39 猫又
『頼みがある。どうか我々を助けてくれないか?』
大きな猫が僕の顔をじっと見つめてくる。
「えーっと……まず頼みが何なのかを聞いてからでいいですか?聞いてみて僕が出来ることならやります」
大きな猫と目を合わせてそう答えると、猫のピリピリとした雰囲気が一瞬だけ和らいだ気がした。
『助かるぞ。時間があまり残されていないから早速説明する。現在我々……猫又は鋼鴉という鉱石を体に含んで鋼のような硬さを持った烏のモンスターと戦っている』
目の前の猫が喋り始めると同時に僕を囲うように小さな猫がたくさん出てくる。しかし普通の猫ではない。二本の尻尾を揺らしている。
この場の全ての猫は目の前の大きな猫が言った猫又という種族なんだろう。
『鋼鴉族は少し前にどこからか移動してきて北にある近くの渓谷を縄張りにした。それだけなら特に問題もなくよかったが奴らはこの結界から外に出た我々を襲撃してきた』
「…………」
僕の目の前を数匹の猫又が通り過ぎていった。通り過ぎていった猫又は体のどこかしらに傷を負っていた。
『かなりの被害を受けた我々は数日前に奴らの巣に奇襲を仕掛けて全面戦争を行った。そして敗北した。我々と奴らとでは相性が良くなかった。だからお主に頼みたい』
『我々の代わりに奴らを全滅もしくは我々の縄張りの近くから追い出してほしい。報酬は我が身だ』
「??……頼みはわかった。引き受けてもいいよ。だけど報酬が君の体。これはどういうこと?」
『……我はもうすぐ死ぬ。我は長い時を生きた。その間に力を得た。その力の器である我が身はどう活用しようともお主の力となれると確信している。……我の体では不満か?』
「いや」
「そうか。なら良かった」
大きな猫又は僅かに笑ったような気がした。
「それじゃあ少し準備する。準備ができ次第潰しに行ってくる」
「頼むぞ」
「任せて」
大きな猫又にそう答えると僕は自分のステータスを確認する。
――――――
名前:セツノ
性別:男
種族:破鬼→壊鬼
LV:53→79
純魔ランク:6 SP:274
種族専用スキル
【魔素解放】【闘気纏】【闘気変換】【闘気操作】【闘気融合】【闘気結界】【闘気硬化】【闘気反応】【壊心確滅】
ユニークスキル
【飢えたる獣LV3】
【短剣術LV10MAX】【短剣術 極LV4】【投擲LV6】【毒作成LV5】【隠密LV10MAX】【隠形LV3】【鑑定LV6】【不意打ちLV9】【体術LV10MAX】【一撃必殺LV9】【暗殺術LV7】【暗視LV9】【状態異常耐性LV4】【危機察知LV10MAX】【魔法耐性LV8】【無慈悲LV5】【跳躍LV8】【回避LV9】【気配察知LV8】【視覚強化LV6】【聴覚強化LVLV4】【嗅覚強化LV4】【触覚強化LV3】【味覚強化LV2】【混沌耐性LV2】【熱耐性LV7】【干渉遮断LV3】【再生力LV4】
称号
【人殺し】…人を殺した証。
【鬼戻り】…鬼人から鬼になった証。基礎ステータスが少し上昇する。闘気が多少扱いやすくなる。
【ダンジョン攻略者】……ダンジョンボスを倒しダンジョンを攻略した証。
【真のダンジョン攻略者】……ダンジョンの真のボスを倒し本当の意味でダンジョンを攻略した証。
【虐殺者】……一度の戦闘で百体以上の生物を殺した証。
【鬼神の器】……鬼神の力をその身に宿すことができる証。
装備
武器:魔装フェルリア、旅人の短剣
頭:獣狩りの旅人の髪留め
体:獣狩りの旅人の軽鎧
腕:獣狩りの旅人のグローブ
腰:獣狩りの旅人のレギンス
足:獣狩りの旅人のブーツ
装備セット効果 【森の支配者】
【森の支配者】
・森のフィールドにいる時、探知系スキルや隠密系スキルの効果が上昇する。
・森のフィールドにいる時、一部の感覚が強化される。
・動物や動物系モンスターに与えるダメージが上昇する。
――――――
ウォーレアと多くのプレイヤーを倒したことでかなりレベルが上がっていて壊鬼という種族に進化していた。
新しい種族専用スキルは【壊心確滅】というスキルを一つ獲得していた。
効果は実態があるものの一番弱い場所がわかり、その場所を攻撃することで実態を簡単に確実に破壊するというスキルだった。
通常のスキルは新しい耐性系のスキルを獲得しているのとスキルレベルがかなり上がっているのが気になった。
おそらくウォーレア戦でさまざまな攻撃を受けたからだろう。新しく獲得したばかりの【熱耐性】が既にスキルレベル7になっているのがウォーレアの熱攻撃の強さを物語っている。
あと新しく獲得したスキルは【再生力】というスキルだ。効果を確認すると身体の再生スピードが速くなるというものだった。欠損した部位などの回復が速くなるだけでダメージが回復するスキルではないのでそこは気を付けないといけない。
「そういえばスキルポイントこんなに溜まってるんだし使おうかな」
スキルポイントは新しいスキルを獲得したりスキルレベルを上げたりするのに使える。
「フェルリアを色々な武器に変えれるから他の武器のスキルを獲得しておくか」
ということでスキルポイントを220使って【大剣術LV10MAX】【弓術LV10MAX】【槍術LV10MAX】【双剣術LV10MAX】を獲得した。
そしてそれと同時に【大剣術 極LV1】【弓術 極LV1】【槍術 極LV1】【双剣術 極LV1】を獲得した。
残った54は欲しいスキルができた時のために残しておくことにした。
「ステータスの確認はできたからそろそろ行こうかなってうわ!?」
準備が終わり鋼鴉がいるという渓谷に向かおうとした時、結界が揺れてあまりの振動に転びそうになった。
神社のような神聖な雰囲気のする場所が崩れていき、空に向けて伸びる大きな木だけが残る。
僕は木の根元にいる大きな猫又のところへ話を聞きに向かう。
『お主頼む!結界が崩された!奴らが攻めてくる!』
「っ!」
空を見上げると黒い大きな塊が浮いていた。それが大量に集まった鋼鴉というのはすぐにわかった。そして【気配察知】で鋼鴉の塊の中に一際大きい反応があり群れのリーダーがいるということもわかった。
周りに散らばっていた小さな猫又が大きな猫又の近くにどんどん集まっていく。猫又の流れに逆らって僕は前に出る。
「あまりやばいとは感じないね」
『主人様が今まで戦ってきたモンスターと比べれば進化を重ねて強くなったところで雑魚に変わりないからね』
「そうだね。……フェルリア」
『わかってるよ主人様』
フェルリアが形を変えて弓に変化する。
『矢は火か雷がいいと思うけど主人様はどれがいい?』
「うーん、どっちもは?」
『できるよ。蹴散らしちゃってね、主人様』
右手に魔力が集まって一つの矢が作り出される。
鋼鴉の塊の中心に狙いを定めて矢を引く。矢の射線上に火の輪と雷の輪ができる。そして僕は手を離した。
矢は火と雷の輪を通って火と雷の力を纏うと一直線に鋼鴉の塊に飛んでいった。
「蹴散らせ」
塊の中心に吸い込まれるように飛んでいった矢は一体の鋼鴉を貫き、そして火と雷を撒き散らして爆ぜた。
弓使うキャラってかっこいいよね。
ブクマと評価、よろしくおねがいします。




