↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
367/482

勇者とは 5


 楓が指示をだしてからほんの数分で楓たちが元いた場所は一気に戦場らしくなっていた。


 幸い全員腕が良かったのもあってそこまでグロテスクな光景にはなっていないが、それでも人が、しかも楓と日向からしたら同胞が死んでいるのだからあまりいい気分はしないだろう。


 ちなみに、須藤の死体はあの後少年少女たちを転移魔法で避難させた後すぐに適当にその辺に捨てておいた。


 楓としてもいつまでも人の死体をストレージの中に保管しておくのはいい気がしないし、それが須藤のものとなればまたさらに嫌になってくる。


 いくらストレージの中に入っている他のものには影響がないとはいえ、気分だけで嫌になるのである。


「ダーリン、こっちも終わったよ」


「旦那様、私の方も終わらせました」


「ありがとう。二人には嫌な役を押し付けてごめんな」


 楓はそう言って楓が頼んだ仕事の完了の報告をしに来てくれた二人をねぎらった。


 実は二人には勇者たちの火葬を頼んでおり、楓と三人で最後くらいはと言うことでアンデット化しないように死体を燃やしておいたのである。


 勇者の亡骸がアンデットになるとかなり厄介なものになってしまうし、楓もせめてもの弔いと言うことでしっかりともう一度人生をやり直せるようにアンデット化だけは阻止することにしておいた。


 もう一名魔法が得意な日向がいるのだが日向に同級生の、しかも1年前まで友達として学校で話していたものたちの死体の後処理を頼むのは少々酷かなと思い今回は先に他の残党を倒してもらいにいった。


 なので現在ここには楓とミル、そしてヒストリアしかおらず殺風景な場所になっていた。


「大丈夫。後で頭をなでなでしてくれたらこのくらい安い仕事」


「そうですね。確かにあまり気持ちいいものではないですけど、それでも旦那様のためならばお安い御用です」


「そうか。なら先に報酬を払っておかないとな」


 楓はそういって二人を抱き寄せるとそのまま「ありがとう」ともう一度言いながら二人の頭をしばらく撫で続けた。


 二人はそれに満足そうにしていたが、ここは戦場なのであまり長いことイチャイチャする事は出来ず、楓は折を見て二人を撫でることをやめるとそのまま二人を引き連れて残党狩りをしている日向たちと合流するのであった。
















「乾杯!」


「「「「乾杯!」」」」


 帝国軍との戦いに見事勝利することができた王国軍は現在最前線組だけで一足先に宴会を開いていた。


 本来ならそんな物資はどこにもないのだが、ここには楓がいるため宴会用の食料や酒を大量に生成し今日の戦の勝利をみんなで分かち合うことになった。


 あの後、勇者というあの軍隊の中での主戦力が一瞬で倒されてしまい帝国軍は統率力が一気に低下してさらに楓たちも残党狩りに参加をしたため王国軍はほぼ犠牲者を出すことなく戦に勝利することができた。


 各ギルドの構成員たちはみな楓の言いつけを守ってくれたようで誰一人として勇者と直接やりあう事はなく魔物や魔族、帝国兵を倒すために尽力をしてくれたようだ。


 そのおかげで多少は王国軍にも犠牲は出たものの、本来倍以上あった帝国軍を全滅させることができ大勝を収めることができたのだった。


「これもカエデ殿のおかげだな。本当に助かった」


「いえ、俺はちょっと彼らを冷静にさせただけですよ。正直俺も彼らがあそこまで戦えるとは思ってもいませんでした。これも騎士団長さんの采配のおかげですね」


「世辞はやめてくれ。今回の功労賞は確実にカエデ殿を含めた『無限の伝説』だ。一番の懸念だった勇者をあんなにあっさりと倒してもらってこちらも非常に指示が出しやすかったよ」


「それは良かったです。この後の帝国の本陣との戦いも頑張りましょう」


「あぁ、頑張ろう!」


 騎士団長は楓とグラスを合わせると機嫌よく中に入っているお酒を飲み干した。


 楓の周囲ではどんちゃん騒ぎが繰り広げられていたが、今日くらいいいかと楓も諦めたようにグラスに注がれた酒を煽った。


 現在日向たちは日向たちで女性の冒険者や魔術師たちとお酒を飲みながら女子会をしているようで楓たちの周りには男しかいないので少々むさ苦しい状態となっている。


「随分と皆元気がいいようだが……酒のせいか」


「あぁ、酒の中に体力やその他諸々が回復するようにエリクサーを混ぜたからな。今日負った傷もすぐに回復するだろう」


「確かエリクサーって他の液体と混ざらないんじゃなかったっけ?」


「そこは俺の力でちょちょっとな」


「今彼らが飲んでいる酒が非常に価値のあるものだっていう事はわかったよ」


 アルも諦めたように笑いながらそんなエリクサーの含まれた酒を飲んだ。


 その隣でルシフェルが「これもまた悪くないな」とエリクサー入りの酒が気に入ったようで随分と美味しそうに飲んでいた。


 とりあえず、しばらくそんな状態が続いたが楓にとっての地獄はこれから始まるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。