第47話 親子の会食
復活!
戻ってきましたが、書きため出来ていないので、綱渡り状態です。
更新続けられるように頑張りマッスル!
夜になり、屋敷の食堂で久しぶりに親子四人が食事をする事になった。
「そうか、そんなことがあったのか。大変だったな」
ノアールはカイルが闇の勇者に選ばれてから今日までの話をして聞かせた。その話を聞いたノアールの父親アスワルドの素直な感想だった。その顔は心底、二人のことを心配していた。
そして、黙って聞いていた母親アテルは口を開いた。
「じゃあ、ノアールが今は領主代行をしているのね」
「はい。そうなのよ。あ! そうだ。お父様。アレをください」
「アレってなんだ? お金ならあまりないぞ」
アズワルドは娘の言葉の意味が分からずに尋ね返した。
それを見たアテルは助け船を出した。
「あなた、ノアールが欲しいのは領主印の事ですわよ。あなたがそれを持ったままですと、ノアールはいつまでたっても領主代行なのよ。どうせ、あなたは領主の仕事に戻る気はないでしょう」
「うん、ないね。君と旅行するのは想像していたより何倍も楽しいからね」
父アズワルドは恋する乙女のように妻アテルを見ていた。
「まあ、そうでしょうね。面倒なことは全部私がやってますからね。食事の準備も洗濯も、熊が出ても魔族が出ても私が全部対処してますからね」
黒髪を綺麗にまとめた、一見おとなしく見えるアテルは冷静に答えた。
アズワルドははっきり言って気弱で、何も出来ない。ギリギリ政治ができ、優しいだけの男である。
それ以外のことを取り仕切り、なおかつノアールに礼儀作法、料理など御生活力を初め護身術まで教え込んだのは母親のアテルだった。そもそもオーデリィ家は母アテルの生家で、アズワルドは婿養子である。
小さいときからそんな両親の関係を肌で感じているノアールは二人のやりとりを見て懐かしく思った。
「さあ、あなた、ノーアルに領主印を渡してあげなさいな」
「ああ、そうだったな」
そう言うとアズワルドは左の中指にはめていた指輪を外すとノアールに渡した。
その指輪にはオーデリィ家の家紋のクロユリが彫られていた。
通常、書類関係はサインを行うが、封書の封印の蝋にこの印を使用する。
ノアールはその指輪を受け取ると、カイルに渡そうとする。
「カイルにあげる」
「え!? だめだよ。ノアールが持っておかないと」
「あたしは別に領主なんてしたくないのよ。カイルがやってよ。ね、良いでしょうお父様、お母様」
ノアールは両親に了解を取るとアズワルドは簡単にOKした。
「そうだな、良いんじゃないのかな」
「どちらにしろノアールもカイルを助けるのでしょう。だったらどっちが領主をやっても良いでしょう」
アテルもノアールの意見に賛成した。
それを聞いてノアールはほっとした。アズワルドがアテルの言葉に逆らえるわけがないからだった。
「二人とも一つ訂正すると、もう少しするとカイルは領主じゃなくて国王になるんだけどね」
「ほう、それはめでたいな。今日は前祝いに朝まで飲もうか」
「何言ってるんですか、あなたはいつもそう言ってすぐに潰れてしまうんですもの」
「ちょっと待ってください」
盛り上がるオーデリィ家の三人を止めたのは当事者のカイルだった。
そのカイルの言葉を待つ三人。
「親も知れない僕みたいなのが領主なんて出来ません」
「何言ってるのよ。親がいるとかいないとか関係ないわよ。今のカイルかどうかが大事じゃないの?」
ノアールはカイルが孤児としてオーデリィ家で育てられていた事に負い目を感じていたことを知っていた。だから、姉弟として育ったカイルは、自分がオーデリィ家の子でないと知ってしまったとき、自らノアールの従者となる事を選んだのだった。
ノアールはそのカイルの選択を喜んだ自分がいた事をしっかり覚えている。
姉弟では結婚出来ない。
カイルの選択がノアールの夢を叶えると。カイルは無意識にその条件を整えたのだった。
ノアールの言葉にも納得しないカイルを見て、育ての母アテルは口を開いた。
「あなた、もういいんじゃなくて?」
「そうだな。カイル、君がどうして僕たちの子供になったのかを話すときが来たようだね」




