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ウェルヴィーア~邪神と戦えと異世界に放り込まれたオレ(♀)の苦労話をしようか  作者: タカハシあん


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199 戦争は少女の顔をしている

 変身能力。


 オレも少しだけ考えたことはある。


 だが、ただの変身能力じゃなく、仮面なライダーとかウルトラな男に変身できる能力だ。


 安易な、と鼻で笑われても甘んじて受け入れよう。そんな生き難い能力など、損しかないのだからな。


「手っ取り早く声をかければいいんじゃないのか?」


 シスターナミリーを見守るのも飽きたのか、イビスが朝からオレの横にいた。


「ボク、神の使徒。仲良くしよう! と言って仲良くなるバカは早々に死んでるよ」


 九十九人が片手で数えられるくらいになっててもオレは驚かんよ。


「イビスだって、ボクと会ったときは全力で警戒してたでしょ」


 同じ神の使徒だからと言って仲間ではないし、協力関係になれるとも言えない。ましてや人間性もわからないのに無防備に近づけんわ。


「まあ、それなりにはしてたが、あれだけの組織を持った相手なら、わたしを高く買ってくれるよう動いたほうが建設的さ」


「イビスみたいなリアリストなら話は簡単なんだけど、大体の人は保身に走るんだよね~」


「ボスは、保身に全力疾走しすぎて超攻撃的になってるよな」


 違うと言えないのが悲しくて涙が出そうだよ。


「あの子を見張って二日。なんのボロもださない。用心深いのか、必要ないからか、平和に暮らしているよ」


 まあ、貧乏な生活だっただろうが、邪神に狙われず、神からの干渉も受けない。狙われまくりの干渉しまくりのオレからしたら平和にしか見えねーよ。羨ましい……。


「使徒には平等に戦ってもらおうじゃないか」


 オレばかり苦労させられるなど我慢ならん。オレが平等に──いや、不平等に扱ってやるわ!


「邪神の使徒に見つかるよりボスに見つかるほうが最悪だな」


「失礼な。ボクは大切に扱うよ」


「大切、ね。生かさず殺さずがかい?」


「嫌なら生殺与奪の権を持つ立場と成れ、だよ」


 もっとも、その立場になったらなったで違う苦労に押し潰れそうになるがな……。


「あの子の能力がなんなのかわたしには想像もつかんが、ボスが警戒するほどの能力なのかい? わたしには普通の女の子に見えるが」


「普通に見えるから嫌な感じがするんだよ」


 こんなファンタジーな世界で極貧生活を送っておいて、まともに育つなどあり得ない。性格どころか性根まで曲がってしまうくらい過酷だ。心優しくなんて不可能だろう。


「どんな変身能力かわからないけど、変身できるくらいで生き残れるほど優しくはない。なら、なにか別の力で補っているってことだよ」


 それは前世の記憶や経験、性格と言ったものだろう。


「厄介なのはそれ。イビスだって前職が役に立ってこうして生きてられるんでしょう」


 戦争屋(仮)としての経験があったからこそ生き残れている。前世と能力が合ったとき、その能力は何十倍、何百倍と活用することができるのだ。


「まーな。となると、あの子は、ボスと同じタイプってことになる、のか?」


「同じタイプかは別として、厄介ではあるとボクは思うな」


 力があれば冒険者としての道もあっただろうが、しないと言うことは知恵で生き抜くタイプと見た。


「あの子は、人の中で生き抜くのに長けてるんだと思う」


 そう言うヤツが一番厄介なんだよな。人の社会で生き抜く性質の能力だったらさ~。


「厄介なのは理解したが、いつまでもにらめっこはしてらんないだろう? ポッドを町に放って逃げられないんだから接触してもいいと思うが?」


 う~ん。イビスの言葉はごもっともだってのはわかる。だが、オレの勘が警戒してるんだよな~。


「まあ、ボスの警戒は信用に値するからな、気が済むまでやればいいさ。わたしは、敵を撃つしか能がないからな」


 そう割り切れるヤツがいるってことがどれだけ心強いか。使うほうとしてはイビスは最高の相棒だよ。


「よし。踏ん切りがついたよ」


 オレの目的は変わってない。隠れている使徒を白日のもとに晒して、邪神側の目を分散させることだ。


 ……弾除けは多いに越したことはないってことです……。


「やるのか?」


「うん。やる。虎穴に入らずんば虎児を得ず、だからね」


 あ、やると言っても殺るのほうじゃないからね。


「イビスって跳弾撃ちとかできる?」


「跳弾、って、あの跳弾か?」


「他にあるかは知らないけど、弾を硬いのに当てて標的に当てる跳弾だよ」


 アクション映画で観たことしかないけどね。


「あれ、狙ってやるには相当の技量がいるんだぜ」


「無理ってこと?」


「この石と木でできたところでは無理だろう」


「そこは問題ないよ。万能偵察ポッドがあるからね。求めるのはイビスの腕だよ」


 硬いのがないなら硬いを用意すればいいじゃない、だ。


「一日くれ」


「了ー解。万能偵察ポッドの権限をイビスに譲渡。好きなように使って」


 イビスちゃんはやればできる子だって信じてるよ。


 戦争屋の顔して部屋を出ていく少佐(って言う階級を与えてたの忘れてましたわ~)に敬礼して見送った。


 戦争は少女の顔をしている、とか小説にしたら大ヒットしそうだな。まあ、文才がないから書けないけどっ!



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― 新着の感想 ―
[良い点] >「まーな。となると、あの子は、ボスと同じタイプってことになる、のか?」 「つまり、リンみたいに殺すにはちょっと惜しー程 邪悪でタフで高慢で残忍で笑える男ってことよね」
[一言] イビスちゃんがリロードの時に 「俺のリロードは、レボリューションだ!」 とか言い出さない?
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