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護衛依頼 1


「あ、あの、助けてくださってありがとうございました」


「いえ、みなさん無事でよかったです。うちのメイドの子たちが頑張ってくれたお陰で馬車も無事のようです

し、特に何かをする必要はありませんね。では」


「め、メイドが?あ!ちょっと待ってください!」


 楓は商隊のリーダーらしき人と適当に話を終わらせるとそのままルーナたちの村に向かって走って行こうとしたのだが、直前でリーダーらしき男に止められてしまう。


 王都出身の人ではないのか楓たちの姿を見ても大げさな反応をしていないので楓たちも少しだけ話を聞くことになったが、それでも先ほどのアウラたちのことを見ていたからか商隊のリーダーの男はどことなく期待をするような視線で楓たちのことを見ている。


「どうも、初めまして。私はカロンと申します。先ほどは助けていただきありがとうございました」


「カエデです。たまたま通ったところに襲われている人を見つけたので助けただけです」


「いえ、私はよくわかりませんが護衛の冒険者によるとCランク級の魔物だったそうです。それを……メイドさん?たちが軽々と仕留めていましたが、すごいのですね。よけれb……」


「すみません。僕たちは行くところがありますので、護衛は無理ですね」


 楓はカロンが最後まで言う前に言葉を遮り、無理だとはっきりと伝える。


 最近全く依頼を受けていなかったので久しぶりに受けてもいいかなと一瞬考えたが、ルーナたちは早く村へ帰りたいだろうし楓だけで決めていいことでもないので楓はカロンに最後まで言わせることはなかった。


 ただ、カロンはどうしても諦めきれないのかずっと考えたようなそぶりをしている。


「いいじゃん。楓くん。最近依頼も受けていないし、そろそろ冒険者の資格を剥奪されちゃうかもしれないし」


「俺たちはAランクだからその必要もないんだけど……そうだな。すまん、ルーナたちも少し遅れることになるけどいいか?」


「私は構わないぞ。そもそも、今回は旅行も兼ねているんだ。他の街でゆっくりするのも悪くないんじゃないか?」


「そうそう。護衛くらい、余裕だしね」


 楓に断られて困ったような顔をしているカロンを見かねたのか、楓の隣で日向がそう言って護衛を受けるように楓に説得を始める。


 別に楓もどうしても嫌と言うわけではなかったので、他の全員、とくにルーナとヒストリアがこの護衛の依頼を受けることが嫌でないのなら楓も特に異論はない。


「と、言うわけです。護衛の依頼をお受けしますが、どうしますか?ちなみに、僕たちはAランクです。それ相応の報酬をいただくことになりますが、構いませんね?」


「だ、大丈夫です!ありがとうございます!」


 楓たちがAランク冒険者だとわかるとカロンは納得半分驚き半分と言った様子で楓たちが依頼を受けてくれたのを喜んだ。


 別に楓たちはそこまで報酬は必要としていないのだが、ここで無償で受けてしまうと後々面倒なことになってしまうため楓たちは適正価格でカロンの依頼を受けることにした。


 ちなみに、依頼は別にわざわざ冒険者ギルドを通さなくても後で依頼主が報告をすればしっかりと依頼を受けたことになるのでこの依頼もしっかりと楓たちの実績に入るので、これから楓たちは冒険者としてカロンたちをしっかりと護衛しなくてはならない。


「それで、目的地はどこですか?」


「ここからあと半日くらいで着くリングベリーと言うところです」


「楓くん、そこって……」


「あぁ、俺たちが最初に召喚された街だな。あそこも久しぶりだ」


 そう、リングベリーとはかつて楓と日向、それに勇者たちが召喚された街であり楓にとってもあまりいい思い出のない街である。


 確かにルーナたちの村に行くにはリングベリーを越えなくてはいけないのだが、楓はリングベリーで滞在する予定はなかったので依頼を受けて早々に辞退したい気持ちになった。


「カエデさんたちはリングベリー出身なんですね!あ、そうだ。他の人たちにも紹介したいので、こちらへ来ていただいていいですか?」


「は、はい」


 だが、そんなことカロンに言えるはずもなく楓は他のみんなを連れてカロンと一緒に商人や他の冒険者のいるところまで向かうことになった。


 途中でカロンがアウラたちに専属の護衛になってくれないかなどとちゃっかり勧誘を試みていたがそれも見事に玉砕していた。


「勝手にクランメンバーを引き抜かないでくれますか?」


「す、すみません。メイドとしても、そして冒険者としても一流そうだったのでつい……」


 カロンは楓に注意をされて焦ったような笑みを浮かべて楓とアウラたちに謝った。


 それ以上楓は言及することはなかったが、カロンに対する日向たち女性陣の警戒度が上がってしまいカロンはさらに焦ったようにアウラたちに再度謝った。


 カロンは見た目はまだ20代前半とかなり若いため日向たちのような美少女に嫌われるのは避けたいのかその後も魔物の処理をしている他の商人や冒険者の元へと着くまでずっと謝っていた。


「ですが、カエデさんたちは本当に羨ましいですね。こんなに美人な方たちが仲間に大勢いて」


「ありがとうございます。みんな、とっても強くて心強いんですよ」


「そうですよね。ところで、カエデさんはこの中に彼女とかいるんですか?カエデさんもそうですけど、あなたのクランの人達は全員顔が整っているので、結構恋愛とかは大変なのではないですか?」


「そうですね。彼女はいませんが、妻ならいますよ。えーっと、あの子達です」


 楓はカロンの不躾な質問にも笑顔を崩さずに日向たちの方を指差した。


 その瞬間、カロンの顔から笑みが消えて一瞬フリーズしてしまうのであった。


「あ、あのー?」


「だ、大丈夫です。カエデさんはとっても美人な奥さんをお持ちなんですね」


 流石に心配になった楓は一緒に歩みを止めてカロンに心配したように声をかけるがカロンは明らかに動揺した様子でとりあえずといった様子で楓のことを褒めた。


 その後はしばらくふらふらと放心状態だったカロンであったが、すぐに歩き始めそのあとほぼ無言で他の商人のいる場所に行くのであった。

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