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第49話 2人目のクラスメイト

「ここでのご飯は基本バイキングだよ。好きなの取っていいからね」

「分かった」


 多くの生徒たちが並ぶ列の最後尾で、御織と話す。


(また活気が戻ってきたな)


 黎翔の紹介を聞き終え、再び食事の準備に取りかかった生徒達は、再び談笑を再開していた。


 さっきよりは少し声のトーンが落ちている。が、特段黎翔の事を気にする様子も無かった。


(ふぅ、よかった。変に悪目立ちしすぎたりはしてないみたいで)


 こういった特殊な入学の事例などは、基本的に悪目立ちしてしまう。ああいう目立つ登場の仕方は特に、雰囲気が壊れたりしがちなため、かなり不安だったのだが……


 黎翔の登場が与えた影響は微々たるものだったらしく、誰も気にしてはいなかった。否、数人しかいなかった。


(……アイツら、あれでバレてないつもりなのか?)


 5本……黎翔の額に、鋭く何かが突き刺さっているように感じる。


 それは、殺気。明確な敵意である。


 その生徒たちは、食堂のかなり奥の方の柱近くに陣取り、黎翔の方を睨んでいた。


 女子5人。制服を着崩し、スマホ片手に、メイクや指輪などオシャレしているその生徒たちは、不良に近い生徒なのだろうと察することが出来た。紀章に近い雰囲気を纏っている。


 5人でブツブツ何か言い合っている様子からして、きっと急な入学で悪目立ちした黎翔が気に食わないのだろう。どうやって潰すか、とか話しているのでは無いかと予測できた。


(出る杭は打たれるからなぁ。アイツらとはなるべく関わらんとこ)


 そう心に決め、彼女達から意識を外した。


(他にも何人か変な意識を向けてきてる奴はいるが……あの5人程明確な殺意は無いな。シンプルに警戒心が強いだけだろう)


 プレートの上に適当に食事を乗せながら、食堂内に四散する殺意の源を確認し、一安心する。


(うん……よし、どーやらガチでヤバそうな奴には目付けられて無さそうだな。あの5人だけだ)


 例の5人にもう一度チラリと視線を向ける。

 やはりあの5人には完全に目をつけられてしまったらしく、未だに睨まれている。かなり濃いメイクが施された、反抗的な目元が黎翔も気に食わず、舌打ちでもしてやりたい気分になる。


「オイ、クソガキィ!さっさと進めやァ!後ろ詰まってんだよォ!!」

「あ?あぁ、すまねえ」


 突然後ろから不機嫌そうな罵声が飛んできた。紀章だ。

 まさか未だに付いてきていたとは知らず、少し驚きつつ返事を返す。


(なんでコイツ付いてきてんだ?暗殺でも狙ってんのか?)


 と疑問に思いつつ、前に進もうとした。のだが、


「……なぁ、なんで付いてきてんだ?」


 やっぱり気になって仕方なかったため、振り向いて質問した。


「あァ?なんでッて、そりゃァおめェ〜……」


 紀章は、言い出しこそ勢いがあった。が、そこまで言ったと思ったら、急に言葉が途切れる。


「……………」


 3秒ほど、視線を上に逸らし、考える仕草をしたのち、


「なんで俺ァおめェーらと一緒にいんだァ?」


 頭上にハテナを目視出来そうな程に間抜けな面で、そう言った。


「はぁ……?」


 黎翔はその様子に呆れて言葉も出なかった。バカを見る目で紀章を見つめることしか出来なかった。


「まァ細けェーこたァいいじゃァねェか。気にすんな!カッカッカッ!!」

「はぁ……てか笑い方さっきと違ぇし……まぁいいけど」

「黎翔〜、早く〜!!」

「あ、おう!」


 既に大分前に進んでしまった御織に呼ばれ、意識をバカから食事に戻す。


(コイツはバカなんだ。よし、それでいい)


 内心で毒づきながら、並んでいる料理に視線を向けるのだった。


──────────────────


「……黎翔、いっぱい取ってきたね」

「まぁな」


 お盆3つ分にありったけ詰め込まれた料理を見ながら、御織が引き気味にそう言う。


 バイキング形式ということで、黎翔たち3人は各々で料理を盛り付け、3人で固まって席を確保していた。

 黎翔の正面には御織が、ジト目で黎翔を見ながら座っている。何やら文句言いたげな表情だ。


 右斜め前、つまり御織の左側には……


「おめェーさすがにそりゃァ食いすぎだろォ?」

「し、仕方ねぇだろ!今マジで腹減ってんの!!」


 あまりに自然に、紀章が座ってきた。

 そんな紀章も、黎翔の方を呆れ顔で見てきた。バカにされているような気がして、少し恥ずかしく思う。

 だが、これは仕方のないことなのだ。


 なぜなら、黎翔はこの時代に来て初めての食事なのだから。


(『モンスター』から逃げたり、星恋と一緒に走ったり、『ソルクティス』攻略したり、あとこのバカと戦ったり……散々暴れ回ったからな。ちょっとくらい贅沢させて欲しいもんだ)


 黎翔がこの時代に来た時からどのくらい時間が経ったのかは分からない。が、ほとんど一日経っているのは間違いなかった。

 最初にここに来た時は『ソルクティス』に覆われていて空は見えなかったが、少なくとも、星恋と出会った時はまだ青空が広がっていた。であれば、この時代に来た時はまだ早朝くらいだったのだろうと予想できる。


 そして、今は夜の8時過ぎ。ここまで飲まず食わずで耐え抜いた黎翔は、既に空腹で倒れそうだった。


 そんな彼の前に、美味しそうな料理がこれでもかと並んでいたなら、彼が我慢出来ようはずが無いのである。


「うへー、美味そうだなぁ……」

「ここの寮のご飯はホンット美味しいんだよね〜!これ食べるためだけに卒業渋りそうだったくらいだもん」

「そんなにか……っていうかお前、もう卒業してるんだな?」


 サラッと、ずっと聞こうか悩んでいた答えが知れて驚く。


 黎翔はずっと気になっていた。御織が、自分より年下なはずの御織が、大学の施設であるこの寮についてやけに詳しいことに。

 それから、さっき紀章も言っていたのだ。


『黙れやァ、不法侵入者がァ。ここは蕾種大生以外の出入りは禁じられてんだよォ。ンなことも知らねェのか?OBさんよォ!!』


 そう、御織のことを『OB』と呼んでいた。

 だから、何となくそうなんじゃないかとは思っていた。いずれ聞くつもりだったが……


 彼女の口からその答えを聞けるとは思っていなかったため、黎翔は驚いたのだ。


「アタシは最近卒業したばっかりなんだ。飛び級でね」

「ほーん……ま、お前の強さなら当然か」

「にははっ、まぁね〜。アタシにかかれば朝飯前よ!」

「ケッ、ムカつく野郎だぜ」


 褒められて満更でもない御織と、かなりイラついてそうな紀章。綺麗な対比である。


「あ、てことは2人はそん時に知り合ったのか?」

「ん〜、まぁそんなとこ」


 そこまで話して、御織はグイッと紅茶を飲んだ。


「この話はまた今度するよ。そろそろ食べ始める頃合いだしさ」

「おけ」


 話をはぐらかされたような気がしなくもないが、ご飯は黎翔にとっても大事であるため、御織に従うことにした。


「大体みんな取り終わったみたいだな」


 周りを見渡し、まだ立っている人がほとんど居なくなったのを確認する。


(早く食べてぇな〜)


 ソワソワと、餌を前に我慢させられている犬のように、今か今かと『GO』サインを待つ。

 と、誰かが黎翔たちに声をかけてきた


「すみません。隣で食べてもいいですか?」

「え?」


 黎翔の後ろから声が聞こえたため、振り返る。


 そこに立っていたのは、紺色の長髪を揺らす、とても綺麗な顔立ちの少女だった。


 身長は御織より高めの160cm程。瞳は黒く、光を反射して輝いていた。

 紀章と同じ黒い軍服を、こちらは丁寧に着こなしている。少し大きめの胸が締め付けられて強調されており、綺麗な顔立ちと相まって目のやり場に困った。


 御織とはまた違ったタイプの美少女。大人っぽさと可憐さを併せ持つハイブリッド系の美が感じられた。


 ハッキリとした、透き通るようなその声は、その少女が比較的明るい性格なのだろうと予想できた。同時に、知性的な面も持ち合わせているのだろうとも推測できた。


 そんな美少女に一瞬見蕩れてしまい、黎翔は反応できなかった。が、代わりに別のやつが反応した。


「にっ、にに、虹崎にじさきィ!?なんでおめェーがここに!?」


 真っ先に反応したのは、紀章だった。

 やけに慌てた様子で、顔を真っ赤にしていた。その反応からして、何となく推測できてしまった。


(あ、コイツこの子のこと好きなんだな)


 あまりにも分かりやすすぎる反応に、黎翔はジト目で紀章を見つめる。

 御織も恐らく気づいたのだろう。黎翔と同じく、ジト目で責めるように紀章を見ていた。


 そんな様子を気にもせず、虹崎と呼ばれた少女は話を続けた。


「やっほ〜(きさき)。久しぶり」

「御織、久しぶりだね。紀章くんは学校ぶり。それで……黎翔くん、だったかな?」

「あ、おう」

「隣、座ってもいい?」


 笑顔でそう尋ねられる。

 美人の笑顔にめっぽう弱い黎翔は、当然即答で、


「もちろん!!ささ、お座り下さい!!」


 と承諾し、お盆を持っている彼女の代わりに椅子を引いた。


「あははっ、ありがとう。いい子だね、君」

「いえいえ、それほどでも?」


 美しい三下ムーブをかまし、ご機嫌取りに徹する。

 その様子を見ていた紀章と御織は、今度は黎翔にジト目を向けてきた。


「な、なんだよ?」

「「べつにぃ??」」


 どこか不機嫌な2人を見て、不思議そうに黎翔は首を傾げる。

 それを見て、少女はくすりと笑った。


「何笑ってんすか。えと……」


 ツッコミを入れようとしたが、名前が分からず詰まる。

 それを見て、少女は「あぁ」と口を開いた。


「そうだ、自己紹介がまだだったね。私は『四葉組』1年生の虹崎妃にじさききさき。よろしくね、黎翔くん」

「あぁ、よろし……って、あれ?」


 『四葉組』1年生という言葉の羅列に、何故か既視感を覚えた。

 その言葉は……


『俺ァ桐生紀章。勇者候補筆頭にしてェ、蕾種大学上位クラス『四葉組』一年生、つまりテメェと同じクラスだァ』


 ……さっき、紀章から聞いたばかりなのだ。


「もしかして、紀章と同じクラス?」

「うん。つまり、君とも同じクラスってことだよ」

「もう二人目かよ!?」


 1人目を把握してから十数分。

 早くも、2人目のクラスメイトが現れた。




──────────────────

蒼井黎翔 ID: 137438691328

Lv.17

POW:1557+50 DEX:1232 DEF:1068

INT:0 MP:0 RES:0  Total:3858


職業:狩猟者ハンター 階級:特異

スキル:『狩人の心得』パッシブ

『狩猟者の勘』発動可能

『野性』パッシブ

『獣殺一閃』発動可能


ステータス補正:物理特化

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