どんな感じだ、俺。
よう。
「……何?」
なんだよ、その『ああ、面倒な奴が来た』って顔は。
「気のせいだと思うよ」
そうか、で、立ち直ったか?もう一週間だぜ?
「立ち直ったように見える?」
……少なくとも、俺にはそう感じられる。
「それは良かっ」
が、お前……隠してるだろ?
「……いや別に、そんなことはないよ?」
笑顔が引きつっているように見えるのは、俺の見間違いかね?
「……騙したがりが何を言っているのかな?」
ほう……ついに俺をそう呼ぶようになったか。一週間前とは大違いだな。
「そりゃどうも。とりあえず、下を向かないようにするけど」
それが一番だ。だが、そんな引きつった笑顔で大丈夫かよ。
「え、そんなに引きつってる?」
黙れ隠したがり。俺が気づかないとでも思ったか?
「おかしいな。バレないようにしたつもりなんだが」
感情を騙して、嫌なことから逃げずに立ち向かってきた俺を舐めるなよ?
「なるほど……感情を隠して、嫌なことを受け止めきれずに一人俯いている俺とは違うと、そう言いたいのか?」
よく分かったな。まあ、そういうことだ。
「なんか腹が立ってきた」
嘘つけ。まだ心の中で泣いてるくせに。
「はっはっは、そんなことはないぜ?」
あん?じゃあその引きつった顔は何を隠しているんだろうな。
「何も隠してないよ?」
さっきと言葉が矛盾してるぞ。さあ、何を、隠して、いるか、言え。
「……アイツの心を隠してます」
…………なるほど、話は分かった。だが、アイツの心とお前の心は、『別物』だろうが。
「言い方がひどいと思うんだが?」
悪いが、アイツはまだ子供だが、このくらいの言葉は耐えられる。お前とは違えんだよ。
「あ、なんかグサッときた」
その感覚が違えって言ってんだよ。アイツはこんなことじゃ『グサッ』とはこねぇよ。アイツの心がどんだけ強いか、お前は知っているか?
「いや、知らない」
だろうな。俺も知らん。
「をい」
だが、知っているか?アイツは、肉体が大人になった後、一回だけ外に出たことがあるらしいぜ。
「あー、あれか」
そう、アレだ。俺も知らなかった。他人に言われて分かったことだからな。というか、お前が当事者だろ。
「そうだけど、なんでそんなに詳しいんだよ」
俺を誰だと思っている。お前だぞ?ちょっと分裂しただけの。
「いや、分裂は『ちょっと』どころの話じゃないと思うんだけど?」
うん。まあ、この話は置いといて……お前はどうしたいんだ?俺と変わるか?
「遠慮しておく。お前に任せてた方が、今はいい気がする」
はいはい。どうせ心の整理ができてないとか、そういうことだろ?
「誰もそんなことは言っていない」
言ってなくても、隠していることくらいすぐに分かるぜ。
「……俺の負けだ。立ち直ったとは言ったが、心の整理はまだできてない。どうしていいかわかんないからな」
お前……心の整理って簡単なことだぞ?寝ればできることだ。
「多分それさ、頭の整理だと思うんだよね」
まあ細かいことは気にするな。整理したけりゃすればいいし、邪魔もしねぇよ。
「そうしてくれると助かる。じゃあ俺は戻るから」
はいはい、じゃあなー。
はぁ。やっと立ち直ったか。
実質一週間以上かかったが、そこは大目に見てやろう。
だが、アイツと隠したがりは繋がってるのか?アイツの心が分かるって、どうなってんだ?
ま、考えても分かんねぇことは考えるのをやめよう。どうせ答えなんて見つからないんだし。
さて、自分のやることをやりますか。