さんびきのこぶた
昔々、あるところに巨大なヘッジファンドとして世界経済を裏から操る三人の大物がいました。
人々は自分たちだけですべての利益を独占するこの三人を指して「三匹の子豚」と侮蔑を込めて揶揄し、忌み嫌っていました。
しかし、そんな悪行にも最後が訪れます。
彼らの私利私欲により、自国の通貨を乱高下させられ、経済的混乱に陥らされた某国の大統領は、ついに彼らの抹殺を決意したのです。
かくして、雇われたのが伝説の殺し屋である「ウルフ・オブ・ザ・バトルフィールド」でした。
彼はまず、三人の中の一人が潜伏していた「藁の家」と呼ばれるセカンドハウスにXM191ナパーム弾ロケットランチャーを撃ち込んでこれを殺害。
次いで、二人目が隠れているとの情報を得た森の深くに隠れて佇む「小枝の家」へM202多連装焼夷ロケットランチャーを撃ち込み、これも殺害。
最後に残った一人が身を守るために立て籠もった通称「煉瓦の家」はその名の通り要塞の如く堅牢で、生半の攻撃ではこの建物の奥にいるであろう対象を殺害せしめるのは困難だとウルフも考えたが、そこはそれ、彼もまたプロでした。
鉄板なら優に1000ミリ、コンクリートなら3000ミリを貫徹するタンデム弾頭のRPG28を総計6つも使用し、「煉瓦の家」を完全に瓦解させ、建物ごと最後のターゲットも見事に殺害したのです。
そして仕事を終え、大きな煙を立てて崩れてゆく「煉瓦の家」を見つめながらウルフは物憂げにつぶやきます。
「仕事とはいえ、いつもながら業の深い真似をまたしてしまった……地獄の窯で煮られる日も、そう遠いことではないだろうな……」
そう言い終わると、ウルフは使い終えたRPG28を地面へ落とし、胸元から煙草……ナットシャーマン・ナチュラルを取り出すと、一本を口にくわえてまだ燻るRPGの発射口へ押し当てて吸い上げるや、ゆらめく紫煙を口元にくゆらせ、ゆっくりとその場を立ち去ってゆくのでした。
我々、表側に生きる人間には理解することのできない闇の世界を生きる男。
そう、人々は彼を「戦[某ゲーム会社に訴えられたくないので削除]の狼」と呼ぶ。
めでたしめでたし。