79 バカはどこにでもいる
まずは六日の猶予を得られた。
ならば最大限に活かすべく、カイヘンベルクに偵察隊を出してもらうようじーちゃんに働きかけてもらう。第二壁内の偵察と言う名目でな。
偵察任務は二日後に出され、二十人+ねーちゃんを投入。半分しか戻りませんでした。悲しいことです……。
それでも犠牲は無駄ではなかった。第二壁内の議員館なる場所に邪神の揺り籠があることを突き止めました。
なんでそこに? なんて問いに答えてくれる者はいないのだから今は気にするなだ。
邪神の揺り籠はまだ破壊はしない。まだオレのために存続して、呪いをカイヘンベルクに満たしてくださいな。
呪いいっぱいお宝いっぱい。ここは楽園か!? なんて思えるくらいフィーバーが止まりません。
じーちゃんからいただいた情報により、効率的に金と魔石がザックザク。僅か一日で二年は傭兵団を賄えるほど稼げました。
残り三日。皆、気合い入れて稼いでちょうだいな。
その間、オレはテントに籠もって極大爆発物創り。夜なべはしないけど、全魔力を込めるので一日の大半をクッションに埋もれて過ごしています。辛いわ~。
「わたしにはだらけてるにしか見えないのだけど」
表面ばかり見ていては人の本質は見抜けませんぞ。ん~ココアがとってもトレビア~ン。
平和な三日があっと言う間に過ぎ、聖水コピーが完了──しませんでした。なんでや?
「どうも隣国に流す者がいるらしい」
と、じーちゃんからの不確定情報。はっきりした情報を寄越しなさいよ。
「すまない。荷運びの者からの情報で確認しようがないんじゃ」
「バカなの?」
「バカはどこにもおるさ」
反論できないのが悔しいです。
「笑ってるところを見ると、なにか仕掛けたのか?」
おっと。笑ってたか。失敗失敗。
「聖水は空気に触れると効力を失う」
「……酷い娘じゃ……」
「創ったあとまで責任は持てない。契約も交わしてるワケじゃないし」
利用しようと言うヤツに慈悲はなし。あっちだって利用する者に慈悲なんてしないんだからな。
「恨まれても知らんぞ」
「リンは創っただけ。売ってるのはじーちゃん」
窓口に立ってるのはじーちゃんで、オレは雇い主様の指示の元創っている。世間はじーちゃんたちがオレを利用してると見ることだろうよ。問われたらじーちゃんの指示と言っとけばいいんだしな。フフ。
「…………」
オレとじーちゃんの仲じゃない。そんな恐い顔しないでよ。リンちゃん泣いちゃうよ。
「瓶にでも詰めて封をしたら一年くらいなら持つと思う」
じーちゃんだから教えるんだからね。特別だよ。
「くっ!」
唸ってテントを飛び出していった。これで何日か稼げるかな?
それから三日。聖水発注が止まりません。カイヘンベルクはどうすんのよ? と思いながらもさらに三日が経過。お陰で物資回収も粗方終わったようです。
「リン。いつまでここにいるの?」
狩りにいくのも飽きたねーちゃんは、テントで三つ目の光の指輪に魔力を貯めてます。
「雇い主様に訊いて」
オレらは雇われた身。雇い主様の指示がなければ動けんのです。いや、勝手してるじゃん! とか言わないでね。
「まあ、待つのも仕事だよ」
どんどん不味い状況になってる気がしないでもないが、最悪は想定してある。魔界化でもしない限りはゆったり待つべし、だ。
「知ってる。それ、死亡フラグって言うんでしょう」
ちげーよ! フラグは立てちゃったかもしれないけど!
「リン様! 町から連絡で死霊が溢れたそうです!」
ハイ、速攻で立ちましたね。名人か!
「わかった。いつでも出れるようにしてて」
グランディール傭兵団、第二種戦闘態勢だ! ってか、第一種と第二種の違いってなんやろ? ノリで言っちゃったけど、オレ、そう言うの詳しくないんだよね。
「リン。出ようか?」
「出ろと言われてから。抜け駆けは禁止」
一番槍なんて流行らない。美味しいとこ取りが流行だよ。オレの中では、だけど!
しばらくして他の傭兵団の見張りがカイヘンベルクの異変に気がついたようで、本隊が騒がしくなった。
さらにしばらくして雇い主様が息を切らしてやって来た。運動不足じゃない? もっと鍛えなよ。
「死霊が溢れた! グランディール傭兵団も出てくれ!」
「落ち着いて。死霊なら聖水をかければ呪いは消える。あとは死体を燃やせばいいだけ」
対処法は教えたじゃん。慌てる理由がわからんわ。
「それが、聖水のほとんどが持ち出されているんだ」
どこまで愚かな連中なんやろ。反対するヤツはいなかったのか?
「仕切ってるのが問題ありの議員でね、お爺様の進言も聞かないんだ」
それは好都合。オレらのターンになりそうだ。
「なら総力戦。グランディール傭兵団は聖水で呪いを消す」
まあ、総力戦になるならそれでよし。崩壊するならそれもよし。オレの目的は戦力拡大。他のヤツが死のうが関係ない。愚かな味方は早々に消え去ってくれだ。
「ねー。ボーナスタイム。しっかり稼いで」
「任された!」
では、オレも出ましょうか。ボーナスタイムは見過ごせんからな。グフフ。




