44 グランディール傭兵団
とまあ、賛否両論あるかとは思いますが、これがオレの限界。許してくださいな。
傭兵団設立。
これはジェスが来た頃に考えた策だ。
オレが戦えないのなら代わりに戦ってもらえばいいじゃない。そんな軽いノリのものだが、考えれば考えるほど苦労しかなかった。
設立費、運営費、維持費、福利厚生費、金がなければ話にもならない。
それらを仮に解決して傭兵団を創ったとしても仕事はどうする? 嫌われている獣人に仕事なんてくれるか? くれたとしても低賃金の使い捨てだろうよ。
本当ならもっと先のこと、オレが十五歳になってから。もっと準備を整えてから。力を得てからやりたかった。
だが、状況がそれを許してくれない。今から動かなければ手遅れになりかねない。やれるときがやるときなのだ。
と、自分を納得させて傭兵団を設立させようではないか。
「ジェス。十人くらい勧誘して来て」
と言ったはずなんだが、なぜかジェスは三十人くらい連れて来た。君は聴力に障害があるのかな?
「すみません。どうしてもと聞かなくて……」
オレの財政では十人が精一杯なんだがな……。
「頼む! おれらも傭兵団に入れてくれ!」
「安くても構わない。入れてくれ。頼む!」
帰れと言っても無駄なら引き受けるしかない。が、言うべきことはちゃんと言っておかないとな。
「リンの命令聞ける?」
あんたらの前にいるのは六歳児。子どもがあんたらの頭になるってことなんだぞ。
「はい! もちろんです!」
「聞けます!」
と、地面に片膝をついて口調も変わってしまった。なんでだよ? 頭おかしいんじゃねーの? 少しは反発しろや。
「リン様は我々の希望ですから」
ハァ? 意味わからんわ。
自分で言うのもなんだが、こんな不気味な子どものどこを見たら希望が出て来るんだ? オレだったら極力近づかないぞ。
……権力者の目に止まるとか生意気言ってごめんなさい。身のほど知らずでした……。
まあ、いい。聞けると言うなら問題はない。いや、いっぱいあるけど!
「わかった。全員雇う」
「ありがとうございます!」
うるさい! 大合唱で感謝せんでもいいわ!
「字、書ける?」
まずは名簿作りだ。
「いえ、書けません」
ジェス以下誰も書けませんでした。クソ。識字率ゼロかよ。社会文明はかなり高いんだから三割くらいあれよ!
愚痴っても仕方がない。手のひらの創造魔法でノートと鉛筆を創り出し、三十四人の名前を聞いて記入する。カキカキ。
「リン様。そう言えば傭兵団の名前はなんなのですか?」
名前? あ、決めてなかったっけ。
「グランディール傭兵団」
考えるのも面倒臭いので、ノリと勢いで決めたグランディールでいいや。
「グランディールに意味はあるんですか?」
「成長って意味」
深くは知らん。ホテルの名前に使われてて響きがいいから使ってみただけ。
「その槍は魔物を殺せは殺すほど成長する」
正確に言うなら血を力に魔力に変換してビームを撃てる様にしました。
「……成長。グランディール……」
なにやらジェスくんが気に入った様です。よかったよかった。
名前を書き上げたらグランディール傭兵団の証にと、銀のブレスレットを創り出して各自に渡した。
「それがグランディール傭兵団である証。それには魔法がかけてある。魔力を込めてみて」
?を咲かせながらも言う通りにするジェスたち。
「それは魔法収納。魔力をたくさん込めればたくさん入る様になる。入れたいものを見て収納と言って」
試しにと石を拾ってジェスにやらしてみる。
「収納──」
オレの手にあった石がジェスのブレスレットに入った。
「わかる?」
ちゃんとなにをいれたかわかる仕様になっております。
「……す、スゴい……」
「一日の報酬はイモ十個。食事はうちで食べる。酒もつける」
バフリーで貯めた魔力から捻出だ。クソ。
「あと、炊事仕事したい人がいたら五人連れて来て。五人!」
その獣耳かっぽじって聞きやがれ。五人だぞ五人。忘れんじゃねーぞ。
って念を押したのに十人も連れて来やがった。その獣耳は飾りか? あぁあ?
「……す、すみません。どうしても言うこと聞かなくて……」
ったく。オバチャンたちに詰めよられたら逆らえないのはわかるけど、連れて来られても困んだよ。わかれよ!
「頼むよ。雇っておくれよ。仕事が欲しいんだ!」
前世ならオバチャンたちの迫力に負けてただろうが、今生も負けました。完敗です。だってオバチャンコエーんだもん。敵にしたくねーんだもん。オレは恐いものには巻かれんだよ! クソが!
「一日イモ五個。食事とお茶はタダ。いろいろやってもらう」
それでいいのなら雇うよ。
「ああ。なんでもやるよ!」
ハァ~。出費がかさむ。
「リン様。おれたちはなにをすればよいのですか?」
ガンズ傭兵団から奪い取った装備を身につけるグランディール傭兵団の面々。武具をつけると迫力あるな~。
「まずはグランディール傭兵団の本拠地作り」
野良犬傭兵団とか言われたらイヤだからな。あ、ちなみにこの世界に犬がいるそうです。オレはまだ見たことないけど。
「木を伐って来て」
グランディール傭兵団のファーストミッションは木の伐ることだ。いってらっしゃ~い。




