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魔物殲滅戦準備 6

先程、楓が挨拶をするとその後すぐに「あんな若者に命を預けられない」だの「ルーナやヒストリアは女だから頭がおかしい」だの普通上司に当たる人間に言っては失礼な事を平然と言ってのける騎士や宮廷魔術師達が思っていたより多く存在した。


楓達も自分達が責められるのは仕様がないと思っていたが、まさかルーナやヒストリア迄その対象になっている事に正直驚きを隠せなかった。


『現在、このデスハイム王国の騎士団や宮廷魔術師達の間では二つの派閥が存在する様です』


と、言う事はルーナやヒストリアに替わる(or 代わる)騎士団長や宮廷魔術師長に足る実力を持つ存在がいるという事だな?


この中にいるのか?


『はい、会えばすぐに分かると思います』


強いのか?


『えぇ、少しネタバレすると二人共実力を隠してあえてルーナさん達よりも弱く見せてますね。本気を出せばルーナさん達も必ず勝てるとは断言出来ないですね』


なかなか穏やかじゃない事を言うな。何故本気で戦わないんだ?


『敢えて実力を隠してそれをルーナさん達やある程の騎士達にその事を匂わせ楽しんでいるのでしょうね。確実に勝てないからという事もあると思いますが…』


だから派閥が2つに分かれているのか。しっかり模擬戦をすれば勝てるかもしれないが負けるかもしれない。


そうなれば若い女に負けたと言う不名誉な傷が付いてしまう…と。


騎士団や宮廷魔術師達はルーナたちの強さを知っているのだろうが、貴族達はそうではない。そいつらは王族に付いていると言うより他の貴族に付いてる騎士だろ?


『ご名答です』


「なら、倒してルーナ達の株を上げてやれるか…」


「ん?どうしたんだ?」


「いや、ルーナが黙っていた事を知ってどうやって対処してやろうか考えていたとこだ」


ナビちゃんと話していた事が最後だけ口に出ていたのか近くにいたルーナに聞こえたらしく、突っ込んで聞いて来た為、思い切って楓は核心を突くよ様な言い方でルーナの表情を見る。


すると、案の定楓が核心を突いた様な答えを口にすると一気にルーナの顔が歪み申し訳なさそうな顔をする。


「すまない。どうしても君にはほかの心配ごとに巻き込みたくなかった。一体どこで知ったのだ?」


「まぁ、それは企業秘密だ。それと安心しろ。俺がコテンパンにして来てやる。ルーナは俺達のリーダーである事を装ってくれ」


「すまない…」


「良いって、どっちみちそいつらは反対派で俺達と模擬戦をする積もり見たいだからな。さっさと片付けてくるよ。ほら、最初に叩いておくからそいつらを呼んでくれ」


「わ、わかった」


楓はそう言ってルーナに面倒臭い不安要素になる人物達から片付けようと一番最初に楓と模擬戦をする様に仕組んでもらう。


「カエデの提案でこれから模擬戦を始める!カエデの腕に不安があると思う者はその身をもってカエデの実力を味わうが良い。言っておくがカエデだけじゃなく後ろにいるミルテイラ様を含める全員が尋常じゃない程強いぞ」

ルーナはそう言って獰猛な笑みを浮かべた。それだけで全体の数パーセントの人間が戦意を消失させたのだからやはりルーナは凄いのだろう。


ヒストリアも横で満足そうな笑みを浮かべていた。いつもは気だるそうな顔をしているが今は本当にできる魔法使いに見える。


「不満そうにしている者は一度カエデ達に挑んでみたらいい。それと、一度挑んだからには他の者が模擬戦でカエデにボコボコにされている所を見て自分は模擬戦を辞退するなんて事は無い様に。そんな事する者は宮廷魔術師にいらない」


ヒストリアは不満そうにしている騎士や宮廷魔術師達にはっきりと言い切った。


ルーナに続きこの国の最強の一人にそう言われ他の騎士や宮廷魔術師達はルーナに牽制された時以上に萎縮してしまう。


こうなればもう戦える者は殆どいない。それでもある一定の地位にいる者や力がある者はまだ戦意があったが、それ以外は上司の戦いを見る事しか出来なくなっていた。


楓の事を知っている騎士や宮廷魔術師達はこのやり取りが茶番にしか見えずずっと笑いをこらえるのに必死だった。


「カエデ、模擬戦方式だがどうする?」


「んー俺とアル、ルシフェルとセバスは一気に全員襲いかかって来て貰ってその他は昨日組んだチーム単位で模擬戦をして貰う。まぁルーナとヒストリアは不参加だから2対多になるな。日向達を対戦相手にしても良いが、まさか国の映えある騎士様や宮廷魔術師様方が圧倒的年下の女の子に勝ってドヤる奴はいないだろう。まぁ、日向達と戦っても多分ボコボコにされるから別に俺は何も言わないが…」


「と、言う事だ。ではすぐに模擬戦を始めるからそもそも戦わない奴らは横に捌けるなり観戦席に上がるなりして模擬戦の邪魔にならない様にしてくれ。1戦目はそうだな…ヒナタとミルテイラ様チーム対そのチームに挑みたい者は中央に集まってくれ」


初戦は日向、ミルチームが騎士や宮廷魔術師達と模擬戦をする事になった。


意外とチキンな奴が多い様で大体100人前後が現在中央で準備体操をしている。


「申し訳ございませんがミルテイラ様を戦場に出す訳にはいきません。ですのでここで全力で食い止めさせていただきます」


他の人物より地位が高そうな男が日向とミルに向かって剣を構えた。


王女に剣を向けるというのは普通に考えると不敬罪で首が飛ぶのだが、今回は特例でミル本人の許可とバルバトスの許可を得ている為、今の行為を咎める者はいなかった。


「えぇ、そもそも私達は貴方に負ける気がしませんから。貴方達には速やかに退場して貰います。ヒナタ、私達は手加減を間違えない様に気を付けましょう」


「そうだねー。魔物相手の感覚でやっちゃうと騎士の人達が死んじゃうからね。私がナックルで騎士達を倒すからミルは魔術師達の相手をお願いできる?」


「分かりました。前哨戦として頑張っていきましょう」


日向とミルは軽く作戦会議をすると各々武器を取り出す。


日向がナックル、ミルが弓を取り出した所で騎士や宮廷魔術師達は怪訝そうな顔をしたが二人は気にせずに試合開始の合図を待つ。


「それでは、ヒナタ、ミルテイラチーム対その他国王軍による模擬戦を始める!お互い正々堂々戦うように!それでは始め!」


ルーナの試合開始の宣言がなされた瞬間、両者共に動きを見せていくのであった。


この後、日向とミルに挑んだ騎士や宮廷魔術師達は勝負を挑んだ事を盛大に後悔する事になるがそれはもう少し後のお話

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