第50話 虹崎妃の介入
50話到達!ここまで読んで頂いている方、本当にありがとうございます!
しばらくは平和な大学生活が続きますが、少しでも楽しんで頂けるよう書いていくので今後も是非お読み下さいませ。
「皆さん、本日もお疲れ様でした。それでは───」
「「「いただきまーす!!!」」」
全員が席に着き、何やら位の高そうな人が前に出てきて号令をかけた。
小学生かな?と思うような光景だが、この場には実際小学生くらいの歳の生徒もいるようなので、そちらに合わせているのかもしれない。
……と、なんだかんだ考えてはいるものの、黎翔の手と口は止まることなく動き続けていた。
「あむ、んぐんぐ……」
カチャカチャと、箸と皿が擦れる音と、自身の咀嚼音以外の全てを遮断し、ただひたすらに目の前の料理にがっつく。
……その様子を、付近の3人が冷たい目で見ていることなど、黎翔にとって知ったことではないのだ。
「ホントに腹ァ減ってたんだな……」
「す、すごい食べっぷりだね……」
「まぁ今までご飯あげなかったアタシが悪いんだけどさ……」
呆れを通り越して哀れみさえ抱えながら、3人は黎翔の食事を眺める。
「……ん?どしたお前ら、食わねーの?めっちゃ美味しいぞ?」
黎翔の食事姿に呆気に取られ、唖然としていた3人に黎翔が気づき、そう声をかけた。
「あぁ、うん。アタシたちも食べよっか」
「だね」
これ以上黎翔の方を見ていたら流石に黎翔に怒られる気がしたため、3人も食事に手を付け始めた。
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「黎翔くんって、いつから講義に参加するの?」
ゆっくりと食事を食べていた妃が、黎翔に質問を投げかけた。
ちなみに、黎翔はもう既に食べ終えている。有り得ない量を有り得ない速度で食べてしまったため、紀章と御織は半ば引いていた。本人は気にしていないのだが。
「確か明後日から……だよな?」
「うん、そーだね」
答えてから少し不安になったため、御織に質問した。たった今食事を終えた御織は、口元を拭きながら頷いた。
「そっか。じゃあ明日は何する予定?」
「……何する予定なんだ?」
今度は全く知らない内容だったため、初めから御織の方に質問する。
「明日は黎翔の準備かな。軍服もらったり、学校の案内したり。あとは普通に街の方を案内するつもりだよ。一人で生きていくためには、買い物の仕方くらい知っててもらわなきゃ困るからね〜」
ポケットから取り出したスマホを見ながらそう答えた。どうやら、諸々の予定をスマホにまとめていたらしい。
「几帳面なんだな」
「まぁね〜。アタシ、黎翔のお世話だけは完璧に終わらせるつもりだから!」
「そりゃ頼もしい限りだ」
褒められて満更でもなさそうな御織は、ドヤ顔で胸を張っていた。それを見て黎翔も微笑む。
「……なるほど。うん、大体分かったよ」
妃は、少し間を置いて反応した。
そして……不意に、黎翔の耳元までグイッと顔を寄せてきた。
「っ!?な、なんのつもりで───」
動揺して離れようとした黎翔の耳を掴み、言葉を遮った。そして、自身の言葉を伝えようと、口を開く。
「キミ、召喚者なんだよね?」
「………っ!!」
周りの誰にも───御織にも紀章にも聞こえない程度の声量だった。しかし、黎翔の耳にはハッキリと届いた。
それを聞いて、黎翔はすぐさま警戒態勢に入った。妃から少し距離を取り、身構える。
「ああ、ごめんね。だから何かするって訳じゃないんだ。私は召喚者差別反対派だから」
それを宥めるように、少し早口で妃が話した。それを聞いて、黎翔は警戒を少し緩める。
「……そうなのか?」
「うん。私は黎翔くんをどうこうするつもりは更々無いよ。むしろ仲良くなりたいくらいだから」
ハッキリと言いきったその態度から、黎翔は誠意を感じ取った。
(多分本当だろうな。つか、バレてヤバいなら御織が教えてくれるはずだし)
そう思ってチラリと御織の方を見ると、
『大丈夫。その子は信じていいよ』
と言わんばかりに頷いていた。
それを見て、黎翔はようやく警戒を完全に解いた。
「……で、召喚者かどうか知って何になるんだ?」
「特段何も。さっきも言ったけど召喚者差別反対派だからね、私。平等に仲良く接するつもりだよ。ただ……」
そこまで言って、妃は黎翔から御織へと視線を移した。
「御織、お願いがあるんだけど」
「お、珍しいね?妃からお願いなんて。なんでも言いなよ〜!」
随分と親しげな感じで、御織は話す。
(紀章だけじゃなくて、妃とも何かしら関わりがあるみたいだな。の割には……)
チラリと、妃の顔を見る。
(……違和感、が気のせいであることを願ってるよ)
わずかに感じたその感覚を、黎翔は忘れることにした。今は話を聞くべきだ、と判断した。
「明日、私も一緒に街を回ってもいいかな?」
「一緒に……?」
その提案は、黎翔にとっては特段問題は無かった。むしろ、クラスメイトと親交を深めるいい機会だと思った。
のだが、ここで問題が発生する。
「うん、一緒に。私と……紀章くんと、ね」
「「………………はぁっ!?!?」」
あまりに突然名前を出され、半分話を聞いていなかった紀章は大声を上げた。ついでに黎翔も。
「な、なァーに勝手に決めてんだァ!?」
「そうだぜ!コイツ話し方ムカつくから俺はヤだぞ!!」
「テメェマジでブッ殺すぞォ!?」
2人して互いに指を差し合いながら、文句を叫ぶ。
「2人とも落ち着いて。ね?」
「ね?じゃねーよ!!」
ウインクしながら可愛くお願いされたが、この程度で揺らぐ黎翔ではない。
……が。
「そうだぞ落ち着けやテメェ!!」
「なっ……お前チョロすぎだろ!?」
妃のことが好きだと推定される紀章は、一瞬で妃の味方になってしまった。黎翔以上のチョロさである。
「黎翔くん、明日服買いに行くんでしょ?そうなると、私と御織の女子二人だけじゃ不便も多いと思って。それに、紀章くんも同じクラスなんだからさ、今のうちに仲良くなっといた方がいいと思うんだ」
「それは……」
冷静な妃の正論に、黎翔は反論出来なかった。次の言葉を探すが、何も言い返せない。
「でも、妃たちは明日講義じゃないの?平日だよ?」
口を噤まされた黎翔の代わりに反論したのは、スマホのメモを眺めていた御織だった。
「た、確かに!いや〜無理して休ませる訳にもいかないし、今回はお断りさせてもらうぜ、ハハハ!!」
「……テメェ、どんだけ俺と一緒に行きたくねェーんだよ?」
それに速攻乗っかり、黎翔も早口で断る。
(妃との親交は深めたいが、紀章は別にいいんだよなぁ……無礼極まりないけど)
何故かは分からないが、黎翔は紀章を直感的に避けていた。どこが嫌か、と言われても分からないが、それでも何かが嫌だった。
「じゃ、これで決定ってことで!」
妃からの反論を恐れ、早々に話を切り上げようとした。
……が、妃はそれを許さなかった。
「講義の話なら安心して。明日は無いから」
「は───え???」
食後のコーヒーを優雅に啜りながら、スッパリと言い捨てた。
「え、明日平日なんじゃないのか?」
「うん。でも、明日は私達だけ休みなの」
「なぜに!?」
妃にとって都合が良すぎる展開に、黎翔は驚きを禁じ得ない。
「……あ、なるほど。明日はその日なのか」
理解が追いつかない黎翔を置いて、御織は何かを理解したようだった。黎翔もすかさず御織に質問する。
「どういうことなんだ?」
「なんて言おうか……蕾種大はさ、『ソルクティス』に対抗出来る力をつけるための訓練を行う場所なわけじゃん?で、そのためには実戦が必要不可欠なワケ」
「まぁそうだな」
「で、現時点では『ソルクティス』を意図的に発生させる技術を人類は持ち合わせてない。つまり、実戦経験を積める『ソルクティス』ってかなり限られてるのね」
「……なるほど。つまり、明日は『ソルクティス』攻略が行われるのか」
「ザッツライト!」
珍しく御織が説明してくれたお陰で、黎翔もすぐに理解できた。
「『ソルクティス』攻略に参加出来る人数が限られてるから、基本攻略は上級クラスが行う。ただ、クラス全員では多すぎるから、一部しか参加出来ない。その一部に、妃と紀章は含まれてないから、明日は講義が無い。こういう認識でいいか?」
「……うん、いい思考力だね。その通りだよ、黎翔くん」
妃は少し目を見開いて、感心したようにそう言った。
「まぁそういうことだから、私達のことは心配いらないよ。てなわけで、私たちもついて行くね?」
今度は妃の方が、早々に結論を出してしまった。
反論出来ない黎翔は御織の方をチラリと見る。が、御織は首を振ってそれに答えた。それで、諦めるしかないらしいと悟る。
「……わかった。じゃ、明日は2人にも手伝ってもらうよ」
「うん。全力を尽くすね」
「チッ、めんどくせェーな……」
こうして、翌日の予定がある程度固まったのだった。
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蒼井黎翔 ID: 137438691328
Lv.17
POW:1557+50 DEX:1232 DEF:1068
INT:0 MP:0 RES:0 Total:3858
職業:狩猟者ハンター 階級:特異
スキル:『狩人の心得』パッシブ
『狩猟者の勘』発動可能
『野性』パッシブ
『獣殺一閃』発動可能
ステータス補正:物理特化
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