第46話 親子の再会
「すみません、ここはもうホテルではなくなっているのです。あ!」
カイルは二人の訪問者を見て驚きの声を上げた。
「そうですか。え!? カイルか?」
気の弱そうな痩せた男性がカイルの名前を呼んだ。
「ご主人様、なんでこんな所に?」
「おいおい、カイル。儂はもうお前の主人じゃないぞ。儂もお前も王国から逃げ出した身だろう。そうだ、ノアールも一緒にいるのか?」
「はい、少々お待ちください」
ノアールの父親にして、元オーデリィ男爵は穏やかな口調で答えた。
カイルは大きな声でノアールを呼ぶと、ノアールはこちらに歩いて来た。
「どうしたのよ。そんなに大きな声を出して……あら、お父様とお母様。お久しぶりですね」
ノアールはカイルのように驚くことも無く、久しぶりに会った実の両親にあいさつをした。
「ノアールも無事で良かった。お前から『王国を裏切るから、早急に逃げて』と手紙を貰ったときは肝を冷やしたぞ」
「いや~、あのデブ王がカイルを殺そうとしたので、わたしたちは王国を裏切ったのよ。わたしたちが裏切り者になったら、お父様達に兵が向けられるでしょう。それにお父様も仕事なんか辞めて、旅行に出かけたいって行ってたじゃない」
「まあ、母さんと旅に出る切っ掛けになったからいいけど。ところで二人はずっとここで暮らしているのか? 私たちを二、三日泊めてくれないか? これだけ広いなら部屋は余っているだろう」
カイルは屋敷にも入らずに話し込んでいる事に気がついた。
「積もる話もあるでしょうから、中へどうぞ。荷物もお持ちします」
そう言って、二人の荷物を手に取るとカイルは二人を屋敷の中に案内した。
「カイル、ちょっと待って!」
ノアールの制止を聞く前にカイルと夫妻は屋敷へ入っていってしまった。幽霊屋敷に。
「いらっしゃいませ~」
ロビー担当の幽霊が夫妻にあいさつした。
「ぎゃ~~~~~!!!!!」
父親は悲鳴を上げて失神した。
それを母親が支えたのだった。
「なによ、あなた、幽霊くらいで」
ノアールの豪胆は母親似であった。
カイルはコンバットスーツを身につけると父親を抱きかかえて、空いている部屋のベッドへと寝かせたのだった。
「あとでゆっくり話を聞きますが、二人とも元気なのですね」
うなされている父親を見ながら母親はカイルとノアールに話しかけた。
カイルはコンバットスーツを外し、ノアールの側に立っていた。
「はい、お母様。色々ありましたが二人とも元気ですよ」
「元気であれば、私からは何も言うことはないわ。親としては子供が元気でいてくれる事が一番なのですからね。私の可愛い子供達」
そう言うと、母親はカイルとノアールをそっと抱きしめた。
「……奥様」
「もう主従関係じゃないのでしょう。昔のように母と読んで欲しいわ」
「お母様」
カイルは数年ぶりに育ての親を母と呼んだのだった。
「瞬間装着」を楽しみにしていただいている方々、申し訳ありません。
ここまで毎日更新していましたが、ちょっと忙しくなったので10日ほどお休みします。
第一章は最後まで構想が出来ているので、エタらないのでブクマはそのままでお願いします。
パワーアップして帰ってまいります!




