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*序*
現代活劇ファンタジー“もどき”第二弾。
次なる対戦相手は「狼男」。
ご興味のある方も、ない方も、読んで頂けたら感謝感激雨嵐です。
「……いいんだ。僕はこれでいいんだ」
そう言って、彼はその場に崩れた。
「これなら、僕は誰も傷付けずに済む」
地面に倒れる直前、力なく笑った。
「違う! そんなの、絶対違う!」
……そんなの、ただの自己満足だ。
「はは。泣いているのかい、薄原くん?」
「そんなことはいいから、もう喋らないで! なんで――なんでこんなことになってんだよ?」
――これじゃまるで、あの映画の結末と同じじゃないか。
くそっ、オレはまた救えないのか?
また助けられないのか?
……………。
……誰か、助けて。
誰でもいいから、誰か。
誰か、誰か、誰か……。
「早く助けに来いよ、ヴィアン!!」
天高く輝く月に、オレは狼の如く吠えた。