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クロエ・リラ・シリウスの記録  作者: 白毬りりま


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20/31

20.花嫁衣裳

 ミラ・ブランシェにおいて、白は節目の色とされている。


 赤子のむつき。成人の儀の正装。婚姻衣裳。死に装束。


 色付いた世界を覆い尽くす雪の季節を経て、また芽吹きの季節を迎えるように。

 それまでの日々に一区切りをつけ、新しく始まる未来を迎えるために、白を纏うのだ。




 *****




 我らが偉大なご当主様から、花嫁衣裳の話があった。


 結婚どころか成人までまだ一年以上あるのに、いくら何でも早すぎる。婚約者だって決まっていないのに。


 と思ったら、衣装を仕立てるための糸の調達の都合があるのですって。

 てっきり、布選びも職人に適当に任せるのかと考えていたのに、お父様は機織り職人の選別から始めるそう。

 寧ろわたくしの成人どころか結婚式までに仕立て終わるのかしら。


 白の衣装は、纏う者のそれまでに関わった存在が用意する。

 わたくしにはお母様がいないから、お父様はお母様の分まで張り切ってらっしゃる。


 ドレスもヴェールも靴も宝飾品も、すべてシリウス辺境伯領のもので仕立てるのですって。宝石彫刻師は既にいくつかの部品の作成に着手しているだなんて、今日初めて知ったわ。


 お父様の熱意に、来月結婚する長男がちょっと慄いていた。

 わたくしの婿になる方は、かなりしたたかでないと大変そうね。




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