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ウェルヴィーア~邪神と戦えと異世界に放り込まれたオレ(♀)の苦労話をしようか  作者: タカハシあん


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32 利害の一致

 どうもねーちゃんが開けてはならないなにかを開けてしまったようだ。


「……フフ。魔力よ貯まれ。もっと貯まれ……」


 部屋の隅で指輪を眺めながら狂気に微笑むお姉様が怖い。


「リン。ナナリはどうしちゃったの!?」


 それに怯えるお母様。もうなんと言ってよいのかわからない。


「大丈夫」


 しかし、かーちゃんまで変になったら困るのでそう宥めておく。大丈夫大丈夫。ねーちゃんなら克服するよ。


 なにをだよ? 


 そんな追及しないでちょうだい! こっちが聞きてーよ!


 レーザーを撃てる指輪。この世界にそぐわないものどころか禁忌なもんだが、神に選ばれし戦士には最強の剣を願っちゃたヤツもいる。


 神様がそれを許さないと言うなら制限をかけてるはずだ。手のひらの創造魔法も直接オレにはかからないようになっている。まあ、一拍開ければいいことなので気にならないが、制限はあるのだ。


 レーザーを出せる指輪──レーザーとかわかんないだろうし、説明するのも面倒臭い。なので、光の指輪と命名します。ハイ、拍手~!


 で、だ。その光の指輪なんだが、一発撃つのにイモ五千個分の魔力が必要なワケよ。


 普通ならそんなもん使いもんにならんわ! と捨てるところだが、なにかを開いたお姉様には最高のものと映ったようで、魔力注入、気絶、起きたら爆食い、魔力回復薬一気飲み、また魔力注入と、無限ループを起こしている。


 そんなことして体に良いワケはないのだが、ここにそんな暴挙を正当にする六歳児がいちゃったりする。


 しかも熟練度がそうさせるのか、それともレベルアップがさせるのか、はたまた生命の神秘か、日に日にねーちゃんの魔力が高まり、僅か四日で一発分の魔力を貯めてしまった。


 貯まったら撃ちたくなるが人と言うもの。止める暇なく光の指輪を発動。光が数百メートル駆け抜けましたとさ。


「ヒヒッ……ヒィッヒッヒィヒッヒィ! ウヒャー!」


 ヤダ。ねーちゃんが新たな世界に辿り着いたようです。とりあえず合掌しておきます。


 もうなにもかにも捨てて魔力注入に没頭し始め、魔力注入の日々。慣れたらいつものことになるから不思議だよね。


「リン」


 雪降る外で夕飯の準備をしていると、狩りを終えたジェスたちがやって来た。お疲れ様です。


「オールダー五匹と雪ウサギ一匹だ」


 ねーちゃんが一匹仕留めるのに苦労したものを五匹も狩って来るって獣人は凄いこと。槍で一発だよ。


「なに?」


 銅貨十八枚(雪ウサギも銅貨三枚です)ならいろいろ交換できるぜ。


「パンを二斤。イモ十個。ジャムを二つ。味噌を一樽をくれ」


 おや。味噌の美味しさをわかって来たようだ。消費が早いね。


 言われたものをアイテムバッグから出して渡す。領収書は出ないからちゃんと確かめてから受け取ってね。


「ああ。ちゃんとある。いつもすまない」


 いえいえ、こちらこそ。ねーちゃんが働いてくれないから助かってますよ。


 と、いつもならすぐに帰るのだが、なぜかジェスだけ残った。どったの?


「リンに言うのは筋違いだとはわかってる。だが、頼る者がリンしかいない」


 六歳児に頼んなよ。とは言うのは酷か。ジェスたちが生きられてるのはオレ(と言うか手のひらの創造魔法なんだけどね)がいるからだしな。


「なに?」


 ジェスとは長……くもない付き合いではあるが、良い関係だとは思っている。良き隣人とは良き付き合いをするぜ、オレはよ。


「なにか仕事はないだろうか?」


 はい? 仕事? なに言ってんのよジェスくんは? 仕事、毎日してるじゃん。朝早くから陽が暮れるまでさ。


「わかんない」


 もっとわかる様に言えや。コミュ症か。いや、それはオレか。こりゃ失礼。


「同胞を助けるためには金がいる。食い物もいる。それには仕事をするしかない。なにかあれば教えてくれ」


 六歳児に頭を下げる推定二十三歳の男。余程切羽詰まってるようだ。


 前世だったら義侠心も湧いて来ようが、今生は女に生まれ、こんな生活を送り、邪神の野望を打ち砕けとか言われる身ではなんの感情も湧いて来なかった。


 利己的と罵られ様が「だからなに?」と笑って言えるし、自分の利になるかならないかの思考になってる。でなけりゃ悪党とは言え、人なんか殺せるかよ。まともな神経じゃやってらんない世界だわ。


 そう。自分の利になるかならないか。で考えたらジェスたちに仕事を用意してやることは可能だ。


「……あるにはある……」


 でもそれはジェスのプライドが許すかどうかはわからない。過度に人のプライドを無視するのも問題だが、だからと言って考えなしにプライドを焚きつけるのもダメだ。厄介なことにしかならん。


 利害の一致。それが今のオレたちには望ましい関係である。


「教えてくれ! なんでもする!」


 ハイ、言質はいただきました。話が違うとかなしだからね。


 手のひらの創造魔法でアーモンドくらいの涙滴型の水晶を創り出してジェスに渡した。


「魔力入れて。青くなったら銀貨三枚で買う」


 もちろん、食料や道具でも可です。


「……魔力を、か……?」


 オレが欲しいのは一にも二にも魔力である。魔力がオレの原動力と言っても過言ではないのだ。ちなみに三は安全。四は安定かな。


「入れて」


 それでどのくらい入るかわかるから。あと、誰の魔力でもいいから協力して入れてください。


「……結構入れるな……」


 イモ千個分くらいかな。


「だが、四人でやれば三日で貯まるな」


 え、そうなの? 獣人って魔力持ちなの? なんかなさそうな感じだったのに。


「これはまだあるのか?」


 まあ、やれる様なので十個ばかり渡しておく。


「すまない。恩に着る」


 感謝はいらない。魔力で示してくれたらな。まあ、なんにせよ、だ。頑張れや。


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