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第13話 魔王軍幹部との戦い

「ほほう、四大貴族と言いますと、フェラガモ家、サンチェス家、ロレックス家、クーリエ家どちらか一つを手に入れると言うことで間違いないですかね」


 経理部長である太ったべーリアルは念を押すようにノアールに確認する。


「その通りです。その中でも穀物の豊富なクーリエ家を手に入れようと考えています。それだけ手に入れれば、独立国家と認めて、わたくしたちと誠実で公平な貿易と同盟を行っていただけると約束していただけますか?」

「約束しよう」


 魔王軍の長、パイモニアの言質を取ったノアールはほっとする。


「しかし、大丈夫なのか? クーリエ家と言えば、あの残虐慎重将軍がいるのだろう。兵力的にもかなりの差があるのではないのかね」


 残虐慎重将軍ノラリス。クーリエ家での個としての戦力の頂点は土の勇者となったマイク・チャンであり、兵を率いた軍隊としての頂点がノラリス将軍である。

 慎重で確実な戦術をとり、敵には容赦が無く、その行いは残虐で相手の士気を落とさせるノラリスは王国内だけで無く、魔王軍の中でも有名のようだった。


「それについてはわたくしに考えがあります」


 そう言ってにっこり笑ったノアールを見て、カイルとアイリーンは思った。

 何も考えていないな、と。


「そうですか。では、こちらの条件を満たした後、詳しい打ち合わせの場を持たせていただきます」

「ねえ、ねえ、難しい話は終わった?」


 それまで退屈そうに話を聞いていた魔王の隣に座っていた猫獣人が口を開いた。


「それで、こいつら、ぶち殺して良いの?」


 そう言うや否や、テーブルを乗り越えて猫獣人はノアールに襲いかかった。

 カイルは一瞬でコンバットスーツを装着するとノアールと猫獣人の間に割り込む。

 猫獣人の拳をシールドで受け止める。

 バリン!

 シールドは砕け散り、獣人の勢いは止まらない。


「ナビちゃん!」

『戦闘サポート開始します』


 カイルとナビちゃんの二人がかりで獣人の攻撃を捌く。


「やはり、罠か!」


 肉体強化したアイリーンがカイルのサポートに回る。

 二対一、いやナビちゃんを含めて三対一でも押されるカイルたち。


「魔王様。そろそろ戯れはやめていただけませんか? そうでなければカイルに本気を出させなければならなくなりますよ」


 激しい戦いを繰り広げる三人をよそに、ノアールは魔王に向かって言い放つ。


「すまないね。ベレートくんは暴れ始めると誰も止められなくてね。彼女が気が済むまで相手にしてやってもらえるかな。まあ、死なないように気をつけてね」


 魔王は椅子に座ったまま、にこやかに答えた。

 人魚のアスデウスが慌てて、水槽の水を揺らしている以外は、他の魔王軍幹部はニヤニヤと楽しそうにベレートの戦いを観戦していた。

 明らかにベレートが三人に襲いかかる事を予想している様子だった。


「そうですか、分かりました。どうなっても知りませんよ。カイル、殺してしまっても良いわよ」

「はい、お嬢様。騎士団長、少し任せました」


 カイルはベレートのスキを突き、剣を装着させると、一歩距離を取る。そして両手をベレートに向ける。


「巻き込まれたら、すみません!」


 両手に放電が始まり雷のような音がし始めた。


「両者止めてくれ! ワシはただの人間なんだ! ザガン殿、助けてくれ!」


 そういって財務部長のベーリアルは、隣に座る鳥獣人の影に隠れる。


「騎士団長! 避けて!」


 カイルの言葉と共に荷電粒子砲(バスターキャノン)が轟音と共に発射された。

 まばゆい光に包まれる猫獣人のベレート。


『警告、エネルギー残量8%』


 光が消えるころ、ナビちゃんが現在のエネルギー量を報告する声がした。

 カイルはベレートを狙いながら、その射線上に魔王が来るようにバスターキャノンを撃った。

 万が一、ベレートが避けたとしても、パイモニアには不意打ちとなる一撃。

 部屋に外からの空気が流れ込む。

 壁には大きな穴が開き、空が見えた。


「な、なんなの!? いまの! す~ご~い! ねえねえ、もう一回やって、ねえねえ」


 部屋ではあちらこちら黒焦げになりながらも、嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねているベレートがいる。

 バスターキャノンを至近距離で直撃したはずなのに、大きなダメージは無いように見えた。

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