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08

 どこかの組織に所属して、生きていく場所を確保する。そのつもりではあったけど、騙そうとしていた所が引っかかる。僕は、早口で「……僕、そろそろ、帰りますね!」と言うと、ジョマとつないだ手を離そうとした。

「待ってください! ちょっと待って!」

 でもジョマは、必死でそう訴えながら、僕の手を離してくれない。というか力が強くて、振りほどく事もできない。

「いや、そもそも入るって言ってないし! 強引にここまで連れてきたじゃん!」

「ここまで来てそれはないですよ! その気だったんでしょ?! 君もその気だったから、ここまで来たんでしょ?!」

「そんなつもりなかった!」

 逃げようとする僕の腕を、がっちりつかんで離さないジョマが、少しへりくだるように口を開く。

「ちょっとだけ、ちょっとだけですから! ね!」

「そう言って、完全に入れる気でしょ! わかってるんだから!」

「へへへ、君もそういうの好きでしょ? だからここまでついてきたんでしょ? だったら入っちゃえば良くなって、気にならなくなりますよ、だから、ね? 一回、一回体験してみましょう? ね!」

 なんだこの、口の上手いダメなナンパ男と、それに騙されてついてきちゃった女の子が、ラブホテル前で繰り広げる様なやりとりは。僕はふと、ジョマのペースに乗せられている事に気付いて、正気に戻る。一度落ち着こう。

「ちょっと、一度落ち着いて話し合おう」

 僕はゆっくりと力を抜く。それを見てジョマも、引っ張るのをやめた。でも手を離してはくれない。

「手を離してくれない?」

「逃げるといけないので、お断りです」

 ジョマがそう言うと、掴んでいる手に少し力が入る。本当に逃がしたくないらしい。仕方がない。僕はとりあえず、ジョマに疑問を投げかける。

「どうして、人員の要請とかしないの?」

 騎士団と名がついているのだから、人員の要請でもすれば、誰か来てくれるのではないのだろうか。こんな、今日会ったばっかりの人間を入れようとするより、よっぽど可能性は高そうだ。

「もうしました、ダメだったんです」

 そう言って、少し泣きそうな表情になったジョマが、訴える様に続ける。

「私には向いてないんです! バカなのでぇ、ここに押し付けられるものは、本当に訳がわからなくて、もう気が狂いそうなんですぅ」

 この部署は、島流し部屋とか、追い出し部屋の類なのだろうか。僕はそんな事を思いつつ、口を開く。

「誰も来てくれない上に、一人が嫌なのは分かったけど、でも僕じゃなくても良くない?」

「ロクはチョロい……じゃなかった、正義感があるからです!」

「今、チョロいって言ったよね?!」

「言ってません! 聞き間違いですよ!」

 真正面から僕に視線を向けて、ジョマは嘘をつく。手をつないで、鼻の下を伸ばしてた訳だから、確かにチョロいのかもしれないけど。

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