魔物殲滅戦準備 7
「勝者、ヒナタ、ミルテイラチーム!」
「ふぅ、お疲れー」
「お疲れ様。あっけなかったですね」
日向達の試合は一瞬で終了した。主に何があったかを説明すると隊長らしき人物が一番最初に日向の元へと駆け付けると、勢いを生かしてそのまま日向に斬りかかったのだが、日向はそれを勢いよくナックルで殴って折ってしまった。
隊長はそれに驚き一瞬動きを止めると日向は流れる様に第二撃目を隊長の腹に目掛けて放った。
この試合で唯一見所があったのはそれだけでその後は隊長がいなくなった事によって統制が取れなくなった騎士や宮廷魔術師達を日向達は一人一人、時には数人一気に意識を狩っていくのであった。
「これでいい?」
「あぁ、これでヒナタにもミルテイラ様にも口出しする奴はいないだろう。見ていてスッキリしたぞ」
「ふふっ。ですがこの後の旦那様達の方がもっと面白いと思いますよ」
「そうだね!楓くんの試合も楽しみにしててね!」
「あぁ、楽しみにしているよ」
日向とミルは楓達の元へと戻る前に審判であるルーナと少し話をして行くのであった。
幸い、誰にも日向達の会話が聞かれる事は無かったので騎士や宮廷魔術師達は何も言って来なかったがもし聞こえてたら幾らミルがいたとしても異議を申し立てられる所だろう。
ルーナはなるべくこの優越感を顔に出さない様に気を付けていたが、楓から見たら嬉しがっているのが丸分かりである。
余程、日向とミルが圧勝した事が嬉しかったのだろう。これから全ての試合で完勝して行くがやはり1戦目という事もあって嬉しさもかなりあるのかもしれない。
「次は私達ね。さっさと終わらしてしまいましょう」
「そうですね。カエデ様に無駄な時間を使わせる訳にはいきません」
次の試合予定のルミナとエリスはそう言いながらも楽しそうに武器を持って中央迄行くが…
「どうして誰も挑んで来ないのよ!」
「し、勝者。不戦勝によりルミナ、エリスチーム……」
まさかの誰もルミナ達との模擬戦を望まなかった為、試合は不戦勝になり自動的にルミナ達の勝利となった。
まさかの結果にルーナですら呆れてため息交じりだった。まぁ、日向とミルがあそこまで強かったら戦いたく無くなるだろう。
なんだろう…力を理解して貰うという本来の目的を遂行出来ているのにこの釈然としない感じは…
「カエデ!私達はどうしたらいいの!?」
「帰って来い。ルミナ達はもう既にここの人間に力を認めて貰ってるんだ。物足りないなら後で帰ってから相手してあげるから今はそのままこっちに戻って来い」
「もう、仕方ないわね…」
「カエデ様が模擬戦の相手を勤めて下さるならここの人間には興味ありません。ルミナ、私達はもしかしたら運が良かったのかもしれませんね」
「そうね。最初はヒナタ達と同じ様に無双してカエデに褒めてもらおうとしたけどこの際そんなのどうでもいいわ」
ルミナとエリスは楓が後程模擬戦の相手をしてくれると聞き先程とは打って変わってとても嬉しそうに楓達の元へと戻っていった。
当然それを見ている騎士や宮廷魔術師達は面白くない様で…
「カエデとかいう奴、さっきから調子乗ってないか?」
「あぁ、ミルテイラ様と結婚したからって調子に乗って!」
「俺達は彼女の一人も出来ずに毎日この国の為に貢献していると言うのに…!」
どこかの迷宮で修行をしているバカ勇者と同じようなことを言っているが、妬んでいるのは主に20代の騎士や宮廷魔術師達で30代以降のベテラン騎士達はさっきからずっと楓の力量や隙を伺っていた。
「次のあの小僧の番で全員仕掛けるぞ。幾ら強くても人間である限り約5000もの実力者を相手にすればあの小僧もビビり上がって少しは我々騎士や宮廷魔術師に敬意を払うだろう」
そう他の騎士や宮廷魔術師達に指示を出したのは先程ルーナと話していた騎士団長候補の男だった。
もし人間であれば5000もの人間を相手にしたのならびびって何も出来ずに終わるだろうが生憎楓はただの人間程可愛い存在ではないし、そもそもこれから楓達が相手にするのは騎士や宮廷魔術師が一匹につき五十人、いや百人必要な相手を約八千匹相手にしなければいけないのだ。
たかが人間五千人を相手に怖がる道理が楓にはなかった。
「それでは次に…本日の目玉であるカエデに出て来て貰う。カエデと模擬戦をしたい者はすぐに出て来る様に」
ルーナがそういうと楓が一瞬で中央に現れる。それと同時に反対派の騎士や宮廷魔術師達約五千人が一気に中央に集まって来る。
あまりの人の多さに一気に場の人口密度が増えたが楓は特に臆する事なく相手の様子を伺っていた。
「ふっ。我々に怖じけずいたのならさっさと負けを宣言して自分の愛する者の所へと帰るがいい。そして、今回の作戦には首を突っ込まない事だな」
「今の内に降参をしておかないと痛い目を見るぞ」
ニヤニヤ笑いながらそう忠告してきたのはルーナが言っていた騎士と宮廷魔術師だった。
名前は知らないし興味もないので騎士隊長と魔術師隊長と勝手に名付ける事にする。
「あなた達が今回ルーナの作戦を邪魔しようとしている奴らだな。悪いが今回は内輪揉めをしていると国民に被害が出るんでな。さっさと負けて大人しく指示に従ってくれ」
楓はそういって自分のストレージから伝説級の剣を出し地面に突き刺す。
「言ってくれるな。ルーナ団長や宮廷魔術師長もおかしな奴を飼っている様だな。これはこの侵略を機に代表を交代する必要があるな」
「カエデがおかしな奴なのに関しては否定はしないが私達はカエデを飼っているなんて恐れ多い。お前も戦って見れば分かるがあまり舐めていると痛い目を見るぞ?後、私の友人をバカにするのも大概にしろよ?今回は相手がカエデだったから許すが二度はない。分かったな?」
「修正したい事が1つあるがまあいい。そういう事だからさっさと始めようか」
ルーナと楓に二連続で威圧を放たれた事によって楓に模擬戦を挑んだ騎士や宮廷魔術師達の半分位は足が震えていた。
「あまりもたもたしてられんな。それでは、これより模擬戦を始める!両者不正の無い様に!それでは始め!」
「さって行くか!」
ルーナの開始の合図を聴くと楓はニヤッと少し笑って騎士や宮廷魔術師達を殲滅して行くのであった。




