04.静謐の森
静謐の森。
隣国サンドル・ペティとの間に聳えるミカレ山脈の麓からシルヴェ・ティティアにかけて広がる、不可侵の森。
精霊の棲み処とされ、無闇に人間が立ち入ることは掟で禁じられている。
なお、深くに立ち入ろうとしても気が付くと知らぬ間に森の外に出されてしまうのは、有名な精霊の気紛れである。
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図鑑に書いてあった花がどうしても観てみたくて、ラウラと一緒に静謐の森に入った。
掟で禁じられているのはわかっていたけれど、城の庭にも温室にもないのだから仕方ないじゃない。
わたくしなら森の奥に入れると思っていたのに、森の奥どころか森の外にすら出られなくなってしまった。
多分迷ったのに気付いてから一時間は歩き回る羽目になったかしら。最後の方はラウラが半泣きになっていた。
どうしようもなくて座り込んでいたら、また一時間くらいして次男が探しに来てくれた。
あんなに慌てた顔の次男、初めて見た気がする。お蔭でうっかりわたくしも泣いてしまいそうになった。
帰りながらどうしてわたくしたちの居場所がわかったのかと聞いたら、精霊が教えてくれたらしい。
森から出る時、女の声で「もう入っては駄目よ」と聞こえた気がしたのだけれど、ラウラと次男には聞こえなかったみたい。
やっぱりそれも、精霊の気紛れだったのかしら。




