支配
僕は冷めた視線のまま、ひれ伏す吉野さんの前にゆっくりと腰を落とした。
床に膝をつき、肩を震わせる彼女の耳元へ顔を寄せる。
「……分かってるよ。僕が弱そうで大人しい陰キャだから、都合のいい忠実な犬になると思ったんだろ? 脅せば何でも言うことを聞く、扱いやすい奴隷にできるとでも思ったか?」
淡々と、低い声で問い詰めると、吉野さんは身をすくませ、視線をさまよわせた。
「大好きな本物の霧山くんのスペア。……ただの身代わり。男版のダッチワイフみたいなものか。……いや、違ったな」
生暖かい息を、彼女の耳に吹きかける。
「……あんたのオ○ニーの道具に、僕を……俺を。……利用しようとした」
「っ……!」
卑俗で核心を突いた一言を叩きつけられ、吉野さんの肩が大きく跳ねた。
優等生として生きてきた彼女のプライドが、その言葉によってバラバラに打ち砕かれていく。
真っ赤な唇を噛み、床についた手をぎゅっと握り締めていた。
「人に汚いマネをしておいて、自分だけ被害者ぶって逃げられると思うな。……俺を身代わりに選んだこと、死ぬほど後悔させてやるよ」
俺は吉野さんの前に立ち塞がり、下半身を擦り寄せた。
「……んっ!」
頬に布地が接触した途端、彼女は顔を背ける。
俺は反対の頬に、手のひらをピシャピシャと軽く当てた。
「逃げんなよ。……雑魚○○こ!」
吉野さんはスッと顔を上げ、キツく俺を睨んだ。
「しゃぶらせてやるよ。好きなんだろ?」
「……ちがっ! ふざけないで……!」
吉野さんは震える声で反抗しようとするが、その瞳は恐怖と、どこか抗えない熱に濡れていた。
頬を叩かれたショックと、耳元に叩きつけられた卑俗な侮辱が、彼女の脳内をぐちゃぐちゃに掻き乱しているのだ。
「ううん」
吉野さんを見下ろしながら、薄笑いを浮かべる。
彼女のうろたえる姿を見ているだけで、自然と口角が上がっていくのを感じていた。
「ふざけてないよ。君が求めていたのは、こういうことだろ?」
俺は吉野さんの頭頂部にそっと手を置いた。乱暴に掴むわけではない。
ただ、逃げ出せないように、冷たい質量をもってそこに置くだけだ。
それだけの動作で、彼女の身体がピクッと小さく跳ねる。
「優等生で、校内No.1の副会長様が……放課後の教室で、陰キャの俺の足元にひれ伏してる。……これ、他の生徒が見たらどう思うかな?」
「やっ……やめて……っ!」
「『吉野さんは自分から進んで俺の奴隷になりました』って言ったら、みんな信じると思う? ……信じるよな。だって、今の君の顔、完全に男に支配されたメスの顔してるもん」
「ちがっ……! 私は……私はただ……っ!」
「ただ、本物の霧山に振り向いてもらえない寂しさを埋めたかっただけ? そのために俺を利用して、上から目線で弄んで、満足したら捨てるつもりだった?」
俺は少しだけ手に力を込め、彼女の顔を強引に引き寄せた。
布越しに伝わる俺の熱気と威圧感に、吉野さんは息を呑む。
「甘いんだよ、吉野さん」
吉野さんの喉がゴクリと鳴った。
「……男を舐めるな」
言葉のナイフが、彼女の残されたプライドを容赦なく削ぎ落としていく。
吉野さんは唇を激しく噛み締め、悔しさと恥ずかしさで瞳からポロポロと涙をこぼし始めた。
だが、その瞳は俺の視線から逃げ出すことができない。
「……悔しいか? 惨めか?」
「……っ……」
「なら、言ってみろよ。『お願いだから許してください、甲斐さん』って。靴にキスする勢いで頼めたら、考えてあげてもいい」
かつて自分が見下していたはずの存在に、完全に頭を押さえつけられている恐怖。
そして、その強烈な支配に対して、自分の身体がどこかゾクゾクと歓喜してしまっているという絶望。
吉野さんは、自分の内側から溢れ出す異常なM気に喉を詰まらせながら、ついに力なく首を縦に振った。
「……おねが……い……っ」
「聞こえない」
「お願い……だから。……許して……甲斐さん……っ!」
吉野さんは、俺の足元にすがり付き、顔を擦り寄せ呻いていた。
その上気したようにほんのり赤く染まった頬を、一筋の涙が伝ってこぼれ落ちた。
高飛車だった副会長のプライドを、完全にへし折ってやった。
その口から出たのは、哀れな命乞いの言葉だった。
俺は彼女の頭から静かに手を離し、ゴミを見るような冷ややかな目で、見下ろしてやったのだった。
吉野さんの俯いた顔の下で、口の端が少し上がっていた――。
そろそろ通報されそうなので、場所を移動しようかなと検討しております。笑。
通報しないで♡願




