オークの巣破壊クエスト 6
「オークがたくさんいる…」
ブレイン達は改めてオークが大量にいる光景を見て少しびびってしまったのかそんな事を言いながら体を震わせている。
現在、東の森に入ってきてオークの森まで直行してきた訳だが道中の魔物の方がオークよりも強かった為、ブレイン達はすでに精神的な疲労はピークに達していた。
そこにオークが大量にいるこの現状を見て既にブレイン達はオークと戦える様子ではなかった。
「オークの巣だからな。じゃあ作戦通りブレイン達は三人一組で行動してくれ。じゃあ早速いくぞ」
が、楓は無慈悲にもそう言って一番最初にオークの巣に飛び込んでいく。
今回は昨日も言った通り育成という名目でブレイン達を連れて来ている為、しっかりとこの山場を乗り切って貰う。
楓に続いて日向達もオークの巣に堂々と入って行ったおかげでブレイン達もオークの巣に入る事を余儀無くされ強制的にオークと戦う羽目になってしまった。
ここで意地悪なのが楓達はそれこそ一瞬でオークを殲滅出来る力を持っているのにも関わらずブレイン達に戦わせる為に敢えてゆっくりオークを倒している所である。
「楓くん!Aランク冒険者ってこんな感じかな?」
「あぁ、多分こんな感じでいいんだと思う」
「カエデもなかなか面白い事を考えるね。ブレイン達の為にAランクと同等以上の力を出さずにオークの巣を破壊するだなんて」
「本人達が見ているかどうかは別だけどな。ほら、ブレイン達の方に行くオークの数を調整しながら倒していくぞ」
そう、楓達は昨日の模擬戦で全く参考にならなかったとブレイン達に遠回しに言われてしまった為、ここでAランク冒険者に似た動きをしようと敢えて力を落としているのだ。
ブレイン達は今も三人で必死に2体のオークと対峙しており、見えているかどうかは分からないが多分しっかりは見られなくとも視界の端で楓達が戦っている様子は分かると思う。
今もオークを2体相手にしているが精神的な面はともかくしっかりと三人で連携が取れており危ない場面もそこ迄なくしっかりとオークを倒しきっている。
「よし、こんな感じでいいかな。オークキングとかはこっちで処理しよう。多分あいつが最後だ」
「か、カエデさん。俺達はどうしたらいいですか?」
「ブレイン達はここで見ていてくれ。これから冒険者の範囲であいつを倒しきってやる」
楓はそう言って楓達はオークキングの元へと向かっていく。オークキングはAランク、下手すればSランク相当の魔物なのでブレイン達には荷が重い。
楓達は出来るだけ分かり易くブレイン達が見える様にゆっくりと大きく動作をしながらオークキングを討伐していく。
「楓くん!私とミルの魔法がいくよ!」
「了解!」
楓達前衛陣が近接でオークキングと対峙していると魔法の準備が出来た日向達の合図がありその合図と同時に後ろに飛ぶ。
それと同時に日向とミル、ナビの魔法がオークキングに直撃した。
地味に後衛にナビが加わっている事に楓は驚いたが三人の魔法によってオークキングは一撃で命を刈り取られてしまった。
「おいナビ、お前だけ威力がおかしかったぞ」
「誰かさんのせいで制御が出来ていないのですよ」
「誰だそんな事をする奴は…」
「突っ込んだ方がいいですか?」
楓のボケにナビはジト目になりながらそういう。日向達も苦笑いだ。
「あ、あれで手を抜いていた…?」
「あれでだいたいAランク冒険者並みらしい。俺達の目指す所だ」
「ヒナタさん達もかなり手を抜いていたみたい。多分Aランク魔術師もあんな感じなんだと思う。今のままじゃ無理だよ…」
ブレイン達は楓達の戦いを見て現実というものを知らしめさせられたのかかなり萎縮してしまっている。
いってもまだブレイン達も15、6の青年達である。
自分達も楓達位迄はならなくともAランク冒険者程度ならなれるだろうと心のどこかで思っていたが、実際に楓達にAランク冒険者達の実戦というものを実演されブレイン達はAランク冒険者の壁を見てしまった。
正直、ブレイン達の心が折れるには十分な材料が揃っていた。
「お前達なら出来る」
だが、それを許す楓ではなかった。
「1日だけだが俺が基礎を教えたんだぞ?このまま頑張ればこの程度余裕だ。それに、ブレイン達は俺達とつながる事が出来た。困ったら相談して来たらいい」
楓はそう言って一人一人に楓自作の武器を渡す。
ブレインから順に剣、剣、杖で全て最上級の武器になっている。これも楓自身の修行の賜物である。
ちなみに、最上級というとこれ迄の楓の武器からすればしょぼく思えるがこれでも最上級といえばAランク冒険者でも喉から手が出る程欲しい武器である。
普通に買おうと思えば1つにつき7桁8桁なんてザラである。
「こ、これって?」
「俺からの餞別だ。これからの冒険に役立ててくれ。最上級で申し訳ないがあまり強過ぎると今度はブレイン達が武器に飲まれてしまう」
「い、いや貰えませんよ!これ買おうと思ったら幾らするんですか!?」
「1000万位?」
「3つで3000万って…」
ブレイン達は渡された武器の高価さに持っている手を震わせ楓の方を怯えた目で見ている。
「それは昨日の訓練を乗り越えたご褒美でもある。遠慮せず受け取れ」
「ほら、楓くんもそう言ってるし貰っときな?」
「あ、ありがとうございます」
楓に続き日向に迄貰う様に言われ、ブレイン達は渋々ではあったがお礼を言ってそのまま武器をしまった。
ただ、一つだけ言いたい事があるとすればここがオークの巣でなければかなりいい場面なのだろうが現在、楓達の周りにはオークの亡骸が大量に散らばっているのでかなり物騒な光景に見えたのであった。




