エピソード6:危険な秘密が知りたくて / 1
そんなこんなで、和茶は帆乃を自室へと招いた。大したものは無いけど、と、冷茶とお菓子を出す。帆乃は冷茶を一気飲みした。相当に喉が渇いていたらしい。和茶はおかわりを注ぐ。帆乃がポツリと言った。──今、八重の行動を見張って来たんです。……何だかこれはとんでもない話になってしまう気がする。和茶は笑顔を引き攣らせた。
帆乃はまた、冷茶を一気飲みする。まるでヤケ酒を一気飲みするサラリーマンだ。面白くないことが起きた時の。そして、帆乃は泣き出した。年齢は八重とそう変わらないように見えるので、中学生くらいだろうか。大人っぽく見える少女が、幼女のように大泣きする。ギャップに萌えたりはしない。和茶にそういった性癖は無かった。
「だ、大丈夫?」
「うう……八重が、私の八重が、男の子とくっついちゃったかもしれないのぉ……」
「わ、私の八重?」
──高木 帆乃。知る者は知っている、シスコン。和茶は知らない者である。とりあえず、帆乃にティッシュを渡す和茶だったが、正直、こういう時にどうしたらいいのか、全く分からない。和茶の脳内を巡る言葉は1つ。私の八重ってなに!?しかし、聞けない。聞いちゃいけない気がする。実際のところはそうでもないのだが。
ズビーッと鼻をかみ、帆乃は3杯目の冷茶を一気飲みする。コップが空になる度、和茶は冷茶を注ぐ。こういうの、嶺想寺さんに持ってっちゃ駄目かなぁ、と思いつつ。何でもかんでも嶺想寺に頼む、そういう悪癖が出来上がりそうになっている。さて、どうしたものか。和茶は自分がこの子に何をしてあげられるのか、悩んだ。
実は、結構な真面目さんなのである。飯山 和茶という男は。意外と律儀というか、優しいというか、淡白で不器用だが人のことはきちんと助ける。
「帆乃ちゃん。何で相談先に俺を選んだの?」
「八重、飯山さんと仲良いみたいだから……」
「いや、俺も八重ちゃんもお互いに怖い物が駄目ってだけの繋がりなんだけど……」
しかし、知らない仲でもない。和茶は聞くことにした。帆乃は和茶に何を求めているのか。帆乃は言った。──八重がどうして放課後に男の子の家に行くのか、調べるのを手伝って欲しいんです。……どうやって?和茶は少し頭痛がしてきた。八重ちゃんに直接聞いたらいいじゃん。そんなこと言えない。帆乃は、本当に困っているのだから。
和茶はミッションを引き受けた。八重の行動の尻尾を掴むくらいはしてあげられるかもしれない。和茶は自分に出来ることを考え始めた。




