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「誰かが耳元で囁いた気がした……その方法なら、誰にもバレずに邪魔者を消せると」
そう言った。確かに。これを聞いた時、僕の頭に浮かんだのは女神モリアテの事だった。あの女神が、ハルソンの背中を押したのではないか。きっかけを作ったのではないか。
「証拠はない、けど……もしそうならどこから」
ハルソンの子供時代からだろうか。偶然、収れん火災の発生の瞬間を見た時から、モリアテに操作されていたのだろうか。だとしたら、人の人生をなんだと思っているんだ。神だとしても、やって良い事と悪い事がある。
「いや、結局証拠がない……はぁ」
今のところは、何もない事を願うしかない。神の気まぐれが起きない様に。でもいつかは。
僕の頭にモリアテが笑っている姿が浮かぶ。心底楽しそうに、笑う姿が。これは僕の想像なんだろうか。それともモリアテが見せているのか。
「さっきから、何をブツブツ言ってるんですか」
「あ……ジョマ、起きてたの? ちょっと考え事だよ」
さっきまで突っ伏していたジョマが、体は起こしていないけど、顔だけこちらを向けていた。深く考え事をしていたせいで、全然気づかなかった。
「ロクの良い所はよく考える所ですけど……それがそのまま悪い所でもありますね」
気だるそうに体を起こして、ジョマが続ける。
「めちゃくちゃ、険しい顔してましたよ……もうちょっと楽に生きましょう」
にへらぁと笑ったジョマは、持っていたジョッキを掲げる。しばらくその状態で静止していた。てっきりそのまま飲むのかと思ったら、こちらを睨むように視線を向けてくる。
「何をボーとしてるんです、乾杯ですよ、乾杯!」
「あっあぁ、そういう事」
僕は、急いでそばにあったコップを持ち上げて、ジョマのジョッキに当てた。
「乾杯です」
「何に乾杯なの?」
僕の言葉に、ジョマは少し不機嫌そうな表情を浮かべる。
「白ける事言わないでください」
「あぁ……乾杯」
僕の言葉に満足したのか、笑顔になったジョマはジョッキをあおって、残っていたお酒を飲みほした。
「ぷはぁ」
「いい飲みっぷりで」
「ありがとうございます」
嬉しそうにジョマが言った後、お酒のお代わりを頼んだ。本当に楽天家だ。でもそれを見ていると、なんだか気持ちが楽になってくる。
「ロク……これからよろしくお願いします」
ジョマがふいに、微笑んで言った。
「あっ、うん、よろしくね」
僕も言葉を返す。
僕はこれからここで生きていく。とりあえずは目の前の事に、集中していくしかないだろう。モリアテの事は放置できないけど、今は考える事はやめよう。でも、いつかは、僕はそんな事を考えながら、ジュースを飲みほした。
ここまで読んでいただいてありがとうございます!
続きは現在執筆中です。
一気に更新するか、一日一話か二話更新するか、考えている最中です!
少々お待ちくださいm(_ _)m




