オークの巣破壊クエスト 2
「それで、俺達に何をさせたいんだ?」
現在、楓達は少年3人と一緒にギルドの会議室におり先程の説明をギルドマスターから聞いている最中である。
「彼らとパーティーを組んでオークの巣を潰して来てくれればいい」
「簡単に言ってくれるが分かってるか?ここでパーティーを組めば後から来た奴らにも同じ対応をしなくてはならなくなる。正直言って俺達にメリットがない」
楓はそういって遠回しに嫌だという旨をパドンに伝える。
流れでクランに入れろとか言われても『無限の伝説』は誰でも入れると言う事ではないので正直困る。
特に条件とかはないがそういって誰でもホイホイとクランに入れるのは後で統率を取る事が出来なくなるのでクランに入れる入れないは結構慎重に決めている。
「それはたまにでいい。そうだな、君達の気が向いたら私に言ってくれ。そうしたら順に希望者から一緒にパーティーで討伐なり採取なりしてくるといい。もし、金輪際他とパーティーを組みたくないと言うのならそれでも構わない」
「随分と俺達に構ってくれるのな」
「英雄だからな。それにさっきも言ったが後輩の育成というのも間違いではないからな。この体験をする事によって世界でもトップクラスの戦いと言う物が生で見られるいい機会だろう?」
パドンはそう言って少年3人の方を見る。
「君達も、これが特別なのは分かるね?君達がここでヘマをしたら彼らは一生他の人達とパーティーを組まなくなる。それはこのギルドにおいて大損害だ」
パドンは少し脅す様にして少年3人にそう言う。
そのせいで3人共かなりビビってしまいろくに話す事も出来ていない。
「分かったよ。とりあえず今回は一緒にクエストを受ける。だからそんなにそいつらを脅すな。大人にもなって卑怯だぞ。日向達もそれでいいか?」
「うん。私達もいいと思うよ。たまにはこのギルドの為に貢献しないとね」
楓の確認に代表して日向が返事をする。他の面々も異論はない様で特に日向の発言に反対する者はいなかった。
少年達も救われた様な顔をしてフゥと息を吐いていた。
「ならまず自己紹介からだな。俺は『無限の伝説』のクランマスターの楓だ。昨日入ったナビ以外はこの前と変わらないので知っていると思うがよろしく頼む」
楓はそう言って少年達に向かって自己紹介をする。ナビの事は知らなかったのか驚いた様な顔をしていたがナビがにっこり笑って軽くお辞儀をしたのを見て少年達は顔を真っ赤にして自分達の自己紹介を始めた。
「ぼ、僕はブレインです。主な戦い方は近接で得意武器は剣です」
「俺はアッシュです。ブレインと同じく近接ですが得意武器は槍です」
「僕はミールです。後衛で杖を使ってます」
順にブレイン、アッシュ、ミールは自分の戦い方と得意武器を言って楓たちに向かってお辞儀をする。
かなり硬かったが多分さっきのパドンの脅しのせいだろう。
「よろしくね。楓くんはこんな感じだけどとっても優しいから安心してね。それとブレインくん達のランクは何か教えてくれるかな?」
「は、はい!僕達は全員Eランクです!」
楓の代わりに日向が優しくアッシュ達に声をかけてアッシュ達のランクを聞く。
彼らも滅茶苦茶可愛い日向に声を掛けられて頰を真っ赤にしながら自分達のランクを楓達に伝える。
が、一つ大きな問題があった。
「おいパドン。さっきオークの巣って言ってたよな?」
「あぁ、君達なら余裕で守りながらオークを狩れるだろう?それに一度位死地に行っておかないといざという時にベストを尽くせないからな」
パドンはそう言って笑うがオークは確かDランク指定の魔物だった筈だ。Eランクならパーティーを組んで1匹をようやく倒せる位の魔物である。
正直言って、オークの巣というからには三桁は覚悟しておかないといけないのだがEランクでは絶望的という他ないだろう。
「はぁ、どうせ断ったらアッシュ達を脅すのが目に見えてるからな。今から行ってくるから場所を教えてくれ」
「東の森の奥深くに確認されている。正直かなり新人には厳しいからしっかり見てやってくれ」
「それならもっと優しいクエストにしてくれよ…」
楓は最後にため息を吐きながらそう言って立ち上がり全員を引き連れて会議室から出て行く。
ギルドを出て行く際にもかなり注目されたが今回は楓達というよりアッシュ達がその視線にビクビクしていた。
「アッシュ達は野営の準備って出来てるか?正直どこまでサポートしていいのか分からないんだが…」
「野営の準備は一度宿に戻ればすぐに出来ます」
「なら、荷物は自分達で持つ。でも食事とかはこっちで用意する事にしよう。流石に荷物を他人に任せるのは冒険者として失格な気がするからな。ただ夕食程度ならみんなで食べた方が美味しいからこっちで同じ物を用意しよう。見張りも俺達がする」
「いや、流石に見張りは…」
「アッシュ達はEランクなんだろ?寝不足とかになってオークの巣を破壊しに行く時にベストパフォーマンスを出せなかったら最悪死ぬからな」
「ありがとうございます。では、お言葉に甘えさせてもらいます」
最初は渋っていたアッシュ達であったが楓がそういうと申し訳なさそうにしながらお礼を言ってその条件で野営の事は決まった。
「えーっと、移動手段ですが今から馬車でも借りますか?」
「そうだな。馬車はこっちで用意しておくからアッシュ達は宿で野営の準備をして来てくれ。終わったら門の前集合で」
「分かりました。では、お願いします」
アッシュ達はそう言って宿の方へと向かい野営の準備をしに行く。
その間に楓達は馬車の準備をしておく訳だが…
「マスターが普通の馬車を借りる筈がありませんね」
「流石ナビ。ユニコーンを2体召喚して馬の代わりにしようかなと。そっちの方が負担も少なそうだからな」
「ほらやっぱり…ユニコーンなんているのならその2匹にオークの巣を討伐して来て貰った方が早いですよ…」
ナビはそう言って盛大にため息を吐いた。顔面偏差値がトップクラスな事もあってため息を吐くナビもかなり可愛いがそれを言ったら怒られそうなので黙って門の方迄移動する。
これから、アッシュ達は人外の戦い方という参考にならない体験をたくさんしていく訳だが今のアッシュ達はただただ一緒にクエストを受けられるのが嬉しくてそんな事は全く考えてもいないのであった。




