きんのおのとぎんのおの
昔々、あるところに働き者のきこりがいました。
きこりは今日もせっせと山へ入り、使い馴染んだ鉄の斧を振るって樹を次々と倒していました。
しかし、頑張りすぎてしまったのでしょう。
汗をかいたきこりはつい、手を滑らせて愛用の斧を遠くに飛ばしてしまいました。
これはいけないと、すぐに追いかけたきこりでしたが、運悪く手を離れた斧は近くにあった泉の中へ落ちてしまったのです。
ああ、これじゃあもう樹が切れない……そう思い、きこりが悲しんでいるその時でした。
突然、泉が輝きだし、そこからとても美しい女神様が片手に金の斧を持ち、片手に銀の斧を持ち、頭にきこりが落とした鉄の斧がぶっ刺さった状態で姿を現したのです。
そして女神様は泣いているきこりに言いました。
「あなたの落とした鉄の斧は私の頭でお預かりしていますが、それはともかく、あなたはこの金の斧と銀の斧、どちらで人生の幕を下ろしたいですか?」
にっこりと血まみれの顔で微笑みながらそう問うた女神様へ、きこりは何もかもを諦めた目をして、
「……出来れば金の斧でお願いします……」
と答えました。
あくる日。
きこりの帰りが遅いことを心配した仲間たちが山を調べると、泉の近くで首と胴体が泣き別れになっているきこりの無残な遺体が見つかりました。
ただ、
そんなひどい死に様のきこりでしたが、その顔は何故か笑顔だったということです。
「同じ轢かれて死ぬのなら、ハイエースよりかはランボルギーニ・ヴェネーノのほうがいいよね……」というお話でした。
めでたしめでたし。




