おまけ14 『王子様の誕生日計画』
「誕生日プレゼント?」
すっかりお日様も役目を終えて、真っ赤に燃え尽きていく……そんな夕方のこと。
本日はお月様のような白金色の髪をしたスレンダーギャルさんこと森崎めぐさんが、久々に相談所に来ており、
「そーそー。まきちのね!」
「あら、いつなんでしょう?」
「ちょうど今から二週間後だよ。……あ、ついでにパーティーとか出来たらなって思うんだけど……ダメ?」
「一日貸し切りくらいしか出来ないのだけれど……それでもいいかしら?」
「えっ、うん。というかそれ以上は学校とか、ね?」
本人のあずかり知らぬところで、危うく学校サボり誕生パーティーが決まるところでした。
さらりとそんなすごいことを言った響子さんにめぐさんは驚きつつ、
「さっきーだったら何渡すの?」
「うーん……ココアのお菓子?」
「あらあら」
咲ちゃんに意見を求めてみれば、やはりココアと返ってきて。
どうやら咲ちゃんももやもやと考えているようです。
「ま、そう簡単に思いつかないよねー。うちも何がいいか迷ってここきたんだし」
そう、めぐさんが本日来た理由は、真姫ちゃんの誕生日プレゼント選びのためなのです。
だからめぐさんは「それじゃ、改めて」と前置きをして、
「誕プレの相談、乗って欲しーなっ☆」
ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆
というわけで、本日は誕生日プレゼント略して誕プレをどうするか、というご相談です。
「それでは咲ちゃん。真姫ちゃんの好きなものはなんでしょうか?」
響子さんの質問に対し、咲ちゃんは一瞬悩みかけますが、すぐに答えます。
「……めぐさん?」
「ではめぐさんをプレゼントしましょうか」
「いやいや、うちプレゼントって一人しかいないし!」
しかしプレゼントがめぐさんでは、真姫ちゃんは喜びますが、色々と問題があるため渡すことは出来ません。
「じゃあめぐさんのぬいぐるみとかかなぁ?」
「うちのぬいぐるみって、それ一から作るの? それ超大変じゃない?」
だからと言ってめぐさんグッズを一から作るわけにもいかず。
めぐさん推しの真姫ちゃんに何を渡したら喜ぶか、二人が頭を悩ませているところへ、
「それでは、無難にネックレスなんてどうでしょうか?」
「あー、ネックレスねー」
「ネックレスです。私や咲ちゃんはまた別に用意するとして、ペアネックレスなどもありますから」
二人してうんうん、と頷いてネックレス話を始めますが、咲ちゃんは何が何やらなのでぽかんと二人を見つめて。
そう。咲ちゃんはネックレスをつけない族なのです。
「そう、それでさー……って、さつきーどったの?」
「へあっ、ううん、何でも……」
「髪の毛ですか?」
「んん、何の話?」
「何の話でしょう」
……なんて、あらあらうふふと唐突にヘアーな話に移行しようとしたところで、本日のツッコミ役めぐさんが首を傾げ、やがて納得したような顔になって、
「そっか、さっきーとかめうめうはあんまりアクセつけないよね。ごめんねー、二人で話しちゃって」
全てを察して爽やかに謝罪。
真姫ちゃんの王子様がそのイケメンっぷりをアピールしました。
それには咲ちゃんも思わず照れてしまって、
「咲ちゃん。私のお古で良ければ付けてみますか?」
「え、いいの? じゃあ試してみようかなぁ」
照れていませんでした。
それどころか、イケメンっぷりを見ることもなく。
「あ、あはは……」
梅ちゃんがいないと本当にマイペースだと苦笑いするめぐさんを、置き去りにしつつ。
ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆
「……ネックレスはめぐさんが買うとして、私達はどうしよう」
「水晶ならあるのだけれど……」
「月子さんならそれで喜びそうだけど……」
ココアとアップルティー、それから緑茶と、和洋折衷なティータイムをしつつ話は継続します。
そう、文字通り川へ洗濯に行った梅ちゃんと胡麻たんを除き、響子さんと咲ちゃんはプレゼントを決めていないのです。
「うーん、うちがアクセだから……二人は日用品とかどう? うちなんてこの前手鏡落としちゃってさー」
「あ、そういえばこの前私も割れちゃったなぁ。水晶使ってみる?」
「いや、それはさすがにでかすぎ……かな。ていうかそれ本物なの?」
「うん。月子さんっていう占い師さんと、響子さんが旅行で持って帰ってきたんだー」
「まきちから聞いてて思ったけど、本当色々あるんだね、ここ……」
そう、かっこいい系ギャルさんのめぐさんでもびっくりしてしまう、それがこの相談所です。
と、話が脱線するのはそろそろ終わりのようで、
「それでは咲ちゃん。一緒にココアケーキ、作りましょうか」
一度拍手をして決定、と言わんばかりににこにこと笑顔を浮かべる響子さん。
そんな彼女に二人はそれぞれに反応を見せて、
「味見とかあるかな、響子さん」
「まきちはお菓子好きだし、誕生日だからちょうどいいかもね、それ!」
咲ちゃんが食目的の発言をしたような気がしますが、反対の意見もなくすんなりと決まってしまいました。
それまでの悩みの時間が嘘のようで、最初から考えていたのかも、なんてめぐさんが緑茶をすすって響子さんを見つめつつ。
そんなこんなで終わり、と思いきや、
「……ねえねえ、めぐさん、響子さん」
ふと、咲ちゃんがどこかいつもと違った声色で二人に問います。
「姫ちゃん、喜んでくれるかなぁ」
心配をしているような、けれど期待をしているような。
そんな咲ちゃんに対し、二人は、
「咲ちゃんが喜ばせたいと思うのなら、大丈夫です」
「だね。こうやって、相談に乗ってくれてるわけだしねっ」
おふざけが途中であったことはともかくとして、笑顔で答えつつ。
そんな二人に、咲ちゃんも笑顔をこぼして、
「みんなで誕生日パーティー、成功させようね!」
それから梅ちゃん達が合流したりして、数日後。
盛大に開かれた真姫ちゃんの誕生日パーティーは、みんなの頑張りで大成功に終わるのでした。




