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仲直り

楓達が異世界にやって来て初めての朝食。


昨日の蓮との事もあり、楓も若干緊張していたがそこまで大きな問題なく平和に食べ終える事が出来た。


ただ、蓮の様子がかなりひっそりとしていた事と正造と美希に何度も謝られた事が印象的だった。


まぁ、あのおかげでナビとも結婚する事が出来たし、それを正造と美希に報告したら諸手を挙げて喜んでくれた。その際、蓮が死んだ様にショックを受けていたが反応すると更に面倒臭い事になるので当然の様にスルーをする。


昨日、あれだけ言われてまだナビの事が気になっていたのかと思うと蓮に尊敬の念を抱きそうになるが、そもそもがあれなのでそんな気も一瞬でなくなった。


それと、春菜の件だが春菜には楓達がこの世界に戻って来た記憶を全て楓が消しておいた。これで、外部から楓達の情報が漏れる事はないだろう。


なにせ、蓮は蓮で昨日の苦痛を味わっているので下手なことをすればいつでも楓が記憶を消せることを実感しているだろうし、日向の両親も、そして正造や美希も変に外部に情報を漏らすことはないだろう。


そんな訳で、朝食は平和に終了し、片付けも日向達女性陣が美希と一緒に楽しそうにやっていたので問題ないだろう。


正造はアルやルシフェルの話を面白そうに聞いているし家族の仲も良い方向に向かっている最中である。


「よう。蓮」


「兄貴か。なんだ?また俺を苦しめに来たのか?」


「そうじゃない。一晩寝て少しは頭が冷えたろ?だから聞きに来た。何で昨日あんな事をしたのかを」


そう、春菜と蓮の仲だが付き合っているのは確かだろうが言っては何だが春菜が蓮程度の男と付き合うなんてあり得ない。


と、なると2人で楓の傷を抉る為に付き合っていたのだろうが、そもそも蓮に何故そんな動機があったのかが楓には分からなかった。


「俺はさ、兄貴が羨ましかったんだ」


「羨ましい?なんで?」


「自覚はないだろうけど兄貴ってスッゲェモテてるんだぞ。それこそ俺の学年の奴らもさ。かなりの女子に言われたぜ。蓮のお兄さんを紹介してくれってな。それも、学年一可愛いって噂されてる女の子や、俺の好きだった女の子も…」


蓮はそう言って手に持っていたコップを煽り一気に水を飲み切った。


1度間をおきたかったのだろう。


「ショックだったよ。同じ兄弟なのにここまで差が付くんだって感じて。俺の好きだった女の子も兄貴の事を嬉しそうに話すんだよ。あんな彼氏が欲しいって。蓮くんが羨ましいなって。好きな人からそんな事を言われる気持ちが、兄貴に分かるか?」


「分からないな。そもそも、日向達に会う迄は俺は恋愛なんて興味なかった。春菜に騙されて、他人に春菜を奪われてから何が何だか分からなくなった。正直、蓮の苦しみを俺は分からない。ただ、悪かった。俺のせいで辛い思いをさせたのは事実だ。一発殴っても構わない」


「な、何をいきなり素直になってんだよ」


「ただ、日向達は絶対に渡さない。例え、蓮が俺と同じ様に力を得て無理矢理奪いに来ようとも、俺は死ぬ迄日向達を守り続ける。昨日の発言はもう許してやる。ただ、次はないぞ」


楓は蓮の目を見て、真剣な表情で蓮にそういう。自分の女に手を出すな。今度は容赦しない。と


「ははっ、そりゃ兄貴に惚れるわな。安心しろ。俺に勝ち目はなさそうだ。大人しく兄貴の恋を応援してるよ」


「そうか」


「兄貴…」


「ん?」


「悪かった。本当にごめん。これで許せとは言わない。ただ、これからはもっと真面目に生きて行こうと思う。他人を見て、兄貴を見て嫉妬するのは昨日で終わりにする。いつか、また日本に帰ってきた兄貴に胸を張っておかえりと言える男になる。本当に、昨日は悪かった」


蓮はそう言って素直に楓に頭を下げた。


この瞬間、日向達も、アル達も、そして正造や美希も心配そうに楓達を見守っていたが楓はそれを気にせず、蓮の謝罪を受け入れた。


「あぁ、楽しみにしてる。お前なら、普通に頑張れば彼女位簡単に出来る。何せ俺の弟だぞ?俺にあんなに可愛くて俺の事を第一に考えてくれる掛け替えのない存在がいるのにお前に出来ない筈がない。俺は、今度帰って来た時にお前が胸をはって、蓮と蓮の彼女が一緒におかえりと言ってくれる事を楽しみにしておく」


「兄貴……!」


「泣くな。情けない」


「ごめん!本当にごめん!」


「だからもういいって。おいっ抱きついてくるn…ったく仕様がねえ弟だな」


蓮は楓の胸の中で、何度も何度も泣きながら謝罪の言葉を口にする。


楓は、そんな蓮を優しい目で見つめ少し呆れながらも蓮の背中をさすって蓮が泣き止むのを待っているのであった。


日向達も、無事楓と蓮が仲直りした事にホッとして昨日とは違う、とても優しく温かい雰囲気がこの部屋に流れているのであった。






「ほら、これはお守りだ」


「なんだこれ?兄貴が作ったのか?」


「あぁ、幸運が降ってくるアイテムだ。気持ちの問題だがないよりはマシだろ」


「サンキュー。肌身離さず持ってるよ」


しばらくすると蓮が泣きやみ少し落ち着いたので楓は蓮に餞別として中級のネックレスをプレゼントする。


中には幸運が若干上がる魔法が付与されているので、これから蓮がいい行いをしていたら何かの助けになってくれるだろう。


何か、ナビが呆れた様なため息を溢しているが所詮中級程度なので渡しても問題ないだろう。


何はともあれ、楓は蓮と仲直りができたことで気持ちがだいぶ楽になりまだしばらくある日本の休暇を心の底から楽しむのであった。

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