15 念通力と念動力
よろしくお願いします。
森の中での切り株に少年は腰を下ろしている。
「ベディエ、よく頑張りました」
「でも母さん、僕、もう歩けません」
「いいえ、そなたにはまだやってもらわないといけないことがあります」
「でも、・・・。」
「ベディエ、貴方はそれでも王家の子ですか? さぁ、私の言うことを聞いて目を瞑りなさい」
ベディエは黙って頷くと目を閉じる。
「ベディエ、そのまま目を瞑って、母の言うことをよく聞きなさい。深呼吸をして、今から五感を研ぎ澄ますのです」
ベディエは全ての神経を使って周りの音や風の動きを捉えようとする。
「そう、そうです。もっとしっかりと。今、瞼の裏に何が見えますか」
「真っ暗です」
「今から念通力を使います。念通力は五感を超えた力です。そのためには五感を研ぎ澄まし、研ぎ澄まされた感覚を越える必要があります。ゆっくりと集中し、意識の中での気配に集中しなさい」
「・・・・・・・・。」
「何か見えましたか?」
少しの間が空いてベディエが語る、
「はい、母さん、小川が見えてきました。そして、たくさんの薬草も」
ベディエの幼い念通力にパステルナークが力を貸している。
「よろしい、その小川は何処に有るか分かりますか?」
「いいえ、分かりません。でも、確かに有るように思えるよ」
「ええ、確かにあります。それが念通力です。覚えておきなさい。これから、その念通力が貴方を助けるでしょう」
「はい、僕にも念通力が有ったのですね」
「僅かですが、鍛えなさい。それでは、今からその小川に行きますよ」
「どうやっていくの? 僕、もう歩けないよ」
「もう歩かなくても大丈夫、良く歩きました。あとは母に任せなさい」
「どうするの?」
「剣を抱きなさい。そして、今見えている小川を見続けて、そこへ辿り着くとしっかり念じなさい。私が念動力で貴方を連れて行ってあげます」
ベディエは言われた通り、心の中の小川を、瞼の裏にくっきりと浮かび上がっている小川へ近付いている思念を保ち続けた。
すると、本当に小川の前に座っているような気持ちになり、やがて耳には小川のせせらぎが聞こえてくる。
「ベディエ、目を開けなさい」
言われた通りに目を開けると、目の前には心で見た通りの小川が、確かに存在した。
「母さん、これは?」
「念動力を使ってここまで来ました。これが念動力です。さぁ、立って、小川の水をたっぷり飲みなさい。そして、水筒に水を入れなさい。水の補給ができたら、貴方が見たと言う草原へ行きますよ、その草原はボードという薬草の群生地です。さぁ、水を飲んで。行きますよ」
ありがとうございました。




