学院祭の準備 4
「それで、アル達がやつれている理由はわかったけど、頼んでおいたことはできたのか?」
「それはしっかりやったよ。午前中でほとんど終わらせ
ていたし、多分大丈夫だと思う。今から確認に行くんだけど、一緒にきてよ」
「うむ。我とアルの合作だからな。きっといいものができていると思うぞ」
「了解。楽しみだな」
楓は、自信満々な2人の様子に笑みを浮かべながら門の中へと入って行った。
「ほう。なかなかいいな。頼んでおいた通りだ。しかも、流石というか…今回はダメ出ししてやろうと思ったけど、修正するところがなさそうだ」
楓は門の中に入るとすぐにそう言って、アルとルシフェルを賞賛する。
正直、今回は少しダメ出ししてやろうと楓のいたずら心が働いていたのだが、ほとんど完璧に仕事をこなしてくれていたので何も言えず、ただただアルとルシフェルを褒めるだけだった。
しかも、楓が頼んでおいたものだけでなく、他にも面白そうな出店が出来上がっていたのだ。
それで、完璧にダメ出しをするところがなくなってしまったというわけだ。
「そうでしょ?なんだかんだで、かなり頑張ったんだよ」
「だな。そうだ、それとカエデに1つ聞きたかったのだが、この射的や輪投げ、くじの景品はどうするのだ?」
「その辺は、日向達が帰ってきたときに相談しよう。俺たちだけじゃ、非常識用の景品はともかく常識な景品を用意できなさそうだしな」
「非常識用も用意するんだね…」
「そっちの方が客引きにもいいだろ?」
楓も、何もただ何も考えなしに非常識な景品を用意しようと思っているわけではない。
そんなことをしても、ただミルのお父さんに怒られるだけだ。しっかりとした理由もあるし、そもそもそういった景品を簡単に取らせる筈もない。
「くじなんかは、本当に一つか二つだけでいいんだ。その他は、本当に簡単なものを景品にするつもりだ」
「それでも、貴族と庶民用には分ける必要があるんじゃない?」
「それもそうだな。同じ景品だと貴族も不満だしな。お、日向から連絡がきた。門の外まで迎えに行ってくる」
「はーい」
楓は、そう言って一度学院の前まで日向達を迎えに行く。
別に、門の前まで迎えに行く必要はないのだがせっかく日向達が帰ってくるのだ。楓としても、早く日向達に会いたくなるのは当然のことだろう。
「おかえり、みんな。可愛くなってきたか?」
「ただいま!うん!とってもよかったよ!」
「ですね。結婚式が楽しみです」
「私も、初めてあんなドレスを着たから少し緊張しちゃったわ」
「それは私もです。先ほど以上にカエデ様との結婚式が待ち遠しくなっちゃいました」
「きっと、マスターは私たちの花嫁姿を見て涙してくれることでしょう」
楓が、門の前まで日向達を迎えに行くと、そこにはよほど花嫁衣裳が気に入ったのかニコニコしながら楓の迎えを喜んでいる5人の姿があった。
楓も、そんな5人の様子を見て早く結婚式をあげたくなってしまうが、まずはその前に学院祭ということで、一通り日向達の話を聞いた後は今日、アル達が仕上げてくれたものの話と先ほどの景品はどうするかなど、細かいところを決めるためにみんなで門をくぐりアル達の元へと向かうことになった。
「おーすごいね。本当にお祭りみたいだ」
日向は、門をくぐるとすぐに見えてくる屋台の数々にそう驚きの声をあげながら周りの景色を見ていた。
他の、4人の妻はこう言った祭りの雰囲気は初めてらしく物珍しそうに辺りを見渡していた。
5人はすでにすごいと言っているが、まだまだ屋台は増やして行く予定である。今日は娯楽系を充填的に増やしておいたので明日からは飲食系や先ほど行っていた闘技場の設置をしてくつもりだ。
もう、学院祭の域をとうに超えているがそんなの楓達はしったことではないと言いたげにどんどん屋台や施設を増やして行くようだ。
「帰ってきた。おかえりー」
「ただいま。あれ?少し顔が疲れているけど、2人とも何かあったの?」
「い、いやー…」
「ま、まぁ、少し色々あってな…」
帰ってきて早々、日向に異変を気づかれ焦る2人であったがなんとか誤魔化そうと口ごもりながらも笑みを絶やさない。
流石に、「楓が何処かに行ってその間に生徒に質問責めに遭いました」なんてことは言えないし、それを言ってしまえば楓が内密に動いていることが公になってしまう。
「もしかして、旦那様と模擬戦でもしていたのですか?」
「あ、あぁ!そうだよ。相変わらず全く勝てる気がしなかったけどね」
「つ、次は絶対に一泡吹かせてやる」
「なーんだ。3人とも、あんまり遊んでいる暇はないんだからね!ささ、景品のことについてだったよね?みんなで相談しよっか!」
ミルが模擬戦をしていたのではないかと、全く事実とは異なる予想を立ててきたのだが2人はそれを好機と見てなんとかその手で日向達をごまかすことにした。
その甲斐あってか、事実を誤魔化すことに成功し、祭りの景品の話に移っていったのだが、日向に注意されて何故か釈然としない2人なのであった。




