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ウェルヴィーア~邪神と戦えと異世界に放り込まれたオレ(♀)の苦労話をしようか  作者: タカハシあん


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84 TNT爆破薬的なもの

 殺してやる。憎い。恨んでやる。


 ああ。わかるよ。オレも人間だ。何度も負の感情が湧き起こり、惨めな気持ちになったもんさ。


 だが、それは弱いから。負けてるからだ。力がないからその状況に陥ったのだ。お前がその状況にしたんだよ。


 失ってからなにを言おうがそれは負け犬の遠吠え。なに一つ好転することはない。


 大切なものがあるなら失わないようにしろ。それを怠り、今の幸せに満足し、変わらぬ明日が来るなど幻想でしかないのだから。


 殺してやる?


 アホか。イヤなら殺す立場になれ。


 憎い? 


 相手を憎む前に無力な自分を憎めや。


 恨んでやる?


 思いで人が殺せるならなら人類はとっくに終わってるわ。


 無駄無駄無駄。お前のすべてが無駄。いや、そうでもないか。オレが幸せになる礎となってくれるんだからお前の負は無駄ではなかったよ。ブッヒャヒャヒャ!


「ゲスね」


 ハイ、ゲスでクズです。それがなにか問題でも? 


 死ぬ瞬間まで「殺してやる!」を叫んでる人生なら、ゲスでもクズでも「たっのしぃ~!」と言える人生を送ってやるわ。


「……負けてたまるか……」


 神や邪神の思惑などクソ食らえ。


「……死んでられるか……」


 お前らがオレを利用するなら、オレだってお前らを利用してやる。


「……生き抜いてやる……」


 幸せになっていいのは強者だけ。弱者は強者の踏み台でしかない。


「暴論ね」


 それが今の事実だ。違うと言うなら証拠を見せてみろ。今すぐ優しい世界にしてみろよ。言葉だけじゃ世界は変わらないんだよ。行動で示しやがれ!


「必要ならなんでもやる。悪党と罵られても構わない。弱い者は死ねばいい。ケダモノは排除してやる。こんな腐れた世界、ぶっ壊してやる」


 いや、オレの手が届く範囲の世界だけどね。それ以上は他の方にお任せや。


「……こんなところで止まってられるか……」


 ああ。そうだ。負け犬の遠吠えなど鼻で笑ってやれ。恨み辛みを言うアホに「お先に失礼~」と見下してやる。


 ふつふつと湧いて来る怒りを生きる糧として負け犬の負を燃やし尽くしてやる。


 ………………。


 …………。


 ……。


「──うん。復活」


 メランコリーリンちゃん、これにて終了。バイオレンスリンちゃんがは~じま~るよ~!


「その変態的精神力には恐怖すら感じるわ」


 変態的とか言うな。強靱的と言いなさいよ。


 抱きついていたねーちゃんから離れ、涙で濡れた顔をタオルで拭う。


「うん。いつものリンだ」


 ニカッて笑うねーちゃん。


 ……この世に生まれて一番よかったのはねーちゃんがいてくれたことだな……。


「うん」


 なんか照れ臭いが、笑顔で答えた。


「それで、どうするの?」


「ジェス。邪神の揺り籠、壊した?」


 いたたまれない表情で部屋の隅に立っているジェスに目を向けた。


「……はい。壊しました」


「レベルはいくつになっていた?」


 ジェスには邪神のことは教えてあり、能力開示できるようにしてある。


「レベル18でした。あと、特殊能力でオーラパワーとありました。なんですか、オーラパワーと言うのは?」


 >っと鑑定。


「生命力を力に変える能力。つまり、生命力を使えば数倍の力を出せる。あと、死霊や呪霊を滅することもできる」


 オレやねーちゃん以上にレベルアップしたのは、邪神の揺り籠のレベルが高かったから、かな? なんとも言えんが、これだけの被害を出させるんだからゴブリンやハーケンハイローの比ではないのだろう。


「……そ、それは、命を縮めると言うことですか……?」


「命が縮んだりはしない。ただ使いすぎると体には悪い。ここぞと言うときの瞬発力として使えばいい。レベルアップしたことにより基礎能力が上がってるんだから」


 特殊能力より基礎能力をコントロールすることに苦労しそうだな。レベル18も上がったら大木すら余裕でへし折れるからな。


 ……レベルアップすればするほど生活が困難になるって、呪いより酷いわ……。


 まあ、そのためのスーツだ。相手の強さで能力解除すればいいさ。


「やることやったし、証拠隠滅と──」


 いこうとしたら建物が揺れ、なにか爆発するような音が轟いた。


 ……今頃ラスボスの登場か……?


「ビジューナー!? いや、人の形をしているだと!!」


 割れた窓から外を見るジェスが驚愕している。


 オレも窓辺へといき、人の形をしたビジューナー? を見る。


「キモッ!」


 形容しがたい人型ビジューナー? は、全高十五メートルはあろうかと言う巨大さで、なんか吸い込んだら一発であの世に逝きそうな黒い煙を出していた。


 ……キモくて鑑定する気にもならんな……。


「ビーム!」


 ねーちゃんが光の指輪を向けてビームを放つ。が、突き抜けるだけ。


 うん。ビームは爆発しないからね。


「ねー。無駄だから止めたほうがいい」


 呪いで動いてるならビームは効かないよ。


「……グゥオオォォォォォッ!!」


 叫ぶ巨大人型ビジューナー。まるで世を呪った叫びのようだ。


「出落ち感がスゴいな」


 出すんならもっと早く……出しても同じか。リン・ザ・インパクトで吹き飛ばすだけだし。


「シルバー」


 を呼ぶ。あ、外に置いて来たんだった。生きてるよね?


「ガウ~」


 ごめんごめん。帰ったら松な坂の牛な肉をたくさん食わしてやるから許してください。


「ねー。ジェス。集まって」


 シルバーに跨がり、二人を側に集める。


「対熱対衝撃吸収バリヤー」


 魔力を大量に使うことになるだろうが、将来を考えて防御力は上げておきたい。未来への投資だ。


「ねー。ジェス。覚悟決めて」


「うん。わかった」


「とっくに決めてます」


 なんとも頼もしい二人である。


「じゃあ、点火」


 牢屋に置いたTNT爆薬的なもの二十缶に点火の魔力を送った。


 さあ、どれほどの威力かオレに見せてみろ!


 なんてお約束。これまで貯めた魔力と自身の魔力が吹き飛び、意識が暗転しましたとさ。きゅ~。


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