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ヒロインは村人Aになりたい  作者: ダイフク
10/14

10 貴族になるのは断ってしまった

15歳になった。


小説通りなら、学園に通う年齢になったけれど、私は平和に田舎暮らしを満喫している。

その上、母の実家であるバスティス公爵家とも今では、いい関係になっている。


私たちとおじいちゃんの間を取り持ってくれたのは、バーミリオンおじさん。

私との文通に途中から参加したお母さんと色々相談したらしく、一度顔を合わせて話をしようと言うことになった。


私たちは馬車に乗り、片道10日の旅をして、王都に向かった。あれ?片道一日じゃなかった?おやぁ?



とにかく、王都は大きくて、おじいちゃんの屋敷は凄く立派だった。村長さんの家の数十倍は大きくて、この屋敷の敷地で、私たちが住む村がまるっと入ってしまいそうな程!


馬車から降りると、小説では死にかけていたおじいちゃんは、大股で走って来て、いきなり私を掴むと抱き上げて、頬ずりしてくるから、びっくりした。


「お前がマリアか。ありがとう。わしもバーミリオンもお前に救われたのだな。」


びっくりし過ぎてあわあわしていると、お母さんが怖い笑顔で強引に私をおじいちゃんから引き剥がした。


「ええ、そうよ。お父様。恩人にその態度は頂けないのじゃないかしら?」

「いや、わしは親愛の情をだな……」

「ふぅん。私はまだマリアに触れていいと、許してはいないと思うけれど、もう耄碌なさったのかしら?」

「す、すまない。」


お母さんがお父さんに強いのは知ってたけど、おじいちゃんにも強かったのだと、私は認識を改めた。


「よく来てくれたね。」


優しい声に顔を上げれば、お母さんが嬉しそうに泣きながら男性に抱きついていた。


「バーミリオン、本当に元気になったのね。」

「うん。姉上、マリアのおかげだよ。ありがとう。いや、マリアに魔法を教えてくれた、ジャスティン様のおかげかな。」


お父さんは、まだ幼い弟を腕に抱いて、私たちの後ろに緊張して立っていたが、その言葉に口元を綻ばせていた。


「さあ、皆様、外ではなく、お部屋でゆっくりとお話下さい。」


そう言って、白髪の背のスっと伸びた人が声をかけてくれた。もしかして執事なのかも。生執事。何だか緊張する。かっこいい。名前何だろう?セバスチャンだともっとテンション上がりそう。前世で見たあのアニメ好きだったの。


後でこっそり聞いたら、やっぱり執事で、なんとセバスチャンさんだった。素敵。



まあ、こんな感じで、私たち親子とおじいちゃんは仲が良くなって、お互いに手紙のやり取りや、行き来をするようになった。

おじいちゃんは、王都にって言うけど、お母さんは絶対に引っ越さないと言って、おじいちゃんは諦めるしか無かった。


やっぱり近くにいると、他の貴族の干渉が激しくて嫌だって事らしい。貴族社会ってやっぱり煩わしいんだね。

私と弟は、好きにしたらいいと言われた。貴族になりたければ、バスティス公爵家で、孫として正式に暮らすもよし、今まで通り、田舎で暮らすもよし何だって。

ただ貴族になるなら、勉強が必要なので、家庭教師を用意するってバーミリオンおじさんが言っていた。ちゃんと面倒見の良い、いい人を選んでくれるそうだ。


今なら、貴族になっても小説のような苦しい思いをする事はないけれど、私は田舎暮らしを選んだ。


だって、デュークがいるから。


1年ほど前から、デュークは、弟のヤヌスとおじいちゃんと一緒に村に引っ越してきてて、私たちは、毎日一緒に過ごしてる。

弟のヤヌスも美形なんだけど、どこかで見た顔のような気がするのよね?どこで見たかは思い出せないけど……


この間も花畑で遊んでいたら、デュークが私にって花で指輪を作ってくれて、そっと指に嵌めてくれた時には、凄くドキドキして、嬉しかった。

だってデュークったら、その指輪にキスするのよ。まるでロマンス小説みたいじゃない?でもそんなキザな事しても嫌味じゃなくて、かっこいいばっかりで。私はきっと真っ赤になってたと思う。


それに、たまに連れていってくれる石造りのお城も、結構好きだし、やっぱり田舎暮らしはやめられないわ。

弟のニールはまだ小さいけれど、勉強好きな子だから、もしかしたら、貴族になるかもしれないわね。

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