第二章「ネオンの影」/第二話「そのままでいい夜」
本作は、小説と連動楽曲で構成されたシリーズ作品です。
ゆっくりと進行しますが、気軽にお付き合いいただければ嬉しいです。
いつもの場所。
いつものネオン。
いつもの夜。
グラスの氷に、いつも通り静かに柔らかくネオンが宿る。
誰かの笑い声。
少し離れた席の賑やかさ。
いつもの位置。
いつもの椅子。
Revyはグラスを片手に、その光景をぼんやり眺めている。
その空気が好きだった。
そしてRevyもまた、その空気の一部だった。
いつもの仲間たち。
自分が近づくと少しだけ賑やかになる。
大きな歓迎ではない。
人気者だからとか、そういうことでもない。
音がひとつ増えた程度の話。
気を遣っている風でもない。
何かが増えて、何かが減ったという状態でしかない。
でも、それが彼らなりの生存アピールで生存確認。
「よぉ」なのだと知っている。
そういうものだと話したことすらない。
挨拶……そんなものですらないかもしれない。
ただなんとなく。
なんとなくの話。
誰かが話し、笑い、突っ込み、呆れ。
そんなことを繰り返している。
時折、声を張って突っ込みたくなるような時もある。
だけど声を張るのは得意じゃない。
では、場所を移動してまで突っ込みにいくのかと言われれば、それも面倒。
つまり、結局は静かに見てる。
輪の中心に入らなくてもいい。
眺めているだけで十分楽しい。
火の中に飛び込まなくても、外から見ていれば――
誰が楽しそうで。
誰が少し疲れていて。
誰が今日は機嫌がいいのか。
なんとなく分かる。
たぶん。
正解かどうかは関係ない。
そうなんだろうなと思って見ているだけ。
グラスを傾ける。
氷の中でネオンが揺れる。
一つの光が氷の形に合わせて砕け、あちこちへ反射していく。
誰か一人が強く光らなくてもいい。
ひとつの光から、たくさんの小さな光が生まれる。
それで十分。
それだけで、この夜は十分綺麗だ。
それだけでも、何もかもが満たされていく。
近すぎなくてもいい。
遠すぎなくてもいい。
その、“距離のことを考えなくていい”距離が心地いい。
無理に変わる必要もない。
無理に近づく必要もない。
このままでいい。
この夜も。
この場所も。
そして、自分たちも。
グラスの中で、ネオンを宿した氷が静かに踊っていた。
第二章/第二話「そのままでいい夜」をお読みいただきありがとうございます。
連動楽曲
「Between The Voices - Revy in the night」
https://www.youtube.com/watch?v=k_0-LpGU_4s&list=PLotKldLgKicyyp9-bdCqgLr4qxS7-FEE-&index=16




