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デパートメント1

 

 ▽チュナ帝国飛び地まで旅するしたくをしよう。

 ▽新開店のデパートメントへ行こう!


 ▽店員が 虹色の目で みている……。



「わー、ここがデパート?」


 レナたちは完全におのぼりさんだ

 まず、大通りからよくみえる五階建ての建物を見上げながら、しばらくの間足を止めてつっ立っていた。

 これほど高さのある建物が平民街にあるのは、近隣を巡っていても見つからなかった。初めてのことだ。一般的な貴族の屋敷よりも背が高い。


 さわやかな木製に飾りが施された両開きの扉をスタッフが開いてくれる。

 中に足を踏み入れれば、ふんだんに使われた窓ガラスが外からの光をたっぷり取り込み、フロアの中央まで行けば天井につけられたライトも贅沢だ。


 壁際と通路の両脇に商品が厳選されてならんでいる。

 衣服、雑貨、食加工品まで、商業ギルドおかかえのブランド店がさまざまあった。ローランド辺境伯領の有名店はここにくればほぼほぼ見つけられる。


(品数は少なめだから、イチオシをここで見つけてから、本店につながるようなしくみかも。地図つきパンフレットも置いてあるし!

 知ってる街でも、地図を見ながら歩くのはまた楽しさが増すよねえ)


 ヒト小国家群では近頃、デパートメントを建てていることが街の発展を示す重要なステータスになってきていた。

 チュナ帝国ではローランド辺境伯領が初めてだ。

 実は王都に建設中だったのだが、ローランド辺境伯は反発心からか、特急でこの建物を仕上げてしまった。今頃王族はハンカチを噛んで悔しがっているかもしれない。


 きらびやかさにびっくりしているノア、目移りしているロマン、なかなかやりますなとヒゲを撫でているキーユウ。

 面々と違い、レナは、何とも言えない懐かしさをこの場所に感じていて、不思議そうに自らの胸を押さえて首を傾げていた。


「いらっしゃいませ。お客様」


 階段前、案内係が制服のスカートをさばきながら優雅に挨拶をした。

 2階からの店舗紹介をするつもりらしい。


「あ、マリさんこんにちは。ここでバイト始めたんですか?」


「……。……!? ちょっと待って……」


 彼女マリは営業スマイルを引っ込め、スッと真顔になった。レナの胸元に注目する。唯一、探知スキャンすらできない従魔がいるため、それがレナに影響を及ぼしているのだろうと見当をつけた。

 レナは友好的だが、コントロール権がうまくいかないのは不安が大きい。


 レナを手招きで呼んだ。

 しかし、レナだけを連れて行くことはできない。

 レナの後ろに、ぴよぴよと、ひよこの行列のように従魔たちが一列になってついてくるのだ。

 人型で街に馴染むこともずいぶん上手になったとはいえ、容姿の整った一向の珍しい動きは、注目されないはずはなかった。


(うそ、目立つのは嫌いなのに。冗談じゃないわ。へーぜんとしてるんじゃないわよ、あんたねえ〜)


 レナたちをやっとデパートメントの片隅に押し込むと、マリは額をふく仕草をしてから、ぴしりとレナの方を指差した。


「ニコニコしてる間に、アイスが溶けかけてるよ」


「それは大変。キサやイズミがいないから、冷やしてもらうこともできないし」


「そういう問題じゃないでしょ」


 この片隅は喫茶店になっている。

  かなり強気な値段設定なので、まだお客は入っていなかった。現在、レナパーティが占領していて、食べ物をチラチラと通行人が横目でみていく。


(う〜、座ってても目立つのか。どうやって社会で生きて行くっていくのよ)


 レナたちに話しかける冒険者がいた。

 しかし休憩中だからと言えば、ごゆっくりと離れていった。


(……認知はされるけど、目こぼしされてるというわけか。生存戦略として、意外と理にかなってる。

 例えば目立ち続けたらトラブルがやってくるし、地味に隠れていればコストカットされる時代だ。コミュニケーションにより日常生活を許されているのか、あれほどの異常集団でも。望んでいるのが日常生活だけならば、最適解だ)


 マリの目元がゆるんだ。

 指先もふっとほどける。

 肩から力が抜けて、自分がずっと緊張プレッシャー状況だったことにようやく気づいた。


「わざわざ話しかけてきてくれるなんて、嬉しいよ。"前"より距離が近い感じだ」

「どれくらい覚えてる? マリって名前以外」


 レナはエピソードを話した。


「……」


(私は2回名前を偽って、別人になりすました。だから、前の名前の情報はラナシュから一時消去されていて、復元するためには、また商業ギルドに行ってマリの名前手続きをするところから始めなきゃいけないはずなのにな)


 マリはレナをじーっと観察している。

 普段、気配を消している時は好きにそうしていた。

 しかし今は視線が返ってくる。

 バツが悪くなって、マリは髪の毛先をくるくるとした。


(あぁもう、気になるとすぐ調べないと気が済まないのよね、私って。コントロールできてない状況が2番目に嫌、なんでコントロールできないか把握できないのは1番嫌。たとえ消えてしまうなら納得をしてから消えたいし、生存するにしてもどうして自分が生存しているのか、いつだって把握しておきたいの。これは……出直しね……)


「ちょっと帰る」


「マリ?」


 マリの背中は人々に紛れてすぐ見えなくなってしまった。

(何か用事があって声をかけてくれたけど、私ばっかり話してたから、イライラしちゃった可能性もあるかも?)


 なんだかんだとアイスを奢られているシズルの隣にレナは座り直した。


「ねえ、さっきの子、怒らせちゃったかな? 普通の会話してただけと思ってるけど……シズルさんから見てどうでした?」

「なんで俺に聞くんだ」

「この辺の一般庶民っぽい価値観してそう」


 ▽確かにね!

 ▽もーちょっとだけ続くんじゃ!

読んでくれてありがとうございました!


あと中途半端でごめんなさい汗

今日はここまで、土日に文量を足します。


今週もお疲れ様でした。

よい週末を!₍˄·͈༝·͈˄₎◞ ̑̑

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