表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/71

第14話 魔王軍諜報部情報収集課人間界係主任の移籍

「おーい、ベレートくん。それくらいにしておこうか。これ以上、部屋を壊されては困るし、もう満足しただろう」


 破壊された部屋で涼しげに椅子に座っている少年は、はしゃいでいる猫獣人をいさめた。

 その隣にいるライオン獣人は少年を守るように立ち塞がり、両手でガードしていた。


「ねえ、ねえ。ボク、この子が気に入っちゃった。この鎧もなんかかっこいいし、ねえ、ねえ、ボクが貰っちゃって良い?」

「良い訳あるか!」


 ノアールがベレートのアゴを蹴り上げる。

 それを片手で悠々と受け止めるベレート。


「良い蹴りだけど、それだけじゃボクを倒せないよ」

「倒せるとか倒せないとかじゃ無いのよ。あたしのカイルに手を出した報いを受けてもらうだけよ」


 そう言うとノアールは、ベレートに平手打ちをした。

 綺麗な大きな音が部屋に響く。


「気持ちのこもった良い一撃だね。痛かったよ……キミも気に入った! 面白いね」

「あたしは大っ嫌い!」


 先ほどのカイルの攻撃にも平然としているベレートに、真っ向から文句を言うノアールを見て、カイルはハラハラしていた。


「でも、カイルに目を付けるのは、気に入ったわ。あなた、見る目があるわね」


 そう言ってノアールはベレートとがっしり握手する。

 それを見て、カイルはコンバットスーツを解除して、床に倒れ込んでいたアイリーンが起きるのを手伝った。


「いや~うちの支店長が悪かったね。何かお詫びをさせていただくよ」


 パイモニアは全く悪いと思っていないように、笑いながら提案する。


「いえ、それよりも部屋を壊してしまってすみません」


 カイルは逆にぺこりと謝る。


「ちょっと待った。お宅のトカゲ女にもまだ貸しがあるのよ。しっかり、お詫びは貰うわよ。そうね……この子をうちにちょうだい」


 そう言ってノアールは猫獣人の手を取る。


「それは困るな~ウチの支店長はあげられないないな~そうだ! ネーラ、この人達と仲が良いのだろう。闇の勇者さんのところに出向しなさい」

「え~」

「え」

「ニャッ!」


 パイモニアの提案に、ベレートの手を取っていたノアールが不満の声を上げ、カイルとネーラは驚きの声を上げた。


「ウチで10年も働いているベテランだ。戦闘能力はそれほど無いが、諜報能力は高いぞ。たまにドジだが……ネーラなら、我々との連絡役にも最適だが、どうかな? サラマンディーネ君」

「異論はありません、魔王様」


 透明になっていたサラマンディーネが姿を現した。

 部下を心配したのか、部下が粗相をしないか心配したのか分からないが、サラマンディーネはどうやら初めからこの部屋に居たようだった。


「いらないわよ、こんな泥棒お漏らし猫は!」

「まあ、まあ、暇なときはボクも遊びに行くから、今のところはこの子で我慢しときなよ」

「……あんたがそう言うなら仕方が無い。この子で我慢しとくわよ」

「あたいの意志は関係ないのかニャ? そうですかニャ」


 こうして、ネーラはカイル達に押しつけられ、仲間になったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ