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結婚式 7


「さて、まずはどんな城を作ろうかな」


 楓は異界に来て勇者たちと一言も話すことなく自陣にやって来るとコアを触りながらどれだけの規模にするか悩んでいた。


 今回楓は徹底的に勇者たちをボコボコにする予定なのでまずこの城を作る段階から、勇者たちの戦意を削ってやろうと楓は意を決し、どんどんコアに魔力を注いでいく。


「よし、このくらいでいいだろう。おーすごいな」


 楓は大体300万くらい魔力をコアに注いで出来上がった城を見て思わず笑顔がこぼれてしまった。


 楓の城は全長約1キロとそこら辺の山よりも大きい城を作り上げ一方で勇者たちの城は50メートルにも満たない城で、この時点でもう力の差は歴然だった。


 勇者たちも、この試合が全て公平になっていることは理解しているので楓の城の大きさには何も言ってこなかったが、それでも非常に悔しそうにしながら楓の巨大な城を見ていた。


「いい気味だ。さて、マリーいるかな?」


「はいご主人様!妖精さんや精霊さんを呼べばいいんですよね? まっかせてください!」


「あぁ、ありがとう。そっちは任せるよ。一応城の警備を頼みたいんだ。マリーがリーダーでここのコアを守っておいてくれ。まぁ、入れる気はないけどな」


「はいです!頑張ってくださいご主人様!みんな〜!ご主人様のために集まってー!」


 マリーが手を口に持って来て大きな声で他の妖精や精霊たちを呼ぶと一瞬で楓とマリーのところに大量の妖精や精霊が現れた。


 今回の試合、楓はクランメンバーではないマリーに助っ人を頼むことにしていたのだ。別に、助っ人を呼んではいけないなどと勇者とルールは決めていないのでルールの範囲内である。


 勇者も同じように教会から援助を受けているはずなのでこのくらいセーフである。


「みんな助かるよ。じゃあ、試合が始まったら俺は相手の城に攻めに行くからもし勇者がこの城にやって来たら罠をうまく使って倒していってくれ」


「「「はーい!」」」


 妖精や精霊は基本的に小さく30センチほどのものがほとんどなので全員が声を合わせて返事をすると同時に手をあげているこの光景は楓からしたら先ほどまで勇者のことで荒れていた心が簡単に癒えていく気がした。


 マリーもクランハウスで地道に修行をしていたのか最初に楓が召喚した時とは比べ物にならないほど強くなっているので勇者くらい1コロである。


 なんならマリーだけでこの世界の魔王を倒せるほどである。


 そんなこんなで試合開始の時間になり楓は一人で城の外に出てバルバトスの開始の合図を待つことにした。


 勇者は三人が城の外に出て来ているだけで他の勇者たちは城の中に引きこもっているようで楓は思わずそれでも勇者かよと呟いてしまった。


「二方とも聞こえるか。これより、攻城戦を始める。勇者チームが勝利すればカエデの結婚の取り消し及び楓の妻は勇者たちの誰かとの婚姻を結ぶ。もし、楓が勝利すれば勇者たちの国外追放。双方問題はないな?」


「「問題ありません」」


 楓と須藤は代表してバルバトスにそう返事をした。


 若干バルバトスの声が勇者の勝利時の報酬をいうときに殺気が籠っていた気がしたが楓も同じ気持ちなので特に何もいうことなく黙っていることにした。


「そうか。では、お互い正々堂々勝負をするように。それでは、始め!」


 バルバトスが試合開始の合図を出すと外に出ていた勇者たちは以前と同じように召喚魔法を使用してどんどんと魔物を出現させて来た。


 流石に勇者たちも以前よりかは腕が上がっているようで、三人という少ない人数にも関わらず約千匹以上の魔物を出現させることに成功していた。


「まぁ、無駄なんだけどな」


 楓は千匹の魔物のうちに見せしめとして一瞬で三百匹をルシフェルの得意な魔眼を使って一気に消滅させた。


「「「な⁉︎」」」


 一気に魔物が消滅したことに三人の勇者は目が飛び出さん勢いで驚いていたが楓はこんなものではない。


 今となってはステータスオール∞をだいぶ使いこなせている楓にとっては魔眼を使用して三百匹の魔物を屠るなど造作もないことで、楓はそのまま勢いに乗って神話級の剣をストレージから取り出して襲いかかってくる魔物の群れに向かって駆け出していった。


「おかしいだろ⁉︎ あいつは雑魚なんじゃなかったのかよ!」


「須藤くんがいうから協力したけど、まず魔力量から私たちとは比べ物にならないはずよ!あんな城を作り上げるのにどれだけの魔力が必要か分ってるの⁉︎」


「そんなこと言ってられるか!とりあえず俺たちも魔物の群れと一緒に行くぞ!質より量だ!」


 三人の勇者たちは楓の猛攻撃を見て最初の余裕を一気に崩し、焦りながらも魔物と一緒に楓に向かって魔法で攻撃を仕掛けていった。


 だが、いってはなんだが楓相手に勇者三人ごときでどうにかなる訳ではなく勇者三人は楓に魔物のついでに一緒に薙ぎ払われていた。


 楓も最初斬った時に勇者だとは思っていなかったのか素であっと声を出して勇者三人の亡骸を見て流石に同情したのか悪いなといってそのまま残りの魔物を僅か五秒足らずで殲滅するのに成功したのだった。


「魔法使いが魔物と一緒に攻めてくるとは思わなかったな。誰の指示かはわからないがこいつらマジもんのアホだ……」


 楓は魔物を一掃し終わった後に自分に言い訳するようにそう言い残して勇者の城に向かってゆっくり歩いて行く。


 これから自分の理性が保てるかどうか楓も少し不安になりながらも、いざとなったらナビに任せようと少しだけ深呼吸してから城の中へと入ろうと足を進める。


「きっと、今頃向こうは盛り上がっているんだろうな。なぁ、ナビ、何かあったときは頼んでいいか?」


 ナビの姿はもちろんこの場では見えないが、確かにいるものだと楓は信じてそう呟いた。


『えぇ、私はずっとマスターのそばでマスターのことを見守っていますよ。何かあったときは自慢の妻に遠慮なく頼ってくださいね』


「あぁ、頼むよ。じゃあな」


『頑張ってください』


 最後にナビの声を聞くことができた楓はさっき抱いていた緊張なんてまるでなかったかのようにほぐれて、とてもいい顔になっていた。


 これから楓は暴れに暴れるつもりでいる。それが怖くないと言われれば嘘になってしまうが、さっきナビに言われた通り何かあっても楓の自慢の妻たちが助けてくれると信じているので、楓は臆することなく城の中へと入って行くのであった。

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