デート 2
「そろそろナビさんが来そうだな。俺は自分の部屋に戻ってるよ」
「別にここにいてもいいぞ?」
「いや、兄貴は許してくれたかもしれないけどナビさんとかはそんなに簡単にはいかないよ。それだけの事を俺はしたんだ。今日はナビさんとデートなんだろ?出かける先からナビさんに不快な思いをさせちゃ兄貴にもナビさんにも悪いよ」
楓と蓮はあの後10数分程色々話をしていたが一区切りすると蓮はそう言って自分の部屋に戻ると言ってそのまま部屋を出て行った。
蓮も、本当に昨日の事は反省しているらしく話の最中も何度か楓に謝る場面があった。
「何とかしたいな…」
「何を何とかしたいのですか?」
「おぉナビか。いや昨日のことd…」
楓はそう言って声がした方へ振り向くとそこにはこの日本製のパーカーにズボンといった一見普通の服装なのだがナビが着る事によって滅茶苦茶可愛く仕上がっていた。
なんと言うか…フラットなのだがナビの青髪とあっている灰色のパーカーにジーパンと本当に可愛かった。
それは日向達とデートした時に見た美しさとは違うのだが美しさとは別の可愛さがナビの格好にはあった。
一言で言って楓のドストライクと言ってもいい姿である。
「日向達にオススメされた服も良かったのですがマスターはこういった服も好きだと思ったので思い切って着てみました。日向達からはデートの姿じゃないと言って反対されましたがどうですか?」
確かにナビの姿はデートに行く姿ではないのかもしれない。ただ、ナビの今の格好こそが楓の望んだ服装でもあったのだ。
ナビは少し不安そうに楓に感想を求める。
「いや、俺はナビのその姿も好きだよ。何か、熟年の夫婦みたいだ。あ、ナビにお願いがあるんだけどいいかな?」
「はい。なんですか?」
「その…手を袖の中に入れてくれないかな?」
「こ、こうですか?」
楓はナビが萌え袖をした瞬間、鼻血を出す。
これが、萌えである。
「だ、大丈夫ですか!?」
「あ、あぁ、ナビの姿が尊過ぎて思わず…よし、復活っと。さ、じゃあ一緒にデート行くか」
「はい!」
復活した楓とナビはそのまま手を繋いで家の外に出ることにした。今のナビの姿でお部屋デートも楓的には非常に魅力的なのだがそれは今後ナビに頼めばいつでもしてくれそうなので今日は外に出て色々デートをすることにする。
「それで、最初はどこに行くのですか?」
「んー、そうだな。それじゃあ少し静かな所に行こうか。ナビもあんまりガヤガヤした所は好きじゃないだろ?」
「流石マスター。おっしゃる通り私はガヤガヤした所はあまり好きではありません。どうせなら今日は周りの目を気にせずマスターとその…イチャイチャしたいですから」
「そ、そか…」
ナビは恥ずかしそうに楓にイチャイチャしたいと言うので楓も恥ずかしくなってしまう。
こう見ると、本当に初々しいカップルに見えるのだがその2人は『無限の伝説』において現時点でのトップ1とトップ2だ。2人を怒らせる様な事があったらどういう事になるか楓達の力を知っている者達なら考えたくもないだろう。
まぁ、楓達の実力を知る者は日本では殆どいないのでそこ迄考えが至る者はいないだろうが…
楓とナビはひとしきり恥ずかしがった後は少し2人で手を繋ぎながら道を歩き少しすると目的地の場所まで一瞬で転移する事にした。
「ここは?」
「嵐山って言ってこの府の観光名所なんだ。今の時期は花は咲いていないけど紅葉が綺麗で俺の一押しの場所なんだ」
「いいですね。葉っぱが赤かったり黄色になったりして、それを楽しむのですね。なかなか風情があります」
「だろ?しかもここはカップルが多いから遠慮なくイチャイチャできるってわけだ」
そう言って楓はナビと握る手を少しだけ強くする。
ナビも楓のそれに応える様に少しだけ強く握り返した。二人はそのままゆっくり歩き出す。
充実したデートの滑り出し。誰が見ても今の2人のデートをそう称すだろう。
だが、そうは問屋が卸さない。
「お、可愛い子発見」
「本当だ。ねぇ、俺らとデートしない。1人の男より2人の男に相手をしてもらった方が楽しくね?ねぇ、お兄さんも俺らに譲ってくれない?」
自分に自信があるのかそれとも2人なら喧嘩で勝てると思ったのか、お決まりのナンパ野郎が2人を襲う事になった。
「断る。他を当たってくれ。今2人でデート中なんだ」
「えー、いいじゃん。少し位おこぼれちょうだいよ」
「なんで見ず知らずの人間にそんなのを渡さないとダメなんだ?」
「今のうちにその子を渡さないと痛い目みるよ?」
「上手くいかなかったら力技か。程度が知れるな」
楓はそう言ってナンパ男2人を無視してナビと一緒に歩き出す。正直相手にするのも面倒なのでナビも何も話す事なく付いて来ている。
意外にもナンパ男は睨んではいたがそれ以上追いかけては来ずに反対方向を向いて走って行った。何がしたいのかは分からないが面倒事が一つ増えたのだけは確定したようで楓もナビも小さくため息を吐くのであった。




