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ウェルヴィーア~邪神と戦えと異世界に放り込まれたオレ(♀)の苦労話をしようか  作者: タカハシあん


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177 邪神の揺り籠の質

 なにがなにやらわからないが、ゴブリンが出た。それだけを理解して対処するまで。


「どのくらい出たの!」


 まずは数の把握だ。


「いっぱいだ! 黒ずくめがわたしたちに気がついたら邪神の揺り籠になってゴブリンが溢れ出したんだ!」


 溢れ出した? 邪神の揺り籠も人によって違うのか? 


「とりあえず、駆逐だ!」


 数は脅威だが、今のオレらならゴブリンは雑魚だ。万を超えなければなんとでもなるわ!


 イビスはサブマシンガンを出して襲いか来るゴブリンを薙ぎ倒し、ジェスは魔槍グランディールを振り回して吸収している。


 一騎当千な二人がいるとオレの出番ナッシング。ただまあ、見ているのもなんなので、拳銃を出して適当に撃ってみる。


 魔法使いなら魔法を撃てよ。と突っ込まれる方々がいらっしゃるだろう。オレもそう思うよ。でも、今さらながらにして気がついたわけですよ。

 

 オレ、大魔法な攻撃手段しかねーわ。


 創る? 創っちゃう? 群れなすゴブリンを一掃しちゃう攻撃魔法を?


「──ボス! 変なことするなよ!」


 と、イビスからの理不尽な嗜め。なんでや?


「なにか不穏な気配を感じたんでしょう。悪い笑顔してたし」


 帽子の中に住む守護天使さん。君は心眼があるのかい?


 まあ、イビスとジェスが無双を邪魔をするのも申し訳ない。戦闘職を立たせるのもオレの役目である。なんの? とか尋ねられたら困るけどさ……。


 しかし、拳銃ってうるさいよな。反動とかはレベルが上がったことで気にはならないが、この音はいただけない。ただうるさいだけである。


「あ、魔法で音を消せばいいのか」


 拳銃を音が漏れない魔法をかける。フフ。これで無音やで。


「……なんかスッゲー違和感……」


 と言うか気味が悪いな。反動はあるのに無音とかオレの中の常識が狂いそうだわ。


「ちょっとは音を出すか」


 ちょっとずつ撃って音を調整。たぶん、十分の三くらいに低くなったはずだ。


「う~ん。やはり生まれたばかりって魔石がないのな~」


 アイテムボックスに入れて魔力変換するが、率がとことん低く。ゴブリン一体でイモ百個にもならないよ……。


「望みは邪神の揺り籠か」


 あれなら魔力変換できなくてもレベルアップはできる。ジェスかイビスか、どちらに破壊させるかな?


 なんて、イビスの銃弾から逃れたゴブリンを撃ち殺しながら捕らぬ狸の皮算用していると、銃撃の音が止んだ。終わりか?


「──スズ。粗方片付けたが、逃げたのも結構いるな。どうする?」


 ジェスが万能偵察ポッドを通して連絡してきた。


「逃げたのはほっといていいよ。それより、黒ずくめの仲間とかはいない?」


 見つかったにしてはあまりにも思い切りがよすぎる。普通、逃げることを選ぶだろう。でなかったら攻撃に転じるはずだ。いきなり命を投げ出すのは仲間を逃がすためなんじゃないかと思うのよね。


「おそらく逃げたのだと思う。一瞬だが、黒い影が消えるのを見た」


 やはりツーマンセルか。一人で情報収集とか危険すぎるしな。


「となると、他にも仲間がいそうだな……」


 これは確実に使徒だと思われての偵察だろうな。ったく、邪神側の情報網が現代ネット社会並みだぜ。


「どこでバレたかな?」


「なぜバレないと思うのよ。あれだけ騒いでさ」


 え? バレないと思ってましたけど? どこにバレる要素があったと?


「いや、ジェスとイビスがいたら必然的にリンだと思うでしょうが」


 ………………。


 …………。


 ……。


 あ。うん。そ、そうだね。自分ばかり考えててジェスやイビスを忘れてました~。


「と言うのはウソです。わかってるクセにノリがいいんだから、リリーちゃんは」


「……ふっ。もう義務みたいなものよ……」


 帽子の中でその表情は見えないけど、きっとシニカルな笑いを浮かべているんだろうよ。


「理解ある守護天使に感謝です」


「心にもない感謝をありがとうございます」


 もぉう。あの頃の優しい君はどこにいったのよ? カムバックだよ、守護天使のリリーちゃ~ん!


 なんて守護天使の漫才はこのくらいにして、だ。ちゃんとオレらに注目してくれてよかったぜ。


 災害竜を仕掛けた者は表には出てこないタイプだと思う。そう言うタイプは部下を捨て駒にする。


 ってことは、実動部隊がいるってことだ。それは、ベルボンに現れた雑魚やこれまでの襲撃が証明している。


「ボス! 邪神の揺り籠があったぞ」


 おっ。邪神の揺り籠はちゃんと残るんだ。消えるとかも考えてたからよかったぜ。


 声のしたほうに向かうと、透明な玉がキラキラと浮かんでいた。


 念のため、>っと鑑定するが、やはりなにも教えてくれなかった。畜生め……。


「イビス。銃で撃ってみて」


「了解」


 右腿にある拳銃を抜いて邪神の揺り籠に向けて弾丸を発射した。


 パリーンと砕ける邪神の揺り籠。物理的攻撃は通じるんだよな~。今度は魔法攻撃でやってみるか。


「レベルは上がった感じはする?」


「う~ん。上がった感じはするが、それほどでもない感じだな」


 イビスを>っと鑑定。レベル9だった。


 ベルボンでレベル7になり、女騎士を撃退したら時点でレベル8に。今のでレベル1上がっただけか。どう言うことだ? 恨みの深さか?


「まったく、厄介な敵だよ」


 災害竜を仕掛けた者ほどではないが、雑魚ではないヤツが仕切っている。今回のことで警戒されてないといいんだけどな~。


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― 新着の感想 ―
[一言] 揺り籠でボーナスステージかと思ったらそこまで美味しく無かった。 揺り籠って変換しようと思ったら百合籠になって一瞬、アリだなって思った( ˘ω˘ )
[一言] うーん、暫く邪神側の威力偵察ターンかなぁ。
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