↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
313/482

決闘 5


「や、やったか?」


「わからない。土ぼこりが晴れるまで待つ必要があるが……警戒は解くなよ」


「了解」


 サランともう一人の天狐族の青年はまだ武器を構えたままユニコーンの状態を確認するために土ぼこりが晴れるのを待つ。


 最初のように魔法で土ぼこりを晴らせばいいのではないかと思うかもしれないが、既に後衛の魔法使い達は皆魔力が枯渇しかかっているのでそんな余裕はなかった。

それだけ大きな魔法を放ったので、サラン達も少なくない期待を持っていたのだが、みるみる視界が晴れていくと同時にそれが絶望へと変わっていった。


「それだけじゃあ足りないんだよなぁ」


 巨木の上で天狐族達の戦いを眺めていた楓もあと一歩なのにと思いながらそう呟いた。


 なぜ、楓が2匹のユニコーンを白と黒で分けたのか。


これに気づかなかった天狐族達はその時点で詰んでいたと言わざるを得ない。ただただかっこいいからという理由も、もちろんあったがそれ以上に白いユニコーンは近接特化、黒いユニコーンは魔法特化だったのだ。


 それを裏付けるように、サラン達の目の前には黒いユニコーンが1体で凛々しく4本足で立っており、この時点でだいぶ疲労が溜まっている天狐族に勝ち目などなかった。


 天狐族の負け。誰もがそう思い覚悟を決めたサランが大きな声で降伏しようとした瞬間、楓によって開けられた結界から4人の天狐族が新たに決闘場へと入ってきた。


「ホッホッホ、面白い敵と戦っているのぉ」


「あ”あ”? おもしれぇ敵がいるじゃねぇか」


「バカ言え、流石にあれは儂ら4人が本気を出さねばキツイものがあるぞ。全く、カエデはやはり底が見えんな」


「いいじゃないか。もし娘たちを彼に託すのであれば頼もしくて。相手にはしたくないけどね」


 そこから入ってきたのは4人の男たちだった。


 そう、彼らがサランを入れたこの村のトップ5でありそのうち2人にはジャンとジルが入っていた。ジャンに限って言えば伊達に長老をやっていないということだろう。


 彼らの姿を見た瞬間、サラン以外の天狐族たちは邪魔にならないよう、蜘蛛の子を散らすように決闘場の端へと行き5人に場所を譲っていく。


「いい加減出てこいカエデ。自称だが結婚している妻の父親に戦わせてお前は高みの見物とは随分と偉くなったものだな?」


「ふふ、それもそうだね。そろそろ姿を見せてもいいんじゃないかな?」


「はぁ、わかりましたよ。って言うか、みなさんは出ないと思っていたんですけどね」


 楓はジャンに煽られてしまい、渋々とではあったが巨木の上から転移魔法で決闘場へと一瞬で転移してきた。


 その瞬間、楓はユニコーン戦でかなりフラストレーションが溜まっていたのか天狐族たちから尋常じゃないほどの殺気を頂戴してしまうが楓はどこ吹く風といった様子でジャンたちと話を進めていく。


 楓もまさかジャンたちがこの決闘に参加してくるとは思っていなかったので今のこの状況は非常にめんどくさいのだが、仮にも自分の妻の父親が決闘に参加してきたのだからそれ相応の対応をするべきだと楓はジャンたちの前に姿を現して直接ジャンたちの戦いを眺めることにしたのだ。


「あのユニコーン、あれはお主の使い魔か?」


「まぁ、そんなところです」


「デルタそんなことはいいじゃねぇか! それよりもさっさと殺らせろ!」


「落ち着けシン。あれはどう見ても儂らが本気でいかねばいけない相手だ。儂らにも準備がある。少し待っとれ」


「へいへい」


 楓がデルタと呼ばれたこの村で初めて見た年寄り天狐族と話をしている間にもいかにも戦闘狂といった様子のシンが待ちきれないのかウズウズしながらユニコーンの姿を見ていた。


 デルタは楓がユニコーンを召喚したことを面白がっているのか、先ほどから楓に色々と質問をしており、その間ずっと口角が上を向いてお年寄りとは思えないほど獰猛な笑みを浮かべていた。


「なるほどな……随分と面白い魔物を使役している。さて、そろそろあのユニコーンを倒してその主である君に相手をしてもらうとしようかの」


「ハッ! こんなヒヨッコに俺たちの相手ができるのか? そもそも、こいつはモンスターテイマーだろ? そんなやつどうでもいいからさっさとアイツとたたk……」


「わかったから。ほら、いってこい」


「ヒャッホーイ!」


 シンがなんども同じようなことを言うので呆れながらもジャンは先にシンに突撃することを許可を出し、シンは歓喜の叫びをあげながらユニコーンへと向かっていった。


 それをサポートするようにジャンとジルもシンの後を追い、デルタが一人魔法でジャンたちに強化魔法をかけたりユニコーンの邪魔をしたりしている。この時にはすでに4人の纏っている雰囲気が先ほどのそれとは全く違い観戦に回った天狐族が楓に殺気を送るのも忘れてしまうくらい迫力のあるものだった。


「へー、なかなか強いな。だが、俺たちの敵じゃねぇ! ジャン! ジル!」


「分かっている。ラストアタックは任せたぞ。ジル」


「りょーかい」


 最初の数分はいい勝負をしていたのだが、しばらくするとジャンたちの動きがさらに素早くなり、かついい具合にデルタの魔法がユニコーンのいく手を阻んでおり、戦況がだいぶジャンたちの方に傾いてきていた。


 そこでシンはジャンたちに向かって何か叫ぶと一人でユニコーンの元まで一瞬で駆け出していった。


「食らいやがれ! 炎拳! ジャン!」


「おう! はぁぁぁぁぁ! ジル!」


「2人とも気合い入れすぎだよ。ほとんど瀕死じゃないか」


 初撃にシンの炎を纏った拳がユニコーンの胴体へと炸裂し、3メートルは優にあるユニコーンが放物線を描いて吹っ飛ばされる。


 そして、その先にはジャンが巨大な斧をフルスイングしユニコーンをさらにぶっ飛ばし、最後にニコニコと笑いながらジルは剣をユニコーンの喉元を突き刺し、それでユニコーンは消滅した。


 楓もユニコーンが吹っ飛ばされるとは思っていなかったため、3人の豪快な倒し方を見て呆気に取られていたが、そんな楓とは裏腹に天狐族たちはジャンたちに地面を震えさすほどの声援を送るのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。