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初めてのクエスト 2

楓達が冒険者ギルドで暴れている頃バロン達は長い静寂に包まれていた。


「父さん、あれなんだと思う?」


静寂を最初に破ったのはリースの疑惑のこもった質問だった。


さっきの楓の透明の膜のタネが分かる者はこの中には一人もいなかった。


と言うかこの中の誰も楓が自分で張ったと言う事を考えずどんな道具を使ったのかと言う所に焦点を当てている為、未だに答えが出ていない。


「分からない。あんな高性能な防御魔法はありえないし何か道具の恩恵だと思うが…まさか迷宮産か?」


「あー、そういえばカエデとヒナタはシュトガルの迷宮で修行してたらしいね。行けても10階層とちょっとだと思うけど余程運が良かったのかな?」


「たまたまだろ。僕にはアイツがそこまで実力があるとは思えない。あってもルミナと同等程度だろう」


バロンとリースは的は外れているが真剣にさっきの出来事について考えていたがファインは考えるのを止めて、さっさとルミナを連れ戻し、楓を殺す事を考える。


この時、バロン達の最大のミスが楓を含めた『無限の伝説』の戦力を過小評価している事だろう。


バロンが出れば今のルミナ程度ならなんとかなるだろうが一日、二日といえどルミナもだいぶ成長しているため、バロンに勝てはしないだろうがいい勝負はするだろう。


だが、日向やミルには到底力及ばない。ましてやその先には伝説龍のアルとそれに圧勝した楓がいるのだ。


どう頑張ってもバロン達に勝ち目はないがバロン達はそんな事は考えず、いかに道具を無力化して楓達を殺すかを考えていた。


ちなみに、人殺しをすればいかに勇者の末裔といえどタダで済むと思わないが、そこはバロン達の権力を行使してなかったものに出来る。


なので、今はバロンもリースも一旦先程の楓の事は置いておいて男三人で作戦会議を始めている。


暗殺を失敗した黒ずくめの男達や兵士、メイドは微動だにしない。


ルミナの母だけがバロン達の無駄な作戦会議に耳を傾けて頷いたり笑ったりしていた。


「よし、リースの案で行こう。早速暗殺クランに話をしに行くぞ」


しばらく作戦会議をしていた三人だがリースの案で決まったのかバロンがそう言って早速行動に移していく。


バロンに続いてリースとファインは付いて行く。


「さぁ、ルミナを含めてアイツらを潰すぞ」


「ですね、楽しみです」


「僕も頑張らないとな」


バロンが怪しく笑いながらそう言うとそれに同調する様にリースとファインが怪しく笑い家を出て目的の場所へと向かって行くのだった。





「楓くん、さっきから思ってたけど何でこのラキーラビットがAランク指定なの?うさぎだよね?」


現在、楓達は王都から徒歩6時間の森迄来ている。

普通の人達なら6時間でも楓達なら数分で移動出来る。


「あぁ、ラキーラビット自体そこまで強くない。だが、この時期にしか森に出て来ない上に滅茶苦茶逃げ足が速くて誰も狩れないらしい」


「それに、この辺は普通の冒険者達ならあまり来たくないだろうしね。その辺を考えてのAランクなんじゃない?」


楓の説明に続いてアルが自分の考えている事を話す。

今は森の中で探索中なので皆一応武器を携帯して前進して油断は全くないがそれでも話す余裕位はある。


「ラキーラビット、確かにとても美味しかった記憶があります」


「ミルは食べた事あるの?」


「えぇ、一度だけだけどとても美味しかったわ」


ミルは一度食べた事があるらしくとても美味しかったと感想を言うが他の四人は食べた事もないのであまり反応出来なかった。


「じゃあ私達で狩ってカエデに料理して貰いましょ」


「それいいね!私も賛成!」


「私も、旦那様のラキーラビット料理食べてみたいです」


「了解、任せろ」


ルミナが提案すると日向達はその手があったかと一気に元気になり楓に約束を取り付ける。


楓がルミナ達の願いを了承した事によって一気に場の士気が上がり皆やる気に満ち溢れる。


今の日向達がラキーラビットに出会ったならラキーラビットの速さをも凌駕して狩りに行きそうな勢いだ。


「ヒナタ、その先に魔物がいるよ」


「りょーかい!ほい!」


アルが日向にそう言うと日向は笑顔で杖を振り魔法を見えない魔物に向かって放つ。


誰も後を確認しに行かないのは日向の魔法が当たった後に魔物の断末魔が聞こえたからとそもそも日向が外すなど考えてもいないからだ。


今の楓達はラキーラビットしか見ておらずその他の魔物は剥ぎ取りや楓のストレージに入れている時間が勿体無い為他の魔物の食料になって貰う。


「あ!あれ、ラキーラビットじゃない?」


「あぁ、ミル。いけるか?」


「任せて下さい!」


日向がラキーラビットを見付け、ミルが弓を射る。


この間僅か2秒で済んだのはこのクランのチームワークが良いからだろう。


今回は少し距離が開いていた為ミルに頼んだが距離が近かったり障害物が少なかったらルミナが行く事になっている。


楓とアルはそんな三人を見守り主にその他の魔物から護衛をする役目になっている。


「見て!ラキーラビットの頭の柄がハートマークになってる!」


日向がラキーラビットを回収に行くと死体を持って来てそんな事を言い出す。


「ほんとだ。結構可愛いし狩るのが可哀想になってくるわね。」


ルミナはラキーラビットの死体を見て少し億劫そうにそう言う。


「そうだな。でもしっかりとこの依頼を達成しないと夜ご飯を作れn…」


「さぁ、どんどん狩って行きましょう。可哀想だけどクエストはしっかり達成しないとね!」


ルミナは楓がラキーラビットで夕食を作れないとぼやきかけると先程の億劫そうな表情は何処(どこ)に行ったのかと言いたくなるレベルの切り替えで自らラキーラビットを探して回る。


地味に日向やミルも必死になっている姿が見えて楓は呆れた様に笑う。


その後、約1時間でラキーラビットを15体狩る事に成功し無事必要数の10体と自分達用の5体を確保してルミナの初クエスト達成と楓によるラキーラビットのフルコースが振舞われたのだった。


尚、このラキーラビットをふんだんに使ったフルコースは作った楓はもちろんのことエリス達も大喜びでみんなで幸せなひとときを過ごしたのだった。

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