0-1. そろそろ卒業したい
本日より【新連載スタート】
「もう絶対に沼らない!」と決めたのに――親友の“生意気な中学生”だった弟が、色気たっぷりの高校生になって私を狂わせにくる!?
普通の小説としてもお楽しみいただけますが、
本作は、目指せ**【世界一簡単で楽しい潜在意識の書き換え小説!】**
作中のヒロイン・綺夏自身は、自分の「潜在意識」の暴走にまだ気づいていません。 そんな彼女の恋模様をハラハラドキドキ楽しんでいただきつつ、作者からの『潜在意識の視点による解説』を通して、読者の皆さま自身のマインドが自然と書き換わっていく、今までにない【読書体験型小説】です。
物語を読み進めるだけで、あなたのエネルギーが変わり、現実の人生や恋愛まで幸せが引き寄せられていく特別な体験を、ぜひ味わってください。
(*綺夏視点)
そろそろ卒業したい。
わたし、出会ったころから泣き虫女炸裂してて、全然成長できてないな…
*
現在大学一年生、剣 綺夏は、親友の実家にて大失恋の傷を癒してもらっていた。
「綺夏!また自分のこと責めてるでしょ!綺夏は悪くない。あの男が悪い。でも、綺夏は男を見る目がない!」
「慰めてるんだか、けなされてるんだか…(笑)」
なぜか泣き笑いになる。ここまでくると、テンションがおかしくなってくる。いっぱい泣いて目が開かない。腫れてひどい顔になってる…高校生のころから、日向ちなつの実家が私の失恋避難所になっている。
「綺夏が笑って過ごせる男、この世界にいないの~?もうさ、この光景、正直、見飽きたよ」
失恋したてのわたしを目の前にしても、ちなつはいつも容赦ない。でも、これくらいズバッと言ってくれる友人は本当にありがたいと思う。
「ただいまー」
ガチャっと玄関の扉が開く音が聞こえた。わたしは慌ててちなつからクッションを奪い取ると、必死に顔を隠した。それと同時に、リビングの扉が開く音がした。ふぅー危機一髪?!なんとか顔を隠せた!
「あれ?剣さん?もしかして…また失恋したんですか?」
呆れた声の主がどんどん近づいてくる。リビングで泣いてた私が悪いけど…この声は聞きたくなかった。
日向思輝は、ちなつの3つ下の弟で高校一年生。この家族は、姉弟そろって美男美女。めっちゃイケメン、成績優秀、運動神経も良くて、おまけに、いろいろ世界が見えている人。
私が失恋するたびに、あきれ顔を見せてくる。そして、この人もわたしに容赦ない。失恋しても、この人に優しくされたことなんて一度もない。
わたしは返事をする代わりに、クッションに顔をうずめながら頷いた。
「剣さんって、ほんと、悲しい感情を味わうことが好きなんですね」
好きで悲しんでるわけないじゃん…思輝くんの言葉に、より一層悲しみが湧いてきた…でも、あれ?なんか、怒りも湧いてきたかも…
わたしの悲しみ、苦しみを全然知らないのに、まるで「俺は世界が見えてます」みたいな言い方してさ…ムカついてきた!
わたしは泣きはらした顔をパッとあげた。思輝くんは台所にいるみたいで姿が見えない。
「ちょっと、思輝!あんたね、いっつも綺夏にひどいこと言いすぎ!」
わたしもちなつも思輝くんがいるであろう台所をにらみつける。いつもズバズバ言うちなつは、自分のことを棚に上げて弟に怒っている。でも、返事は返ってこなかった。
「思輝って、なんで綺夏には冷たいんだろうね。ムカつく弟だわ~」
全部、思輝くんに聞こえちゃってるよ…と思いつつ、姉だから言えちゃうんだろうな。
思輝くんは何事もなかったかのように涼しい顔でお盆を抱えてやってきた。オシャレなティーポットと温まったティーカップが3つ。おいしそうなマカロンまでついてる。芳しい紅茶の香りが部屋の中に広がる。
すっと座ると、わたしとちなつに紅茶を入れ始めた。この人、執事なの?!そっか、イケメンは紅茶すらこんなに優雅に注ぐのか…慣れた手つきのその仕草になぜか見入ってしまった。
「ベルガモットティーです。別名:アールグレイ。精神的なストレスを和らげて、前向きな気持ちにさせてくれる効能がありますよ。」
そういって紅茶が差し出された。
「あ、ありがとう…」
冷たいことを言いながらも、泣いてる私のために用意してくれたんだ…この人にやさしくされたことなんて、一度もないって思ってたけど…なんだ、優しいじゃん。
「昨日、たまたまマカロン焼いたので、よかったらこちらもどうぞ」
ピンクと白のマカロンが可愛らしくお皿に乗っている。
「うそ…手作りのマカロン?マカロンって作れるの?!」
「意外と簡単ですよ」
失恋女子に、気を利かせて効能のいい紅茶をいれ、手作りのマカロンを差し出す。誰よりもできた男…この人には、何を言われても勝てない気がした…
紅茶のカップを手に取ると、淹れたての紅茶の上品な香りが胸の中に広がっていく。体から力が抜けるようだった。
「ま、元気出してください。剣さんのことを**『本当に』**大切にしてくれる人なら、案外、すぐ近くにいると思いますよ」
「え? 近くって誰? ちなつの紹介とか?」
「さあ。……でも、剣さんが『自分を雑に扱う男が好き』っていうその酷い趣味(前提)を卒業しない限り、出会っても気づけないでしょうね」
「……っ、またそうやってすぐ意地悪言う!」
「事実です。それにしても、本当にひどい顔。剣さん、僕の家でいつも大泣きして、まるで日向家の娘のように泣き顔を晒してますよね」
ぷっと笑う思輝くんの笑顔は、どこか憎めなかった。言葉は辛辣だけど、とっても優しい目元をしていたから…
窓から差し込む夕日に照らされたその横顔が頭から離れなかった。
【潜在意識の視点から紐解く『プロローグの答え合わせ』】
綺夏、また泣いちゃいましたね(笑)。 潜在意識(無意識で思い、考えている前提)は、あなたの「頭」の願いではなく、「私はどうせこういう扱いを受ける人間だ」と信じている【前提】を忠実に現実化してしまいます。これまでの恋愛で、綺夏の中に「私は雑に扱われる」「いつもうまくいかない」という前提があるから、そういう現実が引き寄せられていたんです。
一方で、高校生になった思輝くん。 彼が「大切にしてくれる人はすぐ近くにいる」なんて神がかったセリフをサラッと言えたのは、彼の潜在意識が最初から**「俺が彼女を幸せにする(=世界で一番近くにいるのは俺だ)」**という設定で完全に固定されているからです。エゴのブレーキがないから、行動も言動もハイスペックになっちゃうんですね。




