表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/71

第17話 闇の勇者と支店長の戦い

 激しく息をしながら、剣の柄のみを持ってへたり込むアイリーンに、ベレートが話しかける。


「どうする? まだ続ける? ボク的にはもう少しウォーミングアップしたいんだけどね」

「まだまだ!」

「やめておきなさい」


 滴り落ちる汗をぬぐうおうともせず立ち上がるアイリーンを止めたのは、意外にもミノタウロスだった。

 その鍛え上げられた巨大な肉体は、魔王との会見の時にいたミノタウロスに違いなかった。

 その様子にカイルとノアールもアイリーンに駆け寄る。


「なんだよ、バララム。邪魔しないでよ。この子がまだやるって言うんだったら、ボクは付き合うよ」

「支店長はちょっと黙っててください。お嬢さん、はっきり言って、この人は化け物です。もしもあなたが、この人と戦って強くなりたいと考えているなら、やめておいたほうが良い。つぶれるか、逆に変な癖がついて弱くなりますよ。もしも、強くなりたいとお考えなら、私が適切な相手をご紹介します。そちらで訓練を積まれることをお勧めしますが、いかがでしょうか?」

「……わかりました」


 その巨躯に似合わず、紳士的で柔らかな言葉に、アイリーンは素直に従った。

 そしてあからさまにがっかりするベレート。


「えーこれからどちらかが潰れる寸前まで、やるんじゃなの? まあ、お姉さんが潰れるんだけど」

「だから止めているんです。客人を潰すなと魔王様から言われているのです」


 そう言って、紳士のミノタウロスは、やんちゃな猫獣人からアイリーンを守るように闘技場から引き上げさせた。


「あ~なんか、不完全燃焼だったな。まあ良いか。メインディッシュが残ってるから……カイルは最後までやってくれるよね」


 そう言って笑ったベレートの目は笑っていなかった。


「カイル。無理しちゃ駄目よ」

「……大丈夫です」


 カイルはそう言いながらコンバットスーツを身につける。


「カイルは手加減いらないよね。カイルも手加減する必要ないからね」


 ベレートはそう言いながら、ぴょんぴょんと軽くジャンプをする。


「ナビちゃん、フル戦闘サポートをお願い」

『了解です。武器の使用制限はどうしますか?』

「シールドとレーザーブレード、レーザーガンまででお願いします」

「おーい、準備できた? そろそろ、やろうよ」


 ベレートは待ちきれないと言う風にカイルに手を振る。


「いつでも良いですよ」

「じゃあ、始めよう!」


 その言葉を背中に残し、ベレートがカイルに襲いかかる。

 先ほどアイリーンに襲いかかった連撃。

 無形の連撃。

 ベレートの身体能力と気まぐれさからくり出される拳と蹴り。

 ナビちゃんの予想とカイルの反射神経で避けて、受けて、カウンターを繰り出す。


「やっぱり、カイルは面白いね!」

「まだ余裕ですか。それなら!」


 カイルはベレートの腕を取ると、投げようと引っ張る。


「手数勝負の次は、力比べかい? いいよ」


 ベレートがカイルに対抗して力を込めると同時に、カイルは引っ張られるままにジャンプをして、ベレートの頭上を飛び越える。


「え!?」


 ベレートは自分の力を利用されて、ぶん投げられ、壁にぶつけられ土煙が舞い上がる。


「やった! さすがカイル!」


 観客席からノアールの歓声が上がる。

 しかし、カイルは油断なくレーザーガンを握りしめて、土煙の方を見ていた。


 先ほどアイリーンに放たれた炎の玉が複数、カイルに向かって飛んできた。

 反射的にシールドで受けるが、あっさりと割れてしまう。

 しかし、ベレートは容赦なく炎の玉を放って来た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ