59 敵は向こうに
よろしくお願いします。
ポー、眼前のベディエに大刀を真っ直ぐ、ベディエの頭上へと大きく振り下ろす。
ベディエ、受けるがポーの恐ろしいほどの力に抗えない。
鍔迫り合いでポーの力に押されている。
エリオット、ブランシュ、イズーは、ポーとベディエの一心一体の攻防、力と力が重なり合う動きに援護できないでいる。
「お兄様、離れるのよ」
ブランシュの叫び、そう言われてもポーの力に押されて身動きができないで、歯を噛み締めている。
ここで引けば必ずポーの大刀がベディエの眉間を斬り裂くであろう。
エリオット、瞬間移動でポーの背後に回ろうとするが、それを悟ったポーがエリオットが現れるであろう場所に、剣を持っていない方の手で先回りする。
「そこだ」
エリオット瞬間移動で現れるとともに、その場でポーの手に捕まり、ポーの指がエリオットの首に食い込む。
ポーの怪力にエリオット、念動力で抵抗しているが、ポーの爪がエリオットの皮膚を破り首から血が流れ出している。
「両手が塞がっているわ」
そう言うとブランシュはクノーを両手に持ってポー目掛けて突進する。
クノーを投げて、万が一にをもはずせば、ベディエとエリオットに被害が及びかねない。
「ブランシュ、駄目よ」
イズーが慌てて叫ぶが、ブランシュはそのままの勢いで飛び込んだ途端にポーに蹴りを見舞わされ、クノーごと飛ばされ後方の壁に激突させられる。
それを見ていたイズーの目が充血し出す。
否、赤く光り出しているかのようだ。
イズー両手を前に出す。
またもや破岩術の構えか。
「ほー、ここで破岩術を使うとは、私諸共親兄弟と仲良くお別れをしたいのかな」
「そうはいかないわ、死ぬのはあなただけよ」
そう言うとイズーの握られた拳が勢いよく開く。
ポーの左肩が爆炎を上げる。
エリオットがポーの腕と共に空中へ投げ飛ばされる。
エリオット、空中で首に食い込んだポーの爪を、ポーの体から切り離された左腕の手首を掴んで首から抜き、ポーに投げつける。
「貴様の腕一本、返してやる」
そう叫んで、着地する。
エリオットの首からは、栓になっていたポーの爪を抜いたため更に血が流れ出す。
「ふ、再生するなら腕も要らぬか」
エリオットは呟きながら、ポーの切り離された左腕を蹴り飛ばす。
一方、その虚をついてベディエは鍔迫り合いになっていた剣を引き、ポーの腹部へ横殴りに剣を振る。
剣が虹を引きながら美しく弧を描く。
硬い鱗に阻まれて高い金属音と共に激しく火花が散る。
ポーの大刀はベディエが引き去った剣のために、力の行くへを失った刃先が、そのまま勢いよく王の間の床を切り裂く。
その大刀の刃先を上に立て直し、ベディエ目掛けて振り上げる。
肩からは新たな腕が生え始めている。
その時、ブランシュが言う。
「敵が大勢やってくるのが感じられるわ。百人くらい、妖魔じゃないわ、でも私達を狙ってる」
思わず、ポーの大刀を避けて後方に跳んだベディエに破邪の剣が語りかければ、パステルナークが答える、
「あの姿は人間、フロサンの商人に雇われた傭兵部隊です」
ブランシュと同じく念通力を使って城外の様子を見たパステルナークが言った。
「母さん、譬へ人間であったとしても、この状況で相手にすればポーの思い通りの戦いになりかねません」
風の者四人が肩で息をしている。
ただでさえ再生能力を持ったポーを相手にしていると言うのに、百人もの傭兵達を相手になどしてはいられない。
全員の動きが止まっている中、薄笑みを浮かべているのはポーだけである。
「ふふふ、どうする? 人間を斬るか? 百人もの命を斬り捨てるか?」
ありがとうございました。




