第4話 情報こそ最強の盾
農家ほど過酷で、しかも天候に左右される博打要素マシマシな職業はないと思う。
しかし、だからこそ緻密に作付けスケジュールを組み、天候を先読みして畑や品種を設定し、あとは天の時を待つ。
天候次第で、高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に対応し、そこでようやく実りを迎えるのだ。
知識も、技術も、度胸もなく、現場を知らない上から目線の意見を吐き出す輩を、農家の一人として心の底から軽蔑している。
まあ、ガチな農家になれとは言わないが、庭先やベランダで、野菜を一つ作ってみると良いだろう。
土づくり、水やり、施肥、追肥、剪定、防虫と、実る前だけでもこれ。
結構大変だから。
それを百倍、千倍、万倍の規模でやっているのが、ガチ農家である。
ちな、自分は3haほど農地を借りて白ねぎ栽培に勤しんでいるぞ。
9000坪、東京ドーム0.6個分だ。
それで稼ぎは2000万ほどになります。
その合間を使って、メディア露出を増やし、白ねぎの宣伝をやっている。
各種イベントや食育関連行事も手掛けています。
忙しいけど、まだ余力はあるので、農地を増やそうかとも考えている。
キツいけど楽しい、それが自分にとっての農業だ。
なので皆さん、野菜の値段が上がったら、まずはなぜ上がったのか疑問を持つようにしてください。
因果応報!
物事には必ず事情や理由が付随しているものです。
疑念、疑問こそ、視野狭窄を打破する最高の目薬。
一歩踏み出し、目を見開けば、新たな知見を得られる機会に恵まれるのです。
情報には敏感に反応し、その上で裏取りをしっかりする事。
最近、特に自分にとってショックだったのが、『ジャガイモ輸入解禁』についての新聞各社の報道姿勢です。
日本は“生”のジャガイモを輸入していません。
一般流通はなく、ポテトチップスなどの“加工用”として入れているだけ。
しかし、最近の報道でジャガイモ輸入解禁の話題が、農業界隈で持ち上がっており、特にジャガイモ農家の多い北海道では大騒ぎになっています。
問題は病害虫。
『ジャガイモシストセンチュウ』というヤバい寄生虫がいまして、こいつに感染したジャガイモは発育不良を起こし、腐敗していきます。
なおヤバいのは、こいつの耐久力と拡散力。
条件次第では、10年、15年は卵が土中に残るほどのしぶとさ。
そして、僅かに付着した土からでも、他所の畑に移ってしまう拡散力。
なので、北海道のジャガイモ農家は絶対によそ者に畑には近付けさせませんし、自分達も長靴を徹底的に消毒して、畑の移動を行っています。
ジャガイモ輸入解禁は、そうした病害虫を招きはしないのかという不安の表れであり、こちらもよく理解しています。
白ねぎにも『ネコブセンチュウ』なる厄介な寄生虫がいまして、こいつと日夜戦いに明け暮れている。
農家としては、敏感になる話題です。
そんな中、『ジャガイモ輸入解禁』についての報道は、思いっきり偏っています。
まるで判を押したかのように、新聞各社の報道が“解禁が確定した”かのように報じており、政権側に圧を加えているかのような報道ばかり。
特に、『産経新聞』もこれに加担しているのが、個人的には悪目立ちしている。
例の辺野古での一件で、唯一まともに報じている大手新聞社だけに、解禁解禁という論調に持って行こうとする姿勢には目を疑いました。
政府広報でも、解禁は決定事項ではないと発せられてからも、ジャガイモ輸入解禁の訂正記事も、両論併記も一切なし。
完全にどこかからの指示で煽っているかのようです。
大手新聞社が一斉に、ね。
この件で真っ当に報じているのは『農業新聞』だけでした。
ここだけがこの件では唯一の良心。
農業関連の情報に特化した新聞が、農家を煽り、不安を撒き散らす報道はできませんからね。
輸入ではなく、国内での食料生産の増強にこそ、努めるべきです。
安い輸入品に頼るのは良くない事です。
いざというところで梯子を外されたら嫌ですからね。
アメリカ
「ごめん、ハリケーンでトウモロコシが吹っ飛んで、輸出に回せる分が無くなったわ。今期は無しで!」
ブラジル
「ごめん、熱波で大豆の調子が良くなくて、今期は輸出無しで」
カナダ
「ごめん、天候不良で小麦の生産がダメだった。そっちに送れない」
チリ
「サケが不漁だったから、今年は送れないわ」
メキシコ
「病気が蔓延して、ブタがやられた。輸出はなしで!」
こんな事になろうものなら、食料事情は一気に悪化します。
食料生産も一種の“生存競争”であり、“戦争”でもあるのです。
“食料安全保障”の観点からも、決して食料生産を軽視するべきではない。
安いからと外国産ばかりに頼っていては、いざ何かしらの理由で輸入が滞った時に取り返しのつかない食糧不足に襲われる。
その時になって慌てても遅い。
畑なんて、それこそ一夏放置すれば使い物にならなくなる。
元に戻すのにどれほどの労力が必要か。
土づくりからリスタートなので、実りを得るまでに時間がかかる。
そうならないためにも、国内の食料生産に注力しなければならないのです。
むしろ、無軌道に騒いでいる輩を後ろから煽っている存在にこそ、危惧するべきでしょうか。
日本の自給率を悪化させ、外国への依存度を高めれば、それが外交上の枷になるのは明白。
ちなみに、日本の食糧輸入先はアメリカと中国の二国が突出しています。
どちらも日本に枷を付けておきたいと考えているでしょうし、『ジャガイモ輸入解禁』の裏には、どちらかが蠢動しているのかもしれません。
もちろん、何か証拠のあるわけでもないですが、“疑念”はあります。
頭の片隅に留めておく程度で良いでしょうが、国家に真の友人がいない以上、必ず裏があるのが国同士の付き合いというものです。
盲信するのではなく、疑いの眼差しで相手を見ながら、笑顔を絶やさないように。
最後にこの言葉を述べて、今回は締めくくりましょう。
「大国に頼り切る事は、それに逆らうのと同じくらい危険な行為である」
自らの手足があるのであれば、立って歩き、掴みに行け!
自らの目があるなら、自分の目で見て確かめろ!
自らの頭があるなら、目の前の表向きな情報を疑い、その裏に潜む理由や事情を探り、思考し、答えを導き出すべし!
自助、自活、自給、これを決して忘れないようにしましょう!
未来は自らの行いによって開拓されねばならないと、一人一人が自覚していきましょう!
以上!
~ 完 ~




