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学院祭3日目 3


「ルーナ、前考えたやつで」


「了解だ!タイミングは任せたぞ!」


「了解」


楓の合図が出た瞬間にヒストリアはルーナに手短にそう伝えて早速行動に移った。


楓も、これは模擬戦なので相手がどんな作戦で来るのか『心を読む』ことはせずに単純にその場で凌ごうとルーナとヒストリアの行動をよく観察する。


ちなみに今回も楓のステータスを一時的に落としており、現在はこんな感じになっている。


ーステータスーーーーーーーーー

楠木 楓 Lv 150/∞

種族 ???

体力 10000/∞

筋力 10000/∞

敏速 10000/∞

知力 10000/∞

魔力 10000/∞

幸運 10000/∞


超スペシャルスキル

??? Lv ∞


ーーーーーーーーーーーーーーー


とまぁ、歴代の勇者や魔王レベルにまで落としてある。


ルーナとヒストリアはペアなのと、楓が魔導書を渡したりたまに個人的に指導している時があるので楓は結構不利だったりもする。


そのくらい、ルーナとヒストリアも強くなっているということだ。


以前、このことをミルのお父さんに報告しに行ったら泣いて喜ばれたのを楓はいまだに覚えているが、それは今の模擬戦には関係ないので割愛する。


「ステータスも落としたんだ。いまの二人ならこのくらい相手にしてもらわないと困るぞ?」


「任せてくれ。私たちも、ただカエデに指導されていただけではないんだ。カエデから、たくさんのものをもらった私たちだからその恩返しをさせてくれ!」


「だね。じゃ、最初の作戦っと。えい」


ヒストリアはそう言って無詠唱で大きな火の玉を作り出した。


この世界では普通魔法名を唱えないと魔法が出ないのと、その魔法名の魔法しか発動できないのだがヒストリアはそれをせず、何も言わずにオリジナルの魔法を発動したのだ。


楓や日向は『魔法創造』のスキルがあるため容易いことだが、スキルを持っていないヒストリアが独学でそれをできるようになったのは正直楓も驚いている。


以前、それ系統の魔導書を渡したのは楓であるが、まさか本当に形にして来るとは思わなかった。


「やるな、まさか無詠唱で発動できるとは思わなかった」


「ありがと、まぁ、カエデからもらった火属性と水属性しかまだできていないんだけどね。今度、また新しいのちょうだい」


「あぁ、っと、その前にこれを対処しないとやばいな…」


楓は迫って来る巨大な火の玉を剣に魔力を注いで真っ二つに斬った。


まさか、魔法を剣で斬ることができるとは思っていなかった観戦者たちは、楓とヒストリアの応酬を見てすでにかなり盛り上がっていた。


だが、それはまだ前座にすぎなかった。なぜなら…


「私を忘れるなよ!迅速!からの百花繚乱!」


「ちょっと、マジでそれはシャレにならんよ…っと!」


楓がヒストリアの魔法を斬ったタイミングを計ってルーナはちょうど楓が地面に着地する隙を狙って迅速と百花繚乱…ルーナにあげたユニークスキル専用の魔導書のスキルを使って楓のことを一方的に追い詰め始める。


百花繚乱とはどういうものかというと簡単にいえば斬撃スキルの上位互換で、しばらくの間普段のステータスの3倍の速度と10倍の威力を出すというなんとも頭のおかしいスキルとなっており、当然、習得にはそれなりの難易度があるはずなのだが本人はそんなの御構い無しとばかりに使って来る。


まぁ、その分使い終わってから30秒ほど反動で動きがかなり鈍くなるのとかなり無茶な動きをしたツケが回って来るのであまり使わないほうがいいスキルなのだがルーナはここで決める気なのか全力でカエデに向かって剣で楓の体を斬り刻もうとしている。


楓は、一瞬でも攻撃をその体で受けてはいけないのでなんとか剣とステータスでかわしていくがそれもかなりきつくなってきている。


「って、マジでやばいな!」


「チッ、これでも足りないか!ヒストリア!頼む!」


「任せて。これで最後、雷霆」


ヒストリアがその魔法を使用した瞬間、楓とルーナの頭上には大きな雲が出来上がりそこから一筋の雷が落ちる。


観客は何も言葉を発さない。


流石に刺激が強すぎたのか、はたまた楓たちの様子を伺っているのか今は土煙が晴れるのを観客全員が待ち望んでいた。


「はぁ、はぁ…」


「さすがだな。一本取られたよ。勝者、ルーナ、ヒストリアチーム!」


「「「おぉぉぉぉぉぉ!!!!!」」」


土ぼこりが晴れるとそこには息が耐え耐えのルーナとかばったからか右腕が血だらけの楓の姿があった。


楓は、二人に心からの賞賛を送ると同時に、二人の勝利宣言をする。その瞬間、今日イチを更新する勢いで観客たちが盛り上がり、これにて楓対ルーナ、ヒストリアペアの模擬戦が終了するのであった。


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