第52話 サブロウの正体
『私は超時空光速船ドギンラの人工知能です。気軽にドギちゃんと呼んでください』
「ドギちゃん? ナビちゃんではなくて!? お帰りって」
カイルはドギちゃんの言葉に反応した。
そうするとドギちゃんの声が部屋に響いた。
『ナビちゃんはコンバットスーツのナビシステムですが、ドギちゃんは超時空光速船の運転システムです。そして、カイルと会うのは赤ちゃんの時以来ですね』
「やはり、僕はここで生まれたのですか?」
『そうです。あなたはこの船であなたの父ギャバリアンと共に宇宙を旅していました』
「船!? これって船なのかニャ? 家じゃないのかニャ?」
それまで黙ってカイルとドギちゃんの話を聞いていたネーラが思わず口を挟んだ。
『そうです。ドギンラは船です』
「宇宙って何ですか?」
カイルはドギちゃんの言葉をなんとか理解しようと問いかける。
その問いかけに答えたのはドギちゃんではなかった。
「宇宙とは空のもっと向こうにある空間の事じゃよ。星と星の間にある空間じゃ。つまりこの船は星と星を渡る船じゃよ」
カイルが声の主を見るとサブロウだった。
サブロウは部屋のあちこちをウロウロとしながらカイルの問いに答えた。
「ところでカイル君はこの船に乗っていたようじゃが、この船の鍵は持っておるのか?」
「鍵ですか?」
サブロウの質問にカイルはそれらしい物を持っていないか考えてみたが、思い当たる物はなかった。
「持っていないですね」
「そうすると、親父殿が持っておったんじゃないのか?」
「父親……」
サブロウの言葉に、カイルはここに来た目的を思いだした。すでにアズワルドから父親が死んでいると聞いていた。父親の遺体なりお墓なりを見る事で、何か分かるかも知れないと考えた。
「ドギちゃん、僕の父親の遺体は今どこにあるか知っていますか?」
『ギャバリアンの遺体はすでにどこにもありません』
「じゃあ、鍵がどこにあるのか分からんと言うことじゃのう」
サブロウは歩き回りながら残念そうな声を出した。
そんなサブロウを不思議そうに見ていたノアールが声をかけた。
「サブロウさんは詳しそうですが、どうして色々と知っているのですか?」
「うん? それは儂がそこの坊主と同じく宇宙からやってきたからだ。正確に言うと他の星からじゃ」
サブロウはノアールの側にやってきて答えた。
カイルの父と同じ宇宙からやってきて、この宇宙船について詳しいサブロウはカイルの父親と同じ星からやってきたのではないだろうか? この船の乗務員ではないだろうか? そう思ったノアールはサブロウに問いかけた。
「もしかして、カイルのお父さんの事も知っているとか?」
「ああ知っておる。あやつは儂を追いかけて、この星にやってきたのだからな」
「え!?」
ノアールが驚きの声を上げた瞬間、サブロウはノアールの腕をねじ上げ、後ろに回るとノアールの首元に剣を突き立てた。
「サブロウさん、何を!?」
「悪いな、カイル君。サブロウは幼年の頃の呼び名で今の名はノブナガと言うんじゃ」
サブロウ改めノブナガが自分の名前を名乗ったとき、ドギちゃんとネーラの声が重なった。
『ノブナガ! 宇宙犯罪者!』
「ノブナガ! 光の勇者ニャ!」




