめてくれよー。」

さきちゃんはミサンガを、わたしはぬいぐるみを押さえた。ミサンガは咲ちゃんちに祀られている龍神ことリュウッチの分身体だ。ミッキュと同じ魔法生物(マジカル)だが、よくけんかしている。

やれやれだ。


「でっ、ほのか!今日こそは、天照先輩に告白するの?」

「こここっここくはくっ?!」

顔が一気に熱くなる。心臓の音がせりあがってくるようだった。

「は〜。そんな感じでもう何年たってると思ってんのよ。幼馴染かなんだか知らんけど、あの天然王子さまだって、人の子だよ?グラマーでな美女に迫られたら、イチコロだって」

「てててて天馬さんはそんなんでやられないしっ」

そう信じたい。うん。まちがっても巨乳にデレデレしている姿なんか見たら、私はミッキュに何をするかわからない。(ちょっとまって!ほのか僕がなにかひどい目に会うフラグの気配がしたっきゅ)

「まぁグラマー美女の話は冗談だとしても、早く告りなよ。私たちもそう何度お膳立てできないよ」

ふんすと怒りながらさきちゃんが言う。ほんと面目ないっす。

「中1のお花見の時は?」

「食べ過ぎて動けませんでした」

いやぁお団子っておいしいよね

「プールで悩殺作戦は?」

「去年は猛暑でアイスが美味しくて美味しくて胸より腹に脂肪が」

ビキニはおなか回りがぷにっててむりっした!すみません!

「秋の野外活動は?」

「山の幸をもとめて遭難。キャンプファイアーじゃなくて、狼煙をあげる」

いやぁ星がきれいだったなぁ。

「クリスマス」

「シングルベールシングルベール食べホーダイ」

友達の家のクリスマスパーティの豪華さには度肝を抜かれた。てか七面鳥の丸焼きなんて初めてみた。

あれ?告白してなくない?がくっと膝から崩れ落ちる。

「なんでなのよーッ」

「いや、ほのかあんたのヘタレと食い意地のせいだよ」

あきれてさきちゃんがいう。やめてそんな目で私を見ないで・・・。

「ほのか、いいんきゅか?」

あんたも何か文句があるの?ちきしょう!

「バス行ったッキュ」


なんてこった。せっかくの天馬さまチャンスが。

「ほのかっ。さっさと行かないと遅刻するぞ」

我が友人は非情にも、自転車で颯爽と立ち去っていくのである。


私の通う学校は共学の学校で1000人ほどの生徒が通っているマンモス校だ。まぁごく普通の学校だと私は思っている。ブレザーもかわいくって気に入っているし。去年の魔法少女の活動で、クラスの中ではよく体調を崩す女の子として認識されてしまっている。今年は本当の私らしい元気な姿をクラスメートに認識してもらいたいっ。野山を駆け回っていた私が病弱の女の子を演じているなんて、天馬さんが知ったらなんて思うんだろう。ちょっとわらってしまった。



ちょっと気になるのが、天馬さんが見当たらないことだ。私の魔法のノートは絶対ではない。今日は転送魔法も使ったし、魔力不足でうまく働かなかったかもしれない。でも、

「いないっ」

始業式でも

「いないっ」

クラス発表でも

「いないっ」

天馬さんがどこへ行ってもいないのである。いつもだったら、行く先々で黄色い声があがって、目立つのに・・・。使いたくはなかったが、放課後あそこに行くしかない。



暗闇の中でスポットライトが照らされる

「ただいまより天照天馬様の私物オークションをはじめます!」

「いえぇあああい!!!」

乙女たちの狂気と熱気が渦となり、異様な興奮に包まれていた。

「うおっしゃらあああ 」

「て・ん・ま・さまあああ!」

「そいやっ!そいやっ!そいやっ!そいやっ!」

ここは旧校舎立ち入り禁止区域。通称『空き部屋』。旧校舎の地下にある空間のことで天照 天馬の情報が集まってくる乙女の巣窟である。この地下空間の誕生は、ほのかたち魔法少女の戦闘によるもので、管理者も魔法少女である。

マスクをつけた金髪の少女が乙女たちをあおり始める。

「YES TENMA!」

「「「NO TOUCH!」」」

「YES TENMA!」

「「「NO TOUCH!!!」」」

彼女を中心に声の輪が広がっていく。『天照 天馬を 愛でる会』通称ATMだ。ネーミングセンスはどうかと思うが、その理念は互いに天照天馬への不干渉を貫く代わりに、情報やブツの交換を行う、学校の裏組織である。下は幼稚園児上は駄菓子屋のおばあちゃんまで、学校内外にいたるまで幅広く加入している。会員数は在校生数を超える勢いである。

秘密ではあるが、天馬が魔法国の要人であることが露見し悪の組織に誘拐された際には、その巨大な情報網により、事件を解決したこともあった。この熱気を見ると私の恋がいかに難しいものかわかってもらえるだろう。広間の中央ではオークションが始まる。透明なポリ袋がくくられて台の上にのせられている。

オークショニアが宣言する。

「天馬様の吐息!5Tから!」

「6T!」

「8T!」

「10T!」

「落札っ!!!」

はうぅん。吐息を渡された女生徒が興奮のあまり失神した。救護スタッフの手際も素晴らしく早い。

「続きまして〜天馬さまの生写し…」

うっし!あとで参加するか!




「OH!ほのか!よく来ましたネ」

先ほどまでマスクを被っていた彼女こそは、白鳥財閥ご令嬢にして、ATM会員ナンバー1 白鳥(しらとり) 華麗(かれん)である。可憐な見た目ではあるが、自ら最前線に立ち、組織を拡大していく様は、将来の有望さを予感させる。ほのかの恋敵の一人にして、同級生魔法少女である。

「カレン。さっきのTってなに?」

「ここでの通貨よ」

「通貨?」

「組織への貢献度によって支払われるの。こんな感じでね。」

紙をこちらによこす。目撃情報1Tより。天照様の好きなタイプについて、10Tより。

「何というかカレン」

ため息をつく。したり顔をする彼女に手を伸ばす。

「やっぱアンタって最高ね」

かたく握手をかわすのであった。

ATMの理念は不干渉。つまり、不干渉ということは天馬さんに告白したり、付き合うということを放棄していることを示している。普通の感覚だとおかしいと思うかもしれない。でも、私は彼女の恋を笑わない。彼女の思いは本物だ。だけど、白鳥財閥のご令嬢。現代社会にそぐわないけど、彼女の恋で、世界は傾く。恋のライバルではあるが、彼女とは一杯付き合わないといけない。もちろんタピオカだけど。

ほかのメンバーも同じだ。それぞれの事情があり、それぞれで納得している。

「フッフッフ〜。ところで、今日ほのかは、ラブリースイートマイダーリン天馬を見かけませんでしたカ?」

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