20.花嫁衣裳
ミラ・ブランシェにおいて、白は節目の色とされている。
赤子のむつき。成人の儀の正装。婚姻衣裳。死に装束。
色付いた世界を覆い尽くす雪の季節を経て、また芽吹きの季節を迎えるように。
それまでの日々に一区切りをつけ、新しく始まる未来を迎えるために、白を纏うのだ。
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我らが偉大なご当主様から、花嫁衣裳の話があった。
結婚どころか成人までまだ一年以上あるのに、いくら何でも早すぎる。婚約者だって決まっていないのに。
と思ったら、衣装を仕立てるための糸の調達の都合があるのですって。
てっきり、布選びも職人に適当に任せるのかと考えていたのに、お父様は機織り職人の選別から始めるそう。
寧ろわたくしの成人どころか結婚式までに仕立て終わるのかしら。
白の衣装は、纏う者のそれまでに関わった存在が用意する。
わたくしにはお母様がいないから、お父様はお母様の分まで張り切ってらっしゃる。
ドレスもヴェールも靴も宝飾品も、すべてシリウス辺境伯領のもので仕立てるのですって。宝石彫刻師は既にいくつかの部品の作成に着手しているだなんて、今日初めて知ったわ。
お父様の熱意に、来月結婚する長男がちょっと慄いていた。
わたくしの婿になる方は、かなりしたたかでないと大変そうね。




