14【後日譚】お子ちゃまは元気です 2
「お前こそ何者なの?」
「我はこの世界の支配者となる。」
どこか自慢げなその声にイラッとする。
「あんなに弱い部下でどうやって支配者になるんだ?片腹痛いわ。」
ヤヌスもイラッとしたみたいで、声が底冷えするほど冷たい。
「あんな弱い奴に勝った程度で満足するとはな。」
そう言いながら姿を現したのは、何か色々なものをくっつけたような醜悪な化け物。
「少しは知恵もあるようだけど、醜いわね。この世界にそんな醜悪な存在はいらないわ。消えて。」
あんまり嫌だったから、つい一瞬で消してしまった。いけない。もっと話を聞こうと思ってたのに。
「気が短いな、アメーリア。」
「だって。醜いものは嫌いなのよ。」
「知ってるさ。」
だから、ヤヌスはかっこよくあろうと、日々努力してくれている。そんな彼が私は結構気に入ってる。でも求婚を受けるかどうかはまだ検討中だ。人間にも武王と呼ばれる強い人が居るって聞くし、私もまだ10歳。悩んでも許される年だもの。
「どうする?入ってみる?」
ヤヌスにゲートを指させば、そうだなと頷いてくれるので、思い切って入ってみた。
中は草原のような広い場所で、だけど、焼けて、荒れ果て何も無い場所だった。
「お腹が空いてやって来たのかな。」
「有り得るな。」
周りを埋め尽くす化け物を片っ端から倒し、ひたすら前に進む。前方には巨大な魔力がある。きっとあれがこの世界の親玉だ。
「さあ、もう手下は消えたわ。後はあなただけ。」
「ぐぬぬぬ。」
私とヤヌスで倒した化け物で地面は見えない程だ。正面には、私の五倍はありそうな巨大な化け物が一体。
「お前たちは何者だ?」
「うーん。村人?」
「村人とは、戦闘力の高い生き物という意味か?」
「違うわよ。一番普通な人って意味!」
隣でヤヌスが普通な奴はこんな事できないとか何とかボソッと呟いた。
「普通?この世界はそんなに強いのか?!」
「そう、かな?」
途端に親玉らしき奴が狼狽え出した。
「ゲートから出てくれ。我々はこの世界を諦める。他の奴らにもそうするように話をつける。」
「え?戦わないの?戦ってあげるよ?遠慮してる?」
「戦わない。頼むから出ていってくれ。」
「ええーっ。せっかく来たのに。」
「お前は戦うのが好きなのか?」
「うーん。割とすき。」
親玉は悩むと黙り込んだ。そして、
「分かった。我の説得に応じなかった奴の相手を頼もう。それでどうだろう?」
生贄を差し出すから、自分は助けてって事ね。何だ結構腹黒じゃないの。
「来るタイミングが分からないわ。」
「我の力でゲートができる場所を固定化する事は可能だ。」
ヤヌスが頷くので、魔王城の近くにゲートを固定して貰うことにした。誰かがいつも見張ってくれるし、弱い連中は鍛錬の相手にするのも良い。
「分かった。取引に応じるわ。」
「良かった。」
そして取引成立。
ぎゃああああ
今日も魔王城の近くに現れたゲートでは、魔物と化け物の戦闘が行われている。いつもは味方相手に戦う為、思い切り戦えないけれど、化け物相手なら遠慮なく戦えると、魔物の配下達にも評判が良い。
いい取引をしたなと私は満足している。
だって、時折、中々強い奴にも出会う事ができて、私もヤヌスも凄く楽しいから。
最近では、魔物たちは、このエリアの事をワンダーランドと呼んでいるそうだ。いい響きよね。
末っ子も私の腕の中、元気に魔法をぶっぱなし、ご機嫌に笑っている。良い遊び相手だと両親もニコニコとしている。
やっぱりこの世界は平和で楽しい。
最後までお読みいただきありがとうございます。




