28.ラベンダー
ラベンダー。
紫のふわふわとした花が咲く薬草。
青空の下、夏の爽やかな風に揺れる花。
シルヴェ・ティティアの街の北には広いラベンダー畑があり、盛りが過ぎると薬や香油の作成に使うために収穫される。
その一面の中央には、静謐の森に続く道が伸びている。
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ラウラと次男と一緒に、ラベンダー畑まで遠乗りした。
やっぱりわたくしは武で功績を挙げたシリウス辺境伯家の娘だもの。馬くらい乗れないとね。
最近全然乗っていなかったからそう主張したら、ラベンダー畑までならよいとお許しが出た。
全然遠乗りという距離ではないけれど、わたくしが街の外に出るには護衛の都合があるから仕方ないわね。
領内でも他の街に行くと、護衛で行列ができて仰々しくなってしまうし。それならまだ近場だけれどラベンダー畑の道を端から端まで往復する方がましだわ。
森の手前に小さな家があった。大分古い家というか小屋だったけれど、前からあったかしら?
次男に訊いたら、人間が勝手に森に入ってしまわないように、守り人が住んでいるらしい。知らなかった。
守り人に会って見たかったけれど、留守だった。守り人なのに。
代わりに屋根の上に、白いふわふわの毛玉が寝ていた。小さかったけれど、多分、雪猫。豪胆にもお腹を出していた。
ラウラがパイを持って来てくれたから、小屋の前で食べた。
普段ならはしたないと怒られるところだけれど、今回は次男が敷物を持って来てくれていたから問題なし。立ち入り制限をかけて貰っていたから、観光客もいなかったし。
小屋の方が街より少し高いところだったから、ラベンダー畑と城下を一望できて綺麗だった。
いつも似たような光景を見ている筈なのに、逆から見ると新鮮な気分。匂いも違うからかしら。
来年もまた来れたらいいな。




