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オーク巣破壊クエスト 1

昨日は楓の話を聞いた後は、お互いスッキリしたのかそれとも疲れたのか全員早く就寝する事になった。

一昨日は野営だった事もあって精神的な疲労が溜まっていたのか1日ゆっくり自分の部屋で寝た事によってみんなスッキリした様な顔をしていた。


現在は、全員で朝食を食べるついでに今後の予定を大雑把にだが決めている所だ。


「えー!?日本に戻れる!?楓くんなんで黙ってたの!?」


「いや、俺も最近戻れる事が分かったんだ。最近色々な事があったからたまには全員で平和な所に行くのも悪くないかなーって思ってるんだがどうだ?」


「私は久しぶりに帰りたいかも。お母さん達にも会いたいし」


「旦那様達の故郷ですか…私も行ってみたいです」


「私も賛成」


「私はカエデ様の行く所に付いて行くだけです」


「マスターの故郷は情報でしか知らないので一度行ってみたいです」


楓の提案に日向達は賛成の様だ。というか日向が日本に帰れる事を知って凄い嬉しそうだったので、もし他に反対されても無理矢理日向だけでも連れて行く積もりだったので丁度良かった。


「僕もカエデのいた世界には興味あるね」


「我はこれで二度目の異世界転移か。面白いな」


アルとルシフェルも賛成の様である。今回はセバス率いるメイド陣にはお留守番を頼んでおく。


別に戦いに行く訳ではないので人手は必要ない。セバス達にはこの家を狙う不届き者の相手を頼んでおく。


「まぁ、行くにしても3日は時間をくれ。それ迄に色々準備しておく」


「準備?」


「お金とか、向こうに行ってからの生活必需品とかな。1週間位滞在する予定だからな」


「それじゃあ今日は普通にクエストを受けに冒険者ギルドかな?」


「あぁ、息抜きは日本に行ってから出来るしクランハウスにいてもする事ないからいいだろ?」


「りょーかい」


と、いう事で日本に帰る迄の3日間は適当にクエストを受けて時間を潰す事にした。


昨日、楓の話を聞いてから日向たちは通称新嫁会議をやったのか何か…少しだけ精神的に成長できたのか些事なものかもしれないがたくましくなった気がする。


具体的にって言われると困るが前まで全て楓に任せていた事を自分達で考える様にしている。


気のせいと言われればそうなのかもしれないが楓は日向達が成長したのだと確信していた。きっと、バルバトスに何か言われて変わろうとしているのだろうと。


「俺がいうのも何だが焦らなくていいからな。日向達が俺を信頼してくれている様に俺も日向達を信頼してるからさ」


「うん。ありがと」


食事を終えて各々準備をする別れ際に楓は日向達に向かって少し微笑みながらそう言うのであった。


日向達は少しびっくりしていたが嬉しそうに頷いて自分達の部屋に向かって行った所を見るとしっかり伝わったのだろう。


「さて、俺達もさっさと準備するか」


「カエデも少しだけ変わったのかな?昨日よりいい顔してるよ」


「そうか?まぁ、これで憂いがなくなったからな。スッキリはした」


「そっか。なら、またリーダーとして僕達を引っ張っていってくれよ?」


「おう!任せろ」


アルとルシフェルは楓のその元気な返事を聞いて、嬉しそうに微笑むのであった。


アルやルシフェルも昨日は黙っていたが楓の事を考えていてくれたのだろう。2人も楓と同じ様にスッキリした顔をしていた。






「すげぇな英雄効果は…」


「まぁ昨日の今日だしね。仕様がないよ」


冒険者ギルドに着くと…というか着く前からなのだがもの凄く注目されかなりの数の人に話しかけられたり魔物殲滅戦の事で感謝された。


別にそれ自体は嬉しい事だし全然構わないのだがそのついでにと道ゆく人にリンゴを1つとかポーション1つとか物を感謝の気持ちとして送ってくれる人がたくさんいて正直申し訳ない気持ちで精神がやられそうだった。


平民の人達は冒険者達程稼ぎが良くない。それこそ余計な物など買っている余裕がない人が大半だ。


そんな中でもわざわざそういった感謝の気持ちとして物を送ってくれる人達が多く平民達の心の広さというか暖かさという物に触れててよかったのだがそれでも本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。


「ギルドの中でも大変だね」


「そうだな。めっちゃ見られてる。まぁほとぼりが冷める迄は日本に避難するから後3日の辛抱だ」


「あ、それも込めて日本に行くのか」


日向は納得した様に頷く。


本来の意味としてはただ日本に帰れるという事で久しぶりに地元の景色を見に行きたかっただけなのだが…そういう事にもしておこう。


「あ、あの!『無限の伝説』ですよね?」


楓達がギルドの入り口近くで話をしていると楓より少し幼い感じの男の子3人がやって来て声を掛けてくる。

「あぁ、そうだが…どうしたんだそんなに緊張して」


見るからに目の前の3人の少年達は緊張していた。足も震えているし正直見ているこっちが心配になってくる程だ。


「あ、あの!僕達と一度でいいのでパーティーを組んで下さい!」


「ありが…なに?」


少年たちの口から出てきたのはそんなお願いだった。


楓はまた感謝か何か言われるのだと思って無意識にありがとうと返事をしようと思ったがまさかのお願いだったので楓も一瞬フリーズしてしまう。


「その、俺達も頑張って魔物を倒そうと村から出て来たんですけど上手くいかなくて…一度英雄と呼ばれるクランの戦い方を見学して見たいです!」


さっきの少年がその後緊張で何を喋っているのか分からなくなってしまったので代わりに後ろの少年が詳しい動機を説明してくれた。


「あんまり参考にならないと思うけd…」


「良いじゃねぇか。後輩の育成も先輩の役目だぞ?」


そういって出て来たのはここのギルドマスターであるパドンであった。


ニヤニヤしている所を見るとこの状況を楽しんでいる様だ。


「はぁ、詳しい話を聞かせてくれ」


「おう、こっちに来てくれ。そこの少年達もな」


パドンはそういって先に会議室に入って行く。なかなか面倒臭い事になりそうな予感に楓は思わずため息をこぼれてしまうのであった。

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